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政治
【主張】首相と原発デモ 会うなら毅然と説明せよ
野田佳彦首相が、脱原発などを叫んで首相官邸周辺でデモを続ける「首都圏反原発連合」の代表者と近く面会する見通しとなった。
面会に応じるならば、首相は関西電力大飯原発3、4号機(福井県)を再稼働させた政府の方針を毅然(きぜん)とした態度で説明すべきである。
しかし、そもそも野田首相には、代表と会う義務はない。その必要性もまたないのである。
わが国は、公選によって選ばれた代表者に国政の判断を委ねる間接民主主義(代議制)を政体としている。
大飯原発は法律に基づく所定の手続きを踏んで再稼働されたものだ。すでに首相自身が記者会見を開き、再稼働の必要性を説明し国民に理解を求めている。
この政府方針に疑問を持つ国民はいるかもしれない。批判的な立場からの主張や、反対意見を表明する権利はむろん認められている。デモも自由である。首相がこれら国民の多様な意見に耳を傾けるのは当然だ。
だが、デモの人数の多さや威嚇的な言動、圧力などのため、いったん決めた政府の判断が覆されたり、歪(ゆが)められるようなことがあってはなるまい。大飯以外の原発の再稼働についても、安全性が確保されたなら、粛々と進めてゆくべきだ。
原発の再稼働に反対する立場の人たちも、政策を変更させたいなら立法府で多数派を形成して実現させるべきである。表面的な声の大きさを頼りにした「民意」を盾に首相に面会を迫り、自らの主張を突き付けていくやり方は、穏当な手法とはいえない。こうしたやり方は前例となり、禍根を残しかねない。
当初は代表との面会に消極的だった首相の判断が一転した一因には、首相の再稼働決断に批判的な鳩山由紀夫元首相と菅直人前首相が、デモ参加者に同調したことが大きいとされる。
同じ政府・与党内で首相を支えるべき立場の首相経験者2人が、政府の方針とは全く異なる立場で動いていること自体、理解できない。両氏は反省してほしい。
党内の結束を図ることと、国のエネルギー政策を左右する原発再稼働をめぐる判断とは全く別次元の話である。両者を一緒にして行動しようとしている野田首相の判断も、また批判されるべきだ。
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