中国:「一人っ子政策」の暗部 無戸籍者1300万人
毎日新聞 2012年08月01日 02時30分
世界最大の人口を抱える中国が、人口抑制のために「一人っ子政策」を実施して30年以上。これに反して生まれた2人目、3人目には戸籍がない例があり、「黒孩子(ヘイハイズ)(闇の子)」と呼ばれる。「『普通の人』と同じ生活がしたい」。黒孩子の一人で北京在住の李雪(り・せつ)さん(18)はこう訴えた。
李さんは93年8月、父李鴻玉(り・こうぎょく)さん(55)、母白秀玲(はく・しゅうれい)さん(53)の次女として生まれた。姉の李彬(り・ひん)さん(26)には戸籍があるが、李雪さん分は「一人っ子政策に違反している」として認められなかった。
両親が避妊を誤り、2人目を身ごもった。母親は小児まひの後遺症で脚が自由に動かず、中絶できなかった。母親は職場を解雇され、当局は一家に5000元(現在のレートで約6万1000円)の罰金を科した。93年当時の一家の全収入はわずか数十元だった。何度も戸籍申請に出向いたが、「文句があるなら(当時、国家主席の)江沢民の所に行け」と罵声を浴びせられた。