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2010.06.12

ナウルに見る将来

最近日本の将来をギリシャの金融危機になぞらえた報道が多い。
それはそれで的外れな指摘ではないが、ナウル共和国もかなり参考にできる状態ではなかろうか。
そして、環境問題が騒がれる今、地球の将来を考える上でも参考になる国ではなかろうか。

ナウル共和国は、太平洋の真ん中にぽつんとある小さな島国。バチカン、モナコに次いで世界で三番目に小さい国である。昔は、リン鉱石の採掘で世界でも有数の豊かな国だったが、20世紀末にリン鉱石を掘り尽くして、一気に収入源が無くなった。ナウルで取れるリン鉱石は、堆積した海鳥の糞から取れるもので、誰が考えても枯渇することはわかっていた。20世紀末にはなくなると当時から予想されていた。しかし、国は有効な手を打たないまま、予想通り20世紀末にリン鉱石を掘り尽くした。収入源が無くなったナウルは今どんな国になっているのか。

ナウルに住んでいなくてよかった七つの理由というサイトを見つけたので簡単に紹介しよう。

理由1 国民の体質

ナウルの失業率は実に90%。そして、残り10%のうち95%は公務員だ。アメリカ国務省によると、公務員以外の労働者は僅か300人。
ナウルの富を支えていたのは鳥の糞由来のリン鉱石で、リンは肥料や化粧品に使われる。地表を覆っていたリン鉱石がナウルの富の源で、1960年代、1970年代には世界でもっとも豊かな国の一つだった。ナウルはこのリンの生産に国の全事業を投資し、リンが取れなくなった今、経済が破綻した。

理由2 掘りつくされたリン鉱石

リン鉱石の採掘は地球にも良くない。リン鉱石は島の真ん中に集まっていたが、リン鉱石が掘り尽くされた今、ナウルの8割の地表はめちゃくちゃだ。かつては森で覆われていた地表は、石灰石が転がる灰色の大地になってしまった。

「そんな土壌は農業に向いてないんじゃないか?」そのように思われたあなたは正解です。CIAによると、ナウルの耕作地は0%。この問題が議論されていなかったわけではない。例えば、2007年にオーストラリアやニュージーランドは、農業に適した土壌にするために財政支援を申し出たこともあった。しかし、今の現状が想像できる人がいなかった。

理由3 食料事情

食料事情も良くない。ナウル人は、Buada Lagoonで捕れた魚や、ココナッツやパンダーヌスを好む。しかし、現在、ほとんどの食料は輸入に頼っている。アメリカ国務省によると90%は輸入だ。そのほとんどは缶詰で、たっぷりと保存料が入っている。
食料は不足しているが、ナウルに入る航空便も頼りに出来ない。それはスカスカになった店の棚を見ればわかるだろう。

理由4 健康事情

こんな食糧事情の中で、驚いたことに90%のナウル人は太り過ぎだ。単に太りすぎ。それは彼らの食生活を考えれば驚くに当たらない。

理由5 糖尿病

太り過ぎと来たら次は糖尿病。実に国民の40%が糖尿病だ。ひどい食事をした結果、糖尿病になった。そのひどい食事を続けているので、糖尿病はさらに悪化する。
「ちゃんと健康管理した方がいいんