高橋 弘 著 「素顔のモルモン教」


素顔のモルモン教  

「聖徒の未知ホームページ」をスタートした動機の一つは、モルモン教会の真実の姿に関する日本語の資料があまりにも少ないことでした。日本のいわゆる「反モルモン」の書物をいくつかあたってみても、キリスト教他宗派による教義批判が内容の中心となっているものが多かったです。しかし、宗教の教義に対する批判は、批判する側の信仰のフィルターを通したものとなっているため、モルモン教会を客観的に批判するという面では、いささか物足りなく、なかには著しい事実誤認すらしているものもありました。そこで私は、インターネットを通じてアメリカのサイトから入手した英文の情報を翻訳し、ホームページに整理して日本語で情報提供をしようと考えたのです。

最近になって、ここに紹介する「素顔のモルモン教」の存在を知りました。まず驚いたのは、この本には、まさに私が「聖徒の未知ホームページ」でこれからとりあげたいと思っていた情報がここに記載されているということです。モルモン教会の真実を歴史的/客観的事実により説明するこのような情報こそ、日本の教会及びその関係者に必要なのです。

著者の高橋弘氏が、日本におけるモルモン教の研究者であるということもわかりました。モルモン教会の真実の姿を日本国内で積極的に情報公開していくためには、私一人でいくら頑張っても限界があるのですから、このような研究者の方々との協力体制が不可欠と感じました。私は早速、高橋氏と連絡をとり、情報交換を開始しました。「素顔のモルモン教」は、残念なことに、既に絶版となっているということなので、高橋氏の許可をいただいた上で、当ホームページに全文転載することとしました。

「素顔のモルモン教」の重版が出来ました。こちらのページからご注文下さい。


高橋 弘 著 「素顔のモルモン教」 アメリカ西部の宗教−その成立と展開

本邦初の本格的な「モルモン研究」。
豊富な資料と文献に基づき、秘密のヴェールにつつまれている「モルモン教」の実態、その黒人差別や多妻婚の赤裸々な歴史、教団内部の論争等を、客観的かつ丹念に検証する。

発行所:株式会社新教出版社 ISBN 4-400-42417-0

著者 高橋 弘(たかはし・ひろし)
1945年、北海道生まれ。国際基督教大学卒業、同大学院比較文化博士前期課程修了。現在淑徳大学教授。(専攻、比較文化、アメリカ研究)
主要論文 "The Practice of Polygamy: Mormonism vs. U. S. Federal Government"(1994)、「人種主義の思想と論理」(1995)、「文化摩擦と人間類型」(1995)、"Republican Party in American Politics: A Historical Overview"(1995)
訳書 C・ノーマン・クラウス編「伝道、福音派、福音主義」(すぐ書房、共訳)、「変貌するアメリカの家族」(木鐸社、共訳)、他。


ハイパーリンクの項目をクリックすると、内容を読むことができます。

まえがき
T 素顔のモルモン教
はじめに 正典のない宗教 カリスマ宗教 「啓示」が最優先
される宗教
書き換えられた
「モルモン経」
変容するモルモン教 鉄のヒエラルキー 閉じられた宗教
今日の反動的政策と
モルモンの知識人
元老政治の伝統 モルモン教会の
ビジネス
指導者の収入
歴史的特長 モルモン教の
教理と神学
モルモン教の課題
U モルモン教の歴史
はじめに
一 説話にもとづくモルモン教の歴史
二 歴史学にもとづくモルモン教の歴史
1 ジョセフ・スミスの時代・・・時代背景/宗教的背景
2 ジョセフ・スミスの魔術時代
「最初のヴィジョン」 「モルモン経」と
金版の物語
「エノク書」と
シドニー・リグダン
「素顔のモルモン教」
3 カートランド時代
「エノク共同体」 初期の教会の特長 インディアン伝道 第一回、および第二回ミズーリー旅行
ミズーリー住民との
不和
ブリガム・ヤングと
秘密結社
「フリーメーソン」
紛争の激化 モルモン軍による
シオン奪回作戦
同族会社モルモン教とヒエラルキー 「知恵の言葉」と
食物規定
「アブラハムの書」
と黒人差別
土地の投機熱と
この世の富
モルモンの銀行事業 事業の失敗
4 ミズーリー時代
「モルモン戦争」の
始まり
戦争のドロ沼化 モルモン教徒による
破壊と略奪
ジョセフ・スミスと
ダナイト団
旧・指導者の追放 「モルモン戦争」
リグダン主犯説
ミズーリー時代の
モルモン教の特長
「モルモン戦争」を
どう見るか
イリノイへの遁走 ノーヴーへの定着と
町の建設
ヤングと英国伝道
5 ノーヴー時代
ドクター・ジョン・
ベネット
政治集団としての
モルモン教
モルモン教と
都市政治
エイブラハム・リンカーンとモルモン教
「特許状」を
めぐる問題
「人身保護令状」と
ノーヴー軍
暴力の奨励 合衆国への嘆願
世俗の権威に背を
向けるまで
「神の国」という
名の国家
「カウンシル・オブ・
フィフティ」
多妻婚
多妻婚の矛盾と苦悩 サラ・プラット夫人
の事件
フリーメーソンと
モルモン教
変貌する
モルモン教
ウィリアム・ロウと
内部分裂
破壊と破局 エピローグ
V モルモン内部の歴史論争
論争の始まり 教会当局の歴史家批判
批判の具体的内容

その1・専門用語
について

その2・過去の出版物の扱いについて その3・啓示の物理的
環境について
その4・信仰との
関わりについて
その5・歴史学は
必要か
その6・一元論的
歴史観の是非
その7・最大の争点、モルモン預言者無謬説
教会当局の本音 ベンソン、
マコンキー論文
付録・論争の顛末記 所感
W モルモン教と黒人問題
差別の思想と
その根拠
矛盾の露呈 黒人差別撤廃宣言と
その矛盾
モルモン教と
奴隷制度
ジョセフ・スミスと
奴隷制度
ユタにおける
奴隷制度
ブリガム・ヤングと
奴隷制度
黒人エライジャ・
エイブルとその一族
エライジャ・エイブル 息子エノク・エイブル 孫エライジャ・
エイブル
モルモン指導者の
黒人観
ジョセフ・スミスの
黒人観
ブリガム・ヤングの
黒人観
その後の経緯
年表
あとがき

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