団体で初の銅メダルを達成した女子アーチェリー。個人戦で2日に日本のエース、早川漣(れん)選手(24)が対戦したのは、母国の奇甫倍選手(24)だった。韓国時代からよく知る同期の選手だ。
「相手は格上。自分はチャレンジャーだから気持ちは楽だったんですけど」。3セットともとれずに完敗した後、いつものように素っ気なく話した。
銅メダルをとった翌日。早川選手の表情が陰っていた。新海輝夫チームリーダーは、すぐ察しがついた。日本のネット掲示板に自分への批判が書き込まれているのを、また、見てしまったのだ。「何のためメダルをとったんだろうと、心が折れました」と早川選手。
韓国・全州出身。姉の浪(なみ)さん(27)を追うように日体大に入学。3年前に日本国籍を取り、女子アーチェリーを引っ張る存在になった。
だが、日本に来たのも、国籍を変えたのも、もとはアーチェリーのためではなかった。家庭の都合があったし、韓国での厳しい選手生活に区切りをつけたかった。日本国籍の方が奨学金を借りやすいとも聞いた。