東日本大震災:福島第1原発事故 東電のテレビ会議公開、報道制限変えず 録音、録画は禁止
毎日新聞 2012年08月02日 東京朝刊
しかし、録画・録音の禁止や個人名の報道についての制約は残したままで、これらの条件への同意を求めている。その理由を東電広報部は「声などで社員個人が特定されれば、部分的な映像のみで個人の責任が追及され、本人や家族など周囲の人が誹謗(ひぼう)中傷されかねない」と説明する。
毎日新聞は、録音禁止などの取材制限や独自に入手した映像でも報道を禁じるとした点などを「報道の原則に反する」として撤回・修正を求めている。
桂敬一・元立正大教授(メディア論)は「福島第1原発事故は全国民が当事者と言ってよい。記録は公共物と見るべきで、東電の都合で取材や報道に制約をかけるのはおかしい。東電はむしろ積極的に公開して事故の検証に資する姿勢が必要で、どう報じるかはメディアの責任と裁量に委ねるべきだ」と指摘する。
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■東京電力が報道関係者に示した主な条件
▽視聴室内での録画・録音・撮影・配信の禁止
▽他者が録画・録音・撮影した音声・映像・画像の報道も禁止
▽東電の事故調査報告書に記載されていない個人名を報道しない
▽条件に従わない場合、視聴室からの退出や今後の記者会見への参加を断る場合がある