前半、先制ゴールを決め喜ぶ大儀見=ミレニアムスタジアムで(沢田将人撮影)
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◇ロンドン五輪 女子準々決勝 日本2−0ブラジル
【カーディフ(英国)垣見洋樹】初の金メダルを狙うサッカー女子のなでしこジャパンは3日、当地で行われた準々決勝でブラジルを2−0で撃破し、2大会連続の4強入りを果たした。なでしこは6日午後5時(日本時間7日午前1時)開始の準決勝でフランスと対戦する。序盤は守勢に回っていたが、前半27分にFW大儀見優季(25)=ポツダム=が自身今大会初ゴールとなる先制弾。後半も苦しい展開が続く中、FW大野忍(28)=INAC神戸=が追加点を決めて突き放した。
序盤から耐える時間帯が続いたなでしこジャパンに、貴重な先制ゴールが生まれた。前半27分、センターサークル付近で得たFK。百戦錬磨のMF沢が一瞬の隙を突き、前線の大儀見へ素早くボールを送った。必死に追いすがるブラジルのDFブルーナとMFフォルミガを振り切った背番号「17」の目の前には、相手GKしかいなかった。右足から放たれたシュートはゆっくりとゴール右隅に吸い込まれた。
試合開始からブラジルの猛攻を受けた。前半20分すぎまでボール支配率はブラジルの70%以上。だが、波状攻撃をしのぐと、なでしこの反撃が始まる。好機をつかみ、大野、宮間、川澄が次々とシュートを打ち込む。そして、今大会3試合でゴールを奪えていなかった大儀見がついに好機を確実にモノにした。
1次リーグ最終戦の南アフリカ戦で、佐々木監督が後半途中から「引き分け狙い」を指示し、2位通過したことで非難を浴びた。だが、準々決勝でのコンディションを考慮すると、移動なしでカーディフで戦えるメリットは大きい。W杯で優勝した瞬間から「五輪の金メダル」に照準を合わせてきたチームにとって、この一戦は絶対に負けるわけにはいかなかった。結果だけが周囲を黙らせられるからだ。
先制点を決めた大儀見にとっても、何としても欲しいゴールだった。「4年前のリベンジというより、ドイツに負けて個人の力のなさを感じた。あの悔しさがあったからドイツにいった。個人でどれだけ(ゴールを)取れるかというチャレンジがしたい」。メダルを逃した北京大会から4年。このまま不発に終わるわけにはいかなかった。
大会前に旧姓の「永里」から「大儀見」に登録名を変更。「大儀見優季という人間の新しいチャレンジ。一つのきっかけにできるし、また新しい表現になる。自分1人のためだけじゃないし。結果を残したい」。日本女子歴代3位の39ゴール目が今大会初得点。世界一に輝いたチームのエースという称号を得るため、大儀見はこれからもゴールを狙い続ける。
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