住宅価格下落に「ハウスプア」の悲鳴

 ノンバンクで課長を務める会社員の男性(42)は、2006年にソウル市中区にある5億1000万ウォン(約3500万円)のマンションを購入し、銀行から2億5000万ウォン(約1700万円)を借り入れた。月収500万ウォン(約35万円)のうち、利払いだけで110万ウォン(約7万6000円)が消える。元金を全く返せないまま、収入の22%に相当する利子を支払っている計算だ。マンション購入時には、3年後に住宅価格が上昇すれば、ローンの借り換えが可能だと考えていた。しかし、マンション価格は横ばいで推移した後、昨年からは下落を始めた。男性は「隣のマンションで4億5000万ウォン(約3100万円)の部屋が売りに出されたが、1カ月たっても下見に来る人がいないという話を聞き、心配が募っている」と話した。

 男性のように住宅ローン負担に追われ、家計が苦しい人は「ハウスプア」と呼ばれ、現在首都圏全域で増えつつある。今年6月時点で、ソウル市、京畿道、仁川市の住宅価格は1年前より3-5%下落し、下落ペースは徐々に速まっている。

■住宅価格25%下落なら通貨危機以上の衝撃

 住宅価格下落は、担保価値の低下につながり、金融危機を招く恐れがある。そうしたリスクは既に現実化している。今年3月末現在で銀行にローンの元金を返済しきれなかった場合、返済期限を繰り延べることができない住宅ローンの危険債権は44兆ウォン(約3兆円)に達する。

 韓国銀行が最近、金融機関の専門家74人を対象に韓国の金融システムの5大リスクを尋ねた結果、73%が「不動産市場の低迷」と答えた。今年初めに同じ調査を行った際、専門家は不動産市場の低迷を5大リスクには含めなかった。わずか半年の間に住宅価格問題が韓国経済のリスク要因として浮上した格好だ。不動産市場がハードランディングした場合、ハウスプアにはどんな結果がもたらされるのか。

金正薫(キム・ジョンフン)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>