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中皮腫発症 過剰な鉄分が原因
8月4日 4時36分

中皮腫発症 過剰な鉄分が原因
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アスベストが中皮腫と呼ばれるがんを引き起こすのは、細胞に鉄分が過剰に取り込まれることが原因だとする研究結果を名古屋大学のグループがまとめ、新たな予防法の開発につながると注目されています。

研究を行ったのは、名古屋大学大学院医学系研究科の、豊國伸哉教授のグループです。
建材などに含まれるアスベストは、臓器の表面にある「中皮細胞」と呼ばれる細胞のがん、中皮腫を引き起こすことが知られていますが、詳しい仕組みは分かっていませんでした。
グループでは、ラットの体内に10ミリグラムのアスベストを1回投与し、中皮細胞に与える影響を調べました。
その結果、投与したラットの中皮細胞には、通常の細胞と比べて鉄分が5倍程度多く取り込まれていて、ほとんどが中皮腫を発症したということです。
鉄分はアスベストそのものやアスベストによって壊れた赤血球に含まれていたとみられ、鉄分を多く取り込んだ細胞を詳しく調べたところ、がんを抑える働きのある遺伝子が傷つけられていたということです。
アスベストは現在使用が禁止されていますが、日本では今後40年で10万人以上の人が中皮腫で死亡するという専門家の試算もあります。
豊國教授は「中皮腫になると平均で7か月余りで死亡するといわれているが、鉄分を取り除くことできれば、新たな予防や治療につながると期待できる」と話しています。

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