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【サッカー】

権田 エジプト戦へ準備万端

2012年8月3日 紙面から

日本−ホンジュラス 前半、好セーブの権田=コベントリー競技場で(共同)

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 【コベントリー(英国)松岡祐司】44年ぶりのメダル奪取へ一歩前進−。サッカーの男子日本代表は1日、1次リーグ最終戦でホンジュラスと0−0で引き分け、2勝1分けの勝ち点7でD組1位突破を果たした。優勝候補でC組1位のブラジルとの対戦を回避し、4日正午(日本時間同20時)開始の準々決勝では、C組2位のエジプトと激突することが決まった。日本は先発メンバーを5人入れ替えたが、GK権田修一(23)=FC東京=を中心にした粘り強い守備で3試合連続完封を飾った。一夜明けた2日は当地で調整練習を行った。

 スタメンを5人入れ替え、思惑通りの「首位突破」。開始からチグハグな展開にあって、勝ち点を奪う分岐点があった。それは周到な準備であり、正確な判断であり、技術だった。前半残り6分間で訪れた2度の危機。守ったのは「全員」だが、立ちふさがったGK権田にすごみがあった。

 「世界が相手なので1試合で1、2回のピンチはあると想定していた。映像を見たりして、(相手の特徴など)最低限のところは確認していた。いい準備ができて、いい対応ができたと思う」

 前半39分、ゴール前に浮き球の縦パスが入ると、ベントソンの絶妙な胸トラップで鈴木、吉田がかわされた。急角度の右足シュートが猛襲する。それでも、権田が間一髪、右手先でセーブした。さらに、こぼれ球にも即応して、押し込ませない。3分後、今度は自陣FK。フィゲロアのストレート弾は相手に触れてコースが変化した。でも、権田は一呼吸置いてから左へ跳び、弾き出した。デッドゾーンギリギリのビッグプレーだった。

 「壁が割れないという信頼がある中でも、ボールは抜けてくるか、誰かに当たるかも。『先に倒れないでおこう』とイメージしていたのが生きた」。準備して、慌てず地に足をつけて待った。この判断がすべてだった。

 「練習でもボールがゴールに全然入らなくなって、もしかしたらすごい選手になるかもしれない」。中学1年から約5年間、権田を指導した浅野寛文・元FC東京育成部GKコーチがそう感じたのは、権田が中学3年の冬だった。「普通か、少し上」のレベルだった若いGKは、失敗を修正する能力でどんどん力をつけていったという。

 「どうやったらできるのか、当時からずっと考えていた。同じミスをするのは絶対に嫌だったから」(権田)。たった一つのミスが許されないポジションだからこそ、犯したミスとはとことん向き合う。そんな権田のスタイルが、一つの花を開かせようとしている。

 1次リーグ3戦無失点は日本史上初。でも、そんな勲章はいらない。準々決勝のエジプト戦へ、守護神は「最高の準備をして臨む」。日本に持ち帰るのは、44年ぶりのメダルと決めている。

 

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