アスベスト(石綿)によって中皮腫を発症する過程で、体内で鉄が過剰な状態になっていることを、名古屋大大学院医学系研究科の豊国伸哉教授(生体反応病理学)らの研究チームがラットを使った実験で発見、4日に英病理学会誌電子版に発表した。
中皮腫の治療法は確立されておらず、早期発見でなければ治癒は難しいというが、豊国教授は「将来的には、鉄を何らかの方法で取り除くことで、予防法の開発が期待できる」と話している。
鉄は成人1人の体内に4グラムほどあり、うち60%は赤血球で酸素を運ぶ役割があるタンパク質「ヘモグロビン」の構成成分だが、量が過剰になるとがん細胞や細菌などを攻撃する「活性酸素」を発生する化学反応の触媒になるという。
研究チームは商業用に使われた3種類のアスベストを腹腔(ふくくう)内に投与したラットに、触媒作用を強める薬剤をさらに投与した。その結果、どのアスベストでも中皮腫の発生が何もしない時より約2カ月早くなった。
この中皮腫を特殊な方法で解析すると、ほとんどの腫瘍で人間の中皮腫でも60%の頻度でみられるがん抑制遺伝子の欠損がみられた。この欠損は鉄が過剰にある状態による発がんとの関連が指摘されているという。
さらに周辺の臓器に含まれる鉄の量を測定すると、3種類のアスベストすべてで鉄が沈着していることを確認した。豊国教授は「中皮腫の発症過程で、局所的に鉄が過剰になることを明らかにできた」としている。〔共同〕
豊国伸哉、アスベスト、名古屋大
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