2012-07-31
無料ユーザーは従業員である
しばらく前にこういう格言を聞いて、ずっとひっかかっていた。
「もしあなたが無料でそのサービスで使っているなら、あなたは客ではなく商品なのだ。」
無料でサービスを使うというのはいったいどういうことなのだろうか。たとえば自分が何か「無料のサービス」を開発する場合、ユーザーのことをどう考えればいいのだろうか。
ときおり、無料サービスのユーザーサポートがひどいとかなんとか、話題になったりする。無料で提供しているのだから文句を言うなという意見もあるし、実ユーザーとして損害を被っているという視点もあるし、どう考えるのがいいのか。上の格言によれば商品なんだから、商品そのものに向かってサポートは必要ないということだろうか。
たぶん、無料ユーザーというのは客ではない。ただし、格言にあるような商品でもない。実際は従業員だと捉えるのが、もっとも合理的ではないか。その時、ユーザーがどのような労働をしているのか、と考えるのが、提供者(胴元側)にもユーザーにも意味があることだ。そして、ひどいサポートに対しては、従業員サポートがなってない、ブラック企業であるとユーザーは怒るべきだ。
無料でなんらかのサービスを利用している場合、ユーザーは現物支給の従業員である。ユーザーとして好き勝手に振る舞えばいいというのが労働条件だから、事前に説明はない。あえていうなら利用規約がそれにあたる。なんだか楽しみながら労働できてしまうから気づかない。無料でラッキーと思っているが、実は労働である。自分で意識しているかどうかにかかわらず、なんらかの労働を行なっており、その対価にサービスを現物支給として利用している。この場合「顧客」は、どこか別のところにいると捉えるのが正しい。
ユーザーが多く集まってくることが、さらなるユーザーを呼ぶ条件になっているのなら、あなたは広告塔として働いている。ユーザーが利用することで、マーケティングデータがたまるということであれば、あなたはモニターとして働いている。ユーザーが利用することで、コンテンツが貯まりアルゴリズムが磨かれるというのであれば、あなたはコンテンツメイカーでありテストユーザーだ。ユーザーが利用することで、そのあとどこかで関連する商品を買うであろうのであれば…
私達が普通に買っている商品、お金を払っている商品に関しても、本当は微力ながら働いているのだ。ちょっとだけ、その分が商品価格から相殺されている。たとえば特定の顧客に関しては、みんながお金を払っているはずのものをサンプル等で無料提供されている。これは、その特定の人が、「他の人に広める」という広告労働をしているからだ。いままでは、その特定の人というのは芸能人などに限られた。たまたま、デジタルコピーにおいては原価が低く済むので、普通の人の微力な労働でも支払いゼロになるところまで均衡してきたということだろう。
ここには貴重な学びがいくつかある。
それが微々たるものだとしても、我々は単に消費するのではなく労働している。その労働が商品やサービスと釣り合えば、無料で利用することができる。
胴元の立場から見た場合、ユーザーをどう働かせるのかということが大切になる。このときユーザーサポートというのは正しくなくて、従業員サポートと言うのが正しいだろう。サービスを伸ばすために大切なことは顧客満足ではなく、従業員満足だ。ユーザーへのベネフィットではなくユーザーのモチベーションを高める。ユーザーコミュニティではなく従業員相互の助け合い。ブランドを守れないユーザー(従業員)には去ってもらう。サービスに貢献した従業員にはボーナスを(たぶん現物支給で)提供する。そうだ、我々は従業員なのだから、従業員組合が必要かもしれない。
無料サービスを多く利用する私は、これはもしかすると副業の規定に違反しているのかもしれない。大変なことになった。
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