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「日本の右翼民族派団体で、新右翼の代表格と言われている一水会(いっすいかい)が7月21日に公開した『原発技術なんか、朝鮮人にくれてやれ!』と題したブログが、ツイッター上で波紋をひろげている。
私は23日の午後、自分のツイッターのタイムラインに表示されたURLをクリックし、その後絶句した。同ブログは一水会の公式サイトからリンクされており、事実上公式な見解であると捉えられている。
ブログでは冒頭に、同会がチェルノブイリの頃からの一貫した脱原発派であり、現在でも、統一戦線義勇軍議長・針谷氏が主催する『右から考える脱原発集会』に協力していると表明。
また、毎週金曜日に行われる首相官邸前のデモにも会員有志が個人の資格で参加するなど、現在でも活発にその活動を行っていると明らかにした。
次いで、ネット上には反原発活動に対して、『韓国が日本の国力を弱めるため』『原発技術者を大量に引き抜いて日本の原発技術を盗む』『そして海外での原発受注合戦を有利に進めようと企む』などの陰謀であるとする嫌韓派もいると紹介。
ネット上でその証拠であるとされる画像が添付されていたが、その証拠とは反原発のプラカードの裏にハングル文字が書かれているだけのものであった。
その後、同ブログには『『原発』と『ハングル』って、よく似合うんじゃね?』『そもそも原発とは、非常に『不潔な技術』なのです』といった刺激的な言葉が続いた。
そしてこのブログの最後は『『原発技術なんか朝鮮人にくれてやれ。穢れた技術は、穢れた民族にこそ相応しいのだから』と(H)』と、目を疑うような言葉で結ばれていた。しかも、『穢れた』以降は赤字で強調までされていた。」
それに対する鈴木邦男氏の釈明が次のとおりである。
「一水会の件に関しまして、たくさんの方から批判を頂きました。当然です。当該ブログが一水会の公式見解ではないにしろ、今回に件に関してはあまりにも酷く、そして沢山の方々を傷つけたことは間違いありません。
そして、一水会の運動に関しては、今は一切関与していない顧問という立場ではありますが、私としても木村君にしても、全面的に謝罪します。本当に申し訳ありませんでした。
事実をお話しますと、私も一昨日の夜中まで、この件に関してまったく知らずにいてしまいました。周りの方からお話を聞いて初めて知ったというのが事実です。ネットでの発言に関して一水会としても把握することができていなかったという点についても問題がありました。申し訳ありません。
今回の件であぶり出された『差別意識』。今まで一水会がどれだけ苦心して否定、非難してきたのにも関わらず、一瞬にして崩れ去ろうとしています。一水会が『最も嫌悪して憎む』ことをしてしまったという事実は、否定できません。全面的に謝罪します。
把握をできていなかった、私、代表、そして会の人間も、一様にショックを隠しきれていません。驚きと怒りと、悲しみでいっぱいです。しかし、今回の発言をした会の人間がいるという事実は、真摯に受け止め、そして一水会内でも改めて議論します。
すみません。少しお休みしていました。謹慎です。あれこれと、つぶやく気になれませんでした。本人はあまり考えずに書き込んだつもりでも、それがどれだけ多くの人を傷つけるか。また、チェックできていなかった側の責任もあります。気付かなかったとはいえ、一水会の前代表、私の責任でもあります。
『謝罪して済む問題か!』とお叱りの声もあります。当然だと思います。この問題は私も一生、自分の問題として引き受けるつもりです。排外主義者などいないはずなのに、筆がすべったでは済まされない、あのようなことを書いてしまったこと。
それに対して、ただ、ただ、謝るしかありません。『お前達も在特会と同じじゃないか』とも、言われました。返す言葉もありません。
安田浩一さんの『ネットと愛国=在特会の「闇」を追いかけて』はとてもいい本です。在特会に共感するところはない。でも、この現象は何だと思い、追いかけながら在特会には取材拒否され、追い返されながら安田さんはいいます。
