Updated: Tokyo  2012/08/04 09:25  |  New York  2012/08/03 20:25  |  London  2012/08/04 01:25
 

シャープ株が38年前の水準に沈む、巨額損失続き財務懸念―東京市場

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  8月3日(ブルームバーグ):シャープ株が約38年ぶりの安値に沈んだ。液晶テレビ不振の継続を受けた62年ぶりの人員削減負担などで2年連続の巨額損失が明確となって財務懸念も高まり、信用格付けや投資判断の下げが相次いだ。

午前中にストップ安(値幅制限いっぱいの下げ)となる前日比80円(30%)安の187円を付けた。ブルームバーグ・データによると1974年11月以来の低水準で、下落率は把握可能な同年9月以来で最大。終値は同28%安の192円。国内上場株での売買代金は首位の473億円。値下がり率や日経平均株価への下落寄与度も1位。

同社は2日、液晶不振を主因に今期(2013年3月期)営業損失予想を200億円の黒字から1000億円の赤字に一転させた。06年発行の無担保転換社債型新株予約権付社債 (CB)2000億円の償還期限を来年9月末に控え財務体質改善のための大規模リストラを強いられることから、純損失予想は従来の8倍強の2500億円へと拡大した。

これを受け信用力に対する市場の評価は急速に悪化。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)5年物は2日に135.7ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の897.7bpと過去最高を更新。同CB価格も急落した。

今期の財務改善計画には、台湾の鴻海精密工業グループを筆頭株主に迎えることで調達する669億円も含まれる。BGCパートナーズのアナリスト、アミール・アンバーザデ氏は、鴻海が「シャープを助けるため追加出資するか、もしくは撤退も考えられる」と指摘した。

3日午後には米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、鴻海の広報担当者が、シャープが望めば出資拡大も検討すると語った、と伝えたのを受け、株価の下落率が僅かながら縮小する場面があった。鴻海グループが現在予定している出資比率は9.9%。

格下げ続出

決算発表を受け、JPモルガン証券やクレディ・スイス(CS)証券が投資判断を下げた。CS証の土屋俊祐アナリストは3日付リポートで、CB償還を勘案すると「契約通り鴻海からの増資が実行されても、キャッシュ面に余裕はない」との見方を示した。

米格付け会社ムーディーズは3日、外部借り入れ依存度が高まる可能性が増したとしてシャープの短期格付けを1段階下げ、投資適格で最低のレベルにしたと発表。フィッチも、リストラが収益急回復につながらない場合は今後半年から1年で、投機的水準に引き下げる公算が大きいと発表した。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 小笹俊一 sozasa@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.netMichael Tighe mtighe4@bloomberg.net

更新日時: 2012/08/03 17:56 JST

 
 
 
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