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この作品には
〔残酷描写〕
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お兄ちゃんなんて大嫌い 2
お兄ちゃんなんて大嫌い 2
暑い……私の部屋にはエアコンがない、あるのは兄がひきこもる部屋とリビングだけだ。
しかし節電のために使用するわけにはいかない、この市営住宅の取り決めであるからだ。
扇風機の風だけが私を涼しくしてくれる。
そんな猛暑の中で涼しい部屋から飛び出してきた兄、
その眼は狂人のように血走っている。
その顔は怒りで赤くなっている。
その体は怒りで身震いしている。
「ふざけた真似するな!」
久しぶりに聞いた兄の声は怒声だった。
「何のこと?」
私はとぼけてみる。
あの小説を書いたのが私だという証拠はどこにもないからだ。
いいや、証拠はあるがパソコンの中、それに兄は私がパソコンを所有していることを知らない、
しかし怒っている。
あの小説を読んだことは間違いないようだ。
あの事実が偶然に一致するはずがない、自分のことを書かれて晒されたのだと信じて兄は怒っているのだ。
「とぼけるな!」
また怒声が飛んでくる。
兄は部屋を片っ端から物色し始める。
たぶんパソコンを探しているのだろう、でもあれは今はこの団地に住む友人に預けてありここには無い、
部屋をあらかた物色し終えると兄は凶暴な顔で私を睨みつける。
「あれがお前の仕業だとわからないとでも思っているのか?」
「だから何のこと?」
とぼける私の顔をいきなり兄は殴りつけてくる。
蹴られる。
髪に毛を掴まれ引きずられる。
苦痛にうめく私に何度も蹴りを入れてくる。
「どんな方法であんなことをしたか知らないが、舐めるなよ、この馬鹿!」
受けた暴力の苦痛でうずくまる私にそう言い残して兄は自分の部屋に戻っていく、
辺りに異臭を残しながら……
兄はほとんど風呂に入らない、散髪もしないから髪は伸び放題でその強烈な体臭とともに去っていく、
殴られた顔が痛い、
蹴られた体が痛い、
髪を抜かれた頭が痛い、
でもそれ以上に自分の心が本当に痛い……。
何とかしらければいけない、
いや……何とかしてもらわないといけない、
もうこれは家族の問題では済まなくなっているからだ。
母が帰ってきたら説得しよう、
兄をネットから引き離して隔離してもらうのだ。
私の通う高校にはカウンセリングの先生がいてこんな場合の対処の仕方を教えてもらっている。
兄を強制的に病院に入院させることも出来るのだ。
もうそれ以外にこの悪化する現実を改善する方法はないだろう……。
母は酒を飲んで酔っ払って帰宅した。
着替える暇もなく引いてある布団にそのまま倒れ込んで寝てしまう、
こんな状態じゃ話し合いや説得なんか出来はしない……。
この人も病んでしまっているのだ。
体が震えてくる。
涙が流れてくる。
それは怒りでも悲しみでも、そんな感情で言い表せない思いのせい……。
私も病んでいるのかも知れない……。
その責任は誰にある?
その原因はどこにある?
何もわからないこんな状況の中でどうして苦しまなければいけないのか…。
誰か答えられますか?
誰か教えてくれますか?
誰か救ってくれますか?
いいえ誰も助けてくれない、ネットの中では実際に手を握り合えないからだ。
この世界は嘘で溢れている。
この世界は偽善に溢れている。
この世界は隠したい真実を暴き出し公然とそれが晒される。
醜い人間達の心が産み出した怨念の世界なのだ。
私はもう決心する。
世間体など気にしない、
自分で動いてあの大嫌いなお兄ちゃんを何とかするのだ。
週明けに相談に行ってこよう、
そこで全てを話して力になってもらおう、
そうして最後にこのパソコンを自分の手で破壊しよう、
私にはこんな怨念の世界が耐えられない、
そこに集う全ての者たちが悪霊に見える。
だからこんな怨念に引き込まれる前に決別するのだ。
大嫌いなお兄ちゃんのパソコンと一緒に。
これを投稿した後、週明けまで友人の家に逃亡します。
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