ロンドン五輪の日本代表選手団壮行会が21日、都内で行われ、東日本大震災の被災地の子どもたちから、選手たちに心温まるプレゼントが贈られた。震災で大量に発生した流木のがれきを材料に使い、被害の大きかった宮城・石巻市と南三陸町の小中学生が、手作りでひとつずつ仕上げたお守り。選手たちの活躍を願うメッセージとともに、被災地からの思いが日の丸戦士に託された。
壮行会のステージ上、選手たちに、被災地の子どもたち31人が、プレゼントを手渡して回った。手作りのお守り。子どもたちを代表して石巻市立牡鹿中3年の佐藤瑞保さん(14)が「私たちは日本から応援しています。がんばってください」と、旗手の吉田沙保里と主将の村上幸史に応援の言葉を贈った。
直径4・5センチの木製メダルの周りに、リボンの飾りが施されたお守り。木の部分は津波で発生した南三陸町志津川地区の流木がれきが使われた。コシノジュンコさんがデザイン。被災地の仮設住宅に住む有志が飾り付けを手伝った。
そして、同町と石巻市の小中学生数百人が、お守り本体に選手たちへのメッセージを書き入れるなどして、手作りで仕上げた。「金メダルまってます」「メダルをいっぱいとってきてね」。子どもたちの名前とともに書き入れられたメッセージは、日本代表への期待がこもったものばかり。選手だけではなく、全選手団員分518個が作られ、この日、手渡された。
子どもたちの代表役を務めた佐藤さんは、津波で家を流された。家族に被害はなかったものの、今も市内の仮設住宅で生活している。男子に交じって野球をするスポーツ少女だが、現在は運動場に仮設住宅が建てられ、がれきが置かれていて、思うように体を動かす場所がない。「自分たちの分まで活躍してほしいという思いを込めてお守りを作りました」と明るく語った。
震災直後、避難所で生活していた時、元マラソン選手の谷川真理さん(49)が訪れ、一緒に走って励まされたという。「私たちもスポーツの人に元気をもらったので、今度は私たちが“がんばって”という気持ちを伝えたかった」。お守りに書き入れたメッセージは「全力で!! 強気」。短い言葉に願いを込めた。「女子マラソンも楽しみだけど、日本選手全体を応援します」。仮設住宅のテレビで観戦するつもりだ。
震災発生から500日目となる22日、被災地から届いたお守り518個分のエールとともに、日本選手団本隊はロンドンに出発する。
[2012/7/22-06:02 スポーツ報知]