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阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

JPドメインについての質問状

2012年07月26日 [leaks]

インターネットの世界の「入場券」とも言えるドメイン。名刺にネットのアドレスを入れていない人は少数派だが、日本の「…….co.jp」や「…….ne.jp」などの「JPドメイン」の登録料が市場では年3000~4000円もかかり、本家米国の「…….com」(ドットコム)の9ドル(約700円)に比べて割高であることはよく知られている。が、いっこうに改まらない。日本レジストリサービス(JPRS)の一社独占であることをいいことに、そのおいしい暴利を貪っているからだ。日本音楽著作権協会(JASRAC)を摘発したものの、凡ミスで不服審判にも敗北、いまやこの手の話では羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くようになった公正取引委員会になり代わって、FACTAがこの不条理に挑戦する。

JPRSの母体であり、その株式19・6%を保有する社団法人ニホンネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)に以下のような質問をぶつけた。

社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
(JPNIC)広報担当者 御中

JPドメインについての質問状

ファクタ出版株式会社
月刊FACTA発行人 阿部重夫

拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。弊誌は創刊6年の調査報道を中心とした月刊誌で、昨年のオリンパス不正経理のスクープでその名をお聞き及びかと存じます。

さて、弊誌は7月20日発売号で、「JPドメインの公共性の担保」について記事を掲載する予定です。社団法人JPNICは、JPドメインを登録管理する株式会社日本レジストリーサービス(JPRS)の責任を評価する立場にあります。そこで、この件に関しいくつか質問をさせていただけましたら幸甚と考えました。
お尋ねしたいことは以下の5点です。

1)「.日本」の運営事業者の選定に関して議論する場として設置された「日本インターネットドメイン名協議会」のサイトおよびそのコンテンツが削除され、閲覧できない状態になっています。「公共性の担保」という観点から鑑みますと、過去の議論の経緯などが閲覧できない状態にあるのは好ましくありません。JPNICは協議会の発起人団体に名を連ねていますが、この状況をどのようにお考えでしょうか。また、サイトが削除されている理由についてご存じであれば、お教えくださいますようお願い申し上げます。

2)御社は、5月23日に「ご意見の募集について~JPドメイン名の公共性の担保におけるJPNICの評価の客観性向上関連~」としてパブリックコメントを募集しています。そこで、21件の意見が寄せられたとありますが、これらの意見を公表する時期はいつ頃を予定していますか。また、「公表に際しては、組織名や個人名は公開いたしません」とありますが、通常、パブリックコメントは個人名を除いて非開示要求がない限り、意見者の名称を公開するものと認識しています。公開しない理由をお教えください。

3)総務省の「21世紀におけるインターネット政策の在り方
~新たなトップレベルドメイン名の導入に向けて~」の答申では、「.jp」および「.日本」ドメインの公共性の担保において、公正性・中立性及び透明性の確保が求められているものとされています。それを受けて、「日本インターネットドメイン名協議会」が設置されています。同協議会の2011年3月理事会では、「JPドメイン名の公共性の担保のスキームの方向性」が示されていますが、その中で「第三者委員会」の設置が明記されていますが、今回の案では「有識者評価委員会」と名称を変更しています。変更した理由を教えてください。

4)移管契約第13条検討委員会の第5回会合の記録(http://www.nic.ad.jp/ja/materials/
com/transfer/20120508/comment-table.pdf)において、山田委員が「誰から見た透明性かを明確にした方が良いと思う。(以下省略)と意見を述べているのに対し、御社の考え方で『当該箇所の「透明性」を「客観性」と改めました』としています。「客観性」に変えた理由とその意味を教えてください。

5)2011年度の事業報告書によるとJPNICは、JPRS
の株式を1265株(19.6%)保有しています。これは2004年から変化していません。JPNIC自身が事業報告書の中で「公共性の担保のためにJPRS株式を保有している必要は無くなったことから、当センターは保有株式の処分について検討を行い」としているにもかかわらず、なぜ処分が進まないのかその理由を教えてください。「未公開株式である当該株式には様々な制約が多く」とも併記されていますが、どのような「制約」があるのか具体的にお教えください。

