震災:被災の大川小 母8人が亡き子の思い出を出版
毎日新聞 2012年08月04日 15時00分(最終更新 08月04日 15時42分)
絵を描いたのは、絵本作家の松成真理子さん。子供たちの写真を見たり生活ぶりを聞いたりして、何度も描き直した。紅白帽をかぶって笑顔を見せる運動会での元気な姿。震災1週間後の卒業式を楽しみしていたはかま姿。昆虫好きで手に緑色のバッタをのっけた姿……。在りし日のいとおしい我が子が描かれている。
文章は母8人の手紙を基にした。「スポーツ大好き。名前の通り、みんなに愛される子だった」(狩野愛さんの母あけみさん)
6年生の長女理沙さんと3年生の長男昌明君を亡くした福田みゆきさん(45)が中心になってまとめた。「抱っこすることも、ココアを作ってあげることも、もう何もしてやれないから」。書きながら泣き、読み返しては涙した。「読書好きの2人が絵本に登場するなんてすてきなこと。思い出を作ってあげられたかな」
福田さんは多くの母親に読み継がれることを願い、書店の震災コーナーでなく児童書の一角に置いてほしいと望む。初版4000部。印税はすべて大川小の児童を捜索する重機代に充てる。同小では4人の児童が、いまだ見つかっていない。【鈴木梢】