◇新日本プロレス G1クライマックス<第4戦>
▽18選手出場▽5日▽大阪・ボディーメーカーコロシアム▽観衆6500人(超満員札止め)
ノアの天才が新日本の天才を破った。ノアから参戦している丸藤正道(32)と新日本の現役IWGPヘビー級王者・棚橋弘至(35)のシングル初対決がついに実現。20分以上の大勝負となり、丸藤が不知火からタイガーフロージョンにつないで制した。試合後、丸藤は珍しくマイクを握って棚橋と新日本ファンを挑発。G1後も戦いが続きそうな情勢になってきた。
この試合は日本プロレス界待望の好カードとあって、G1の星争いを超えてファンの関心を集めた。開始とともに、相手がヘッドロックにくればヘッドロックで返す、ドロップキックを打たれればドロップキックを打ち返す。ライバル意識むき出しの攻防となった。
棚橋は相手の技を紙一重の差で急所から外す、受けの天才。一方の丸藤は、瞬時のひらめきで技と技をつなげる攻めの天才。この日は、丸藤の天才度が上回った。棚橋の必殺技ハイフライフロー(ダイビング・ボディープレス)を2度かわし、不知火で相手の後頭部をマットにたたきつけた後、繰り出したのがタイガー・フロージョン。故三沢光晴を倒すためにあみ出した、超高角度のパイルドライバーだ。
ノアの歴史がこもった最後の一撃が決まると、会場のノアファンは団体の象徴である緑色のタオルをあちこちに広げて歓喜。そして、頭を押さえたままうずくまる棚橋を見下ろしながら、丸藤は「ノアのチャンピオンでもない俺が、新日本のチャンピオンに勝っちゃったよ。棚橋、もう1回やりたいか?」と挑発。新日本ファンのブーイングと、ノアファンの歓声が交差した。
控室で棚橋は、IWGPのベルトを手に「ごめん、IWGP…」と言うのがやっと。新日本のエースとして、このまま引き下がることはできないだろう。真夏の夜の歴史的な勝負は、団体の威信をかけた抗争につながりそうだ。 (大西洋和)
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