住宅取引氷河期、売買が金融危機時の半分に

 ソウル市江北区にある5000戸規模のマンション団地では最近、売買が全く成立しない状態だ。付近の不動産代理店約20カ所は開店休業状態で、一部は営業を中止し、休業に入った。

 不動産代理店の経営者(45)は、机の引き出しから使い古した売却物件帳簿を取り出し「これは1月に売りに出された物件なんだが」と顔を曇らせた。この帳簿には3ページにわたり、約40件の売却物件が載っていた。経営者は「もう長いこと契約書を書いていない。この物件では需要が多い59平方メートルの物件1戸が6月に売れただけだ。金融危機直後の2008年8月でさえ、9件の売買があったのに」と語った。

 住宅市場は今、過去最悪の低迷期を迎えている。政府が06年に統計を取り始めて以降で最低の水準だ。相場より数千万ウォン(数百万円)安い至急売却物件にも買い手が付かない。住宅取引が活発とされてきたいわゆる「バブルセブン」(首都圏の人気住宅物件7カ所)でも、金融危機当時に比べ、成約件数が半分に落ち込んだ。裁判所の競売市場では、入札が2-3回不調に終わり、価格が鑑定価格の半額まで下落した物件が相次いでいる。無理なローンでマイホームを購入した「ハウスプア」の人たちは、価格下落と売却困難により、破産の危機に直面している。

■人気物件も閑古鳥

 ソウル市の江南、瑞草、松坡、陽川の各区、京畿道の盆唐、坪村、竜仁の3地域の計7地域は韓国で最も人気がある住宅地で、「バブルセブン」と呼ばれる。しかし、これら地域も住宅市場低迷による直撃で、第2四半期(4-6月)の売買件数は約8400件にとどまった。金融危機が始まった08年の同じ時期(約1万6000件)の半分という状況だ。特に陽川区、坪村新都市では成約件数が60%以上減少した。

 不動産情報サイト「不動産114」のキム・ギュジョン本部長は「陽川区と坪村新都市は、人気学区を狙った需要が減った上、再開発による好材料が下火となり、相対的に落ち込みが激しい」と指摘した。

 バブルセブンに属する各地域でランドマークとなっているマンションでは、価格が急落している。一時は富裕層のステータスと称されたソウル市江南区道谷洞の「タワーパレス第1期」(面積165平方メートル)は、2006年の33億ウォン(現在のレートで約2億2700万円、以下同じ)から現在は18億-22億ウォン(約1億2300万-1億5100万円)に暴落した。瑞草区盤浦洞の「来美安ファースティージ」(87平方メートル)も09年7月の入居開始以来初めて、9億ウォン(約6200万円)を割り込んだ。道谷洞の「道谷レクスル」も109平方メートルの物件が10年の13億ウォン(約8900万円)から今年5月には9億6000万ウォン(約6600万円)へと26%も下落した。

ユ・ハリョン記者 , 鄭漢国(チョン・ハングク)記者
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