質問は以上です。お忙しいところ恐縮ですが、弊誌の締め切りの都合がございますので7月9日(月)までにご回答願えれば幸いです。よろしくお願い申し上げます。   敬具

7月4日

JPNICの回答は9日の期限には届かなかった。JPNICに電話で問い合わせしたところ、「回答は作成したが、内部で回覧中で、そのOKが出ないと回答できない」という。「いつOKが出るのか、見通しは? こちらも原稿の締切があります」と聞き返すと、「いつになるかはわからない」と要領を得ない。「できるだけ早くお願いします」とせっつくほかない。11日夕になっても届かず、「未回答とみなして見切り発車します」とメールを送ったら、行き違いで回答が届けられた。

1週間もかけて、こののんびりした対応、やはり独占に甘えて、床の間にふんぞり返っているとしか考えられない。こんな回答である。

ファクタ出版株式会社
月刊FACTA発行人様

拝復 時下、ますますご発展のほどお喜び申し上げます。

さて、7月4日付の貴信にてお問い合わせいただきました5点について、回答いたします。

1)「日本インターネットドメイン名協議会」のWebサイトが閲覧不可であることを貴信にて知り、早速当該サイトの管理団体に問い合わせ、回答を得ました。

その回答によると、技術的問題によるサーバ障害であり、復旧をしたとのことでした。当センターでも7月6日(金)13時過ぎには回復していることを確認しております。お知らせいただいてありがとうございます。なお、障害の原因等の詳細については、当該サイトの管理団体にお問い合わせいただくようお願いし
ます。

2)提出された主なご意見に対する回答は、項目毎にまとめて公表する予定ですが、公表時期については現在検討中です。

また、今回のパブリックコメントについては、率直な意見を寄せていただくために、組織名・個人名を非公開にさせていただきました。

3)いわゆる「第三者委員会」は、組織自身を対象に第三者が評価するために設置されます。

今回の検討においては、当センターとJPRSが締結した『JPドメイン名登録管理業務移管契約書』第13条に定めたJPドメインに対する「JPRSの責任」を、JPRSが適切に遂行しているか否かについて、当センターが行う評価の客観性を高めることを目的としています。

従って、今回の検討で「第三者評価委員会」と呼称することは、検討委員会での指と議論を経て、目的と名称が一致していないとの認識に至り、「有識者評価委員会」と名称を変更することとしました。

なお、今回の検討はJPNICが自主的に行っているものであり、その経緯や背景については、以下の「ご意見の募集について」および報道発表をご参照ください。

○ご意見の募集について
~JPドメイン名の公共性の担保におけるJPNICの評価の客観性向上関連~
(2012年5月23日の意見募集の■まえがきと■背景)
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2012/20120523-01.html

○JPドメイン名登録管理業務移管契約第13条を検討する委員会の設置について
(報道発表、2011年9月8日)
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2011/20110908-01.html

4)検討の当初においては「透明性」という表現を用いていましたが、検討委員会での議論を踏まえて、「JPRSの責任」を客観的に判断できる評価基準を用いて実績評価をするという目的に照らして、「客観性」という文言の方が適切であると判断したため、変更しました。

5)JPRSの株式は非公開株であり株価算定も難しく、さらに譲渡制限付き株式であることが、制約となっています。


以上、簡単ですが、回答申し上げます。 敬具

社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) 広報担当

やはり、真摯に答えようとする姿勢が感じられない。嫌々答えているのだ。JPNICはまだ旧来の「社団法人」を名乗っていて、一般財団法人でいくか、公益法人になるかの断を下していない。いずれにせよ、社団法人は株式保有が禁じられているのに、過渡期をいいことに保有を続け、既得権をできるだけ長く手放すまいとしているのだ。対応の遅さはこの団体のエゴのほんの一端、とことん追い詰めるべきだと思った。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)



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発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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