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【社会】

石綿中皮腫は「鉄」原因 名大院教授ら発見

2012年8月4日 14時39分

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 アスベスト(石綿)による悪性中皮腫の発症は、石綿が肺などの中皮細胞に集める過剰な鉄が原因となっていることを名古屋大大学院医学系研究科の豊国伸哉教授や●麗(しょうれい)研究員らのグループがラットを使った実験で突き止めた。早期発見が難しい中皮腫の検査方法や、がん化する前に鉄を取り除くといった予防法開発が期待される。研究結果は3日、英病理科学誌ジャーナル・オブ・パソロジーに掲載された。

 中皮腫は、肺や胃など内臓の外側にある中皮細胞ががんになる病気。石綿は呼吸とともに取り込まれ、特に肺に発症することが多い。豊国教授によると、吸入から30〜40年後にがん化し、国内では2000年以降年間1000人が発症。今後40年で10万人以上が死亡すると試算され、発症の遅延法や予防策の開発が急務となっている。

 石綿は、鉄を含まない白石綿と、鉄を含む青石綿、茶石綿の3種類がある。豊国教授らは、97匹のラットを3グループに分け、各石綿を腹部に投与。すべてのラットが中皮腫を発症した。各グループのラットの中皮腫周辺の細胞の鉄含有量を測定したところ、どのグループも健康な場合の3〜5倍の鉄を含んでいた。

 白石綿は鉄を含まないため発がん性が低いとされ、今も日本以外のアジア諸国で使用。しかし今回の研究で、白石綿が体内の赤血球から鉄を過剰に集めていることも分かった。

 豊国教授は「過剰な鉄が発がんの原因となっていることが分かった。早期に中皮細胞の鉄を取り除く治療ができれば、発症の予防や遅延につながる可能性がある」と話している。

(中日新聞)

※●はくさかんむりに将の旧字体

 

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