min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

和田 竜著『忍びの国』

2012-04-10 07:51:49 | 「ワ行」の作家
和田 竜著『忍びの国』新潮文庫 2011.3.1 第1刷 

おススメ度:★★☆☆☆

先に読んだ『のぼうの城』もそうであったが、この作家さん、ちょっと変わった感じの時代小説を書く方だと思う。
取り上げる時代背景は戦国時代なのだが、そこに登場する主人公はけっしてその時代を動かしたような大物ではない。フィクションはフィクションなのであるが、登場人物たちは歴史の片隅に埋もれてしまうような無名な人物が多いように思われる。
今回の主人公は伊賀の郷で百地三太夫につかえる下人忍者の“無門”である。この男、忍者としての技量は伊賀一と評されるが無類の怠け者でかつ変人である。
さる経緯から京の近くの戦国武将の娘をかっさらい嫁にしようとするが、このお国という女も変わっており、当初無門が約束した稼ぎを果たせないことから夫婦の契りを認めない、ときた。
さて、本編は織田信長の次男信雄が父より先に伊賀攻めを行ったのだが、実は伊賀攻めそのものが迎え撃つ伊賀の「十二家評定衆」の一員である百地三太夫の仕組んだ壮大な陰謀であった、というストーリー。
何故あえて織田軍に伊賀攻めを行わせたのか?は読んでみてのお楽しみであるが、この作家さん、忍者というものを徹頭徹尾、人非人として描いている。
確かに忍者に信義やら人情といったものが通用しないことは百も承知であるが、ここまで忍者の“あざとさ”を見せ付けられるとげんなりして、登場人物の肩入れがしにくくなる。
今や故人となった児玉清さんが解説で「痛快無比、超のつく面白忍法小説に出逢いたいものだ、と長い間、新人作家の登場を待ち望んでいたが、ついにその念願を叶えることが出来た。」と絶賛しているが、それほどでもないことを書き添えておきたい。


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