金融監督院と韓国銀行がまとめた住宅価格シナリオに基づき、本紙が分析した結果、住宅価格が昨年末に比べ7%下落した場合、19万4000世帯がローン返済に行き詰まる「限界世帯」に転落することが分かった。限界世帯とは、所得の40%以上を借金返済に充て、資産よりも債務が多い世帯を指す。限界世帯の急増は金融機関の経営悪化につながる。不動産価格が7%下落しただけでも、銀行の債権のうち4兆ウォン(約2800億円)が新たに不良債権化する。これは昨年の銀行の純利益の半分に相当する。
住宅価格の下落とハウスプアの急増は、金融機関の不良債権を生み、消費と投資を冷え込ませ、経済全般に大きな衝撃を与える。LG経済研究院のキム・ゴヌ研究委員は「住宅価格の下落が長期化すれば、家庭と企業が消費と投資を減らし、景気後退が加速する可能性がある」と指摘した。
住宅価格が今後5年間に25%下落した場合はどうか。金融機関の不良債権は31兆ウォン(約2兆1000億円)、限界世帯は現在より43万7000世帯それぞれ増える。韓国銀行は、住宅価格が現在の75%まで下落すれば、ハウスプアは通貨危機当時を上回る打撃を受けると分析している。
■定年控えた中産階級に災難
不動産市場のハードランディングで大きな被害を受けるのは、定年を控えた50代の世帯主だ。A銀行の役員は「不動産融資規制の導入前にローンでマイホームを購入した人は、返済能力を上回る負債を抱えているケースが多い。利払いだけでよい(元金返済猶予型の)ローンで住宅を購入した50代の中産階級が不動産価格下落の直撃弾を受ける」と予測した。
KB金融経営研究所は、これまで元金返済が猶予されていた世帯が元金の返済を開始すれば、融資返済が所得に占める割合が49%に達すると分析している。所得の半分近くを借金の返済に充てなければならない計算だ。今のところ所得があるため、なんとか持ちこたえている50代の中産階級は、退職に不動産価格の下落が重なれば、借金返済のすべを失う可能性がある。