『在特会とは何者かと聞かれる事が多い。そのたびに私はこう答える。 <あなたの隣人ですよ…。>』
この『隣人』は私たちの中にも住み着いている。右翼運動を過激にやっていた過去の私自身の中にもいる。学生時代は我々の仲間が増えれば日本はよくなるとし単純に思っていました。この日本を愛せないような奴らは日本から追い出すべきだと思った。
まったく在特会と同じだ。今でも右翼の人たちが酒席でつい酒の勢いで排外主義的なことを口走る事もある。しかし『あっ、いけない。人前でいってはいけない』と後で気付く。だから、文字にして書いたりしない。自制心が働く。
でも、ネットだと、ネットに酔ってしまうのか気が大きくなるのか。排外主義、民族差別的なことを口走ってしまう人がいる。あってはならないことだし、いくら謝罪しても、しきれない。二度とこのようなことが起こらないように、猛省し、注意してもらいたい。
『ネットと愛国』については私も、書評した。安田さんとロフトでトークしたりもした。しかし、外ではない。本当は私の内部にあったんだ、在特会は。そう気付くと愕然とします。私はこの40年間、一体何をやってきたのかと思います。反省ばかりです。
とてつもなく重い問題ですし、ずっと考えていきたい問題です。」
鈴木邦男氏の認識は非常に甘いものであると言わざるを得ない。差別感情、排外的な感情というものは常に我々の心の中に存在するもので、人間である以上、そのような感情を持っているのは当然のことである。私はそのような感情を持っていないと述べる者がいるとすれば、私はその者を偽善者であると断言する。つまり、「在特会」が「あなたの隣人」であるという安田浩一氏の分析は一見的を射ているようで実は誤りであり、我々が「在特会」的な感情を常に持ち合わせているというのが正しい。
大東亜戦争当時、沖縄の島々で集団自決という悲劇が繰り返された。琉球新報などの沖縄地元紙は、軍の命令によって住民が殺し合いをしたと安易に結論付けているが、私は、アメリカ人に対する恐れというものが原因にあると考えている。当時、離島という環境から生まれてから島を一歩も出たことのない住民も少なくなく、敵軍、それも見たことのないアメリカ人が島に攻め込んでくるというのは住民にとって大変な恐怖であったのではないか。その結果、パニック状態となった住民が身内を殺し、自身の命も絶つという悲劇につながった、集団自決はそのようにして発生したのではないかと考えている。歴史に「if」はないが、仮にそれらの島で日本軍が米軍を撃退したとすればどうか。そのような住民の恐れは捕虜となった米兵に対する過酷な取扱いに結びついていたということも的外れな予測であるとは言えないであろう。排外主義とは、理解することができない異文化や価値観に対する恐れが原因として生まれる自然な感情なのである。
在日特権を許さない市民の会の街頭宣伝活動が名誉毀損などにあたるとして京都朝鮮学園が民事訴訟を提起し、レイシズムに反対する者たちが京都朝鮮学園の支援を行っているが、安田浩一氏の書籍を読んで「安田は在特会の代弁者か」などと支援集会で発言する者もいたことが報告されている。彼らは、自らの排外主義的な感情や差別的な感情を表に出す者を批判しながら、実は自らの心の中にいる排外主義的な感情や差別的な感情をコントロールすることができなくなっているのではないか。
鈴木邦男氏は「在特会と同じだ」などと身内の人間の言動を釈明し、謝罪すべきときにまったく関係のない他者を引き合いに出しているが、それは一水会を在日特権を許さない市民の会より一段高みに立った存在であると認識しているからに他ならない。人間として自然に持ち合わせている感情を時としてコントロールすることができなくなるのはレイシズムに反対する者であっても同じなのであって、それは単に理性でそのような感情を抑えることができたか否かという問題なのである。そして一水会を在日特権を許さない市民の会より一段高い存在であるかのように考えている鈴木邦男氏には一水会のメンバーがなぜそのような発言をブログに掲載するに至ったかという原因を突き止めることなどできないであろう。
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