4%のインフレ目標でデフレ脱却の姿勢示せ――岩田規久男・学習院大学経済学部教授《デフレ完全解明・インタビュー第1回(全12回)》(2) - 11/02/10 | 12:13 |
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その結果、円高も進んだ。米国はインフレ、日本はデフレなので、円の購買力は持っているだけで上がる。通貨の価値は国力の反映だというけれども、今は、ただデフレだから上がっているだけだ。
リーマンショック後、英国は2・4倍、スイスは2・8倍、スウェーデンは4・5倍にMBを増やした。ユーロですら1・5倍にしている。それでプラスのインフレ率を実現している。世界同時不況で需要は当然減るので、このぐらいのことをしないと、デフレになる。そういう意味で日銀は世界の中央銀行の中ではあまりにも異質なのだ。それでも、白川総裁はフロントランナーだと言っている。
――なぜ、認識に違いがあるのでしょうか。
一つは日銀には1970年代の石油ショックの頃のインフレのトラウマがあると思う。それに、80年代のバブルのトラウマ。
日銀の企画局では「低金利を続けると副作用がある」と言って、株価や地価の上昇をとても警戒している。速水優元総裁が、デフレ下にもかかわらずゼロ金利を解除した00年8月、福井俊彦元総裁がインフレ率ゼロ%なのに量的緩和の解除に踏み切った06年3月、その時の日経平均株価は、共に1万6000円台だった。つまり、デフレでもゼロインフレでも、1万6000円を超えてくると、金融引き締め政策に転換してしまう。
しかし、30年代の大恐慌でも昭和恐慌でも、中央銀行がデフレ退治を始めるとまず起こるのが株価の急騰だ。株価は先行指標なので当然だし、日本の株価は2万円台にならないと正当な評価ではない。日銀は羹に懲りて膾を吹いている。
そもそも、インフレ目標を導入している国発のバブル崩壊による金融危機は起きていない。バブル崩壊による金融危機が起きたのは、導入していない日米だ。
ブタ積みでも効果あり 重要なのは期待形成
――量的緩和を行っても、日銀の準備預金が増えるだけで、おカネは市中には回らず、消費も設備投資も増えないのではないですか。
よくそういう「ブタ積み」論が出てくるが、デフレ脱却のためには貨幣は増えなくてよい。前回の景気回復が始まった02年以降も貸し出しは05年まで減っていた。当時も企業はカネ余りの状態だったからだ。しかし、企業の設備投資は増加していった。自己資金で設備投資をファイナンスした。今も企業は貯蓄超過なので、貸し出しルートは問題ではない。予想インフレ率が上がると、死蔵されている貨幣の流通速度が上がるからだ。そうすると、いずれ貸し出しも増える。重要なのはインフレになるという期待であり、人々の期待に働きかけることだ。
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