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水俣病:特措法申請締め切り 被害訴える人はまだいる 不知火患者会、街頭などで抗議活動 /熊本

毎日新聞 8月1日(水)16時15分配信

 水俣病被害者救済特別措置法(特措法)の申請期限の31日、期限撤廃を求めてきた水俣病の最大患者団体「水俣病不知火患者会」は街頭などで抗議活動をして「被害者はまだまだいる」と訴えた。県庁で記者会見した大石利生会長(72)らとの一問一答は次のとおり。【取違剛、澤本麻里子】
 −−今後どのように被害者救済を訴えていくか。
 「不知火患者会には現在6500人の患者がいる。このうち特措法に申請している3500人超の救済を勝ち取ることが当面の課題だ」
 −−特措法では「あたう限り(可能な限り)の救済」がうたわれているが。
 「すべての被害者を救ってこそ『あたう限りの救済』だ。加害者の国、県が被害住民の検診さえせず済ませるのは暴挙というしかない。被害を訴える人はまだまだいる」
 −−これからも救済申請を受け入れるよう求めていくのか。
 「特措法は『少なくとも3年間』として10年5月に始まった。しかし3年を待たずに締め切るのは、救済よりも早く問題の幕引きをしたい思惑があるからだと思う。少なくとも来年4月までは申請を受け入れるべきだ」
 −−04年の最高裁判決で確定した国、県の加害責任は少しでも償われたか。
 「そうは思わない。私たちは不知火海沿岸、47万人の全住民の健康調査をすべきだと言ってきた。それをしない国、県に被害者を救済しようという気持ちはない」
 −−蒲島郁夫知事の姿勢はどうか。
 「(新潟水俣病の発生地として申請期限撤廃を環境省に求めた泉田裕彦)新潟県知事に比べ被害者を救おうという気持ちがない」
 −−8月以降、国側はどうすべきか。
 「被害者を救う気持ちがあるならば、特措法を恒久化しないとすべての被害者は救えない。期限を切った救済など救済ではない。被害者がいる限り救済すべきだ」
 ◇「十分な救済だ」−−芦北の会
 一方、水俣病被害者芦北の会(津奈木町)の村上喜治会長(63)は「特措法の救済申請者は6万人を超える勢いだ。これだけの人数が申請できれば十分な救済になっていると思う。国や県、チッソは今後、医療や福祉、もやい直しの問題に支援をしてほしい」と話した。
 ◇「医療福祉など要望していく」−−水俣市長
 宮本勝彬水俣市長は31日「水俣市では救済策を知らなかったというようなことはないであろうと思うし、健康不安を抱える方々には申請していただけたと思っている。残された個々の問題や胎児性・小児性患者の医療福祉、地域振興などについて国や県に要望していく」との談話を発表した。
 ◇「相談窓口」表示板設置−−県庁
 31日午後5時半すぎ、県庁の水俣病保健課入り口にあった「水俣病被害者申請窓口」の看板が外され、「水俣病相談窓口・水俣病認定申請窓口」の表示板が新たに設置された。同課の田中義人課長は「明日からも相談は受け付けます。認定申請をいただいた方の早急な検診、判定の事務を精いっぱいやっていきたい」と話した。
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 ◇これからも向き合っていく−−細野環境相が会見
 細野豪志環境相の31日の閣議後会見の主なやり取りは次の通り。
 Q あたう限りの救済ができたのか、できなかったのか。8月以降、手を挙げる人が出てきたらどう対応するのか。
 A 7月末までということで周知広報を徹底してきた。政府だけでなく、地元でさまざまな活動をしてきた皆さんの大変なご努力もあった。その結果として申請される方の数が増えているということは前向きな結果として受け止めている。
 Q 8月以降は?
 A 今日はまだ申請を受け付けている段階なので、それをしっかりやりきるということが大事だと思う。8月以降については改めて説明させていただきたい。
 Q 現段階で手を挙げていない方にとって今日の申請期限は現実的ではない。8月以降、大臣としてどう対応するのか。
 A 同じ答えで恐縮ですが、改めて8月にご説明したい。
 Q 大臣としては、あたう限りの救済に向けての環境づくりは広報などを通してできたと考えているか。
 A 申請数が当初の予想を超えて増えてきたというのは関係者の皆さん、さらに政府、自治体関係者の努力の結果だと思う。
 Q 救済対象地域で不公平感が残る状況になっているが。
 A 地域については裁判所の和解の考え方に基づいて設定し、さらに皆さんのご意見をうかがって拡大する形で設定したもの。ただ、区域以外についても申請していただければしっかりと判断していくという形になっている。線引きをして、後は受け付けないというわけではない。私は適切なものではないかと思っている。
 Q 8月以降、提訴などの動きの懸念はないか。
 A 水俣病がここで終わったわけではない。改めてこの水俣病と、この問題を起こした深刻な状況であるとか、国の責任であるとかを強く自覚した。これからも水俣病対策、この問題にしっかりと向き合っていくことが重要だと思う。
 Q 申請期限延長あるいは再開の考えは。
 A あたう限りの救済に向けて努力をしてきた。これをまずはやり抜くことが大事だと思う。

8月1日朝刊

最終更新:8月1日(水)16時15分

毎日新聞

 

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