「周辺で投げ売りされている売れ残りマンションがたくさんあるというのに、家を買うはずなどないですよ」
京畿道高陽市のあるマンション団地は、4000戸を超える規模だが、半分以上は発売から1年以上も売れ残ったままだ。建設会社は当初より分譲価格を15%以上値下げしたが、それでも買い手が付かない。購入した契約者の半分に当たる約1700人は「入居できない」として、建設会社を相手取り購入代金の返還を求める集団訴訟まで起こしている。周辺の不動産業界関係者は「分譲価格は当初の1坪(3.3平方メートル)当たり1400万ウォン(約96万円)から1100万ウォン(約76万円)に値下がりしたが、周辺には更に安いマンションが無数にある。住宅価格の下落が集団入居拒否の原因だ」と説明した。
取引が成立しなくなった住宅市場では、売れ残りマンション、未入居マンションがもう一つの「爆弾」となっている。専門家は売れ残りや未入居が増えると、ただでさえ冷え込んだ投資心理を更に冷え込ませ、周辺の住宅価格、住宅売買の回復に冷や水を浴びせると指摘する。
現在韓国全土には売れ残り住宅物件が6万2200戸ある。このうち首都圏だけで2万6000戸を数える。首都圏の新築マンションの平均分譲価格が4億ウォン(2760万円)前後だとすると、10兆ウォン(約6800億円)近い規模だ。
建設業界は売れ残り物件を処分するため、投げ売りに近い値引き販売を開始した。ソウル市麻浦区の店舗複合型のマンションは、2億4000万ウォン(約1650万円)まで値下げされた。ソウル市江東区高徳洞のマンションは完成から2年半がたったが、中型以上の物件が売れ残り、15%値下げされた。不動産業界関係者は「一部の物件は、当初の分譲価格を30%下回る価格で売られており、周辺のマンション市況にも悪影響を与えている」と指摘した。
仁川市や京畿道高陽市、坡州市など首都圏西部では、入居予定者がそれまで住んでいた物件を売却できず、新居に入居できないケースが続出している。昨年6月に入居が始まった仁川市青蘿地区のマンションは、現在入居率がようやく60%を超えた段階だ。大手建設会社の関係者は「入居を促すために、新居に対する差し押さえ通知書を送付しても、『住んでいる家が売れないのに、どうしろというのか』という答えが返ってくるばかりだ」と話した。
残金を払えなくなった住宅購入者は、分譲価格を1000万-2000万ウォン(約69-137万円)下回る価格で物件を売却している。売れ残り物件が多い高陽・坡州地区では、2007年末と比べ、マンション価格が60-70%の水準まで急落した。
韓国住宅協会のキム・ドンス政策室長は「未入居物件を解消するためには、住宅を実際に必要としている人に対し、総負債償還比率(DTI・年収に占める債務返済額の割合)に関する規制を廃止すると同時に、不動産取得税の減免が必要だ」と指摘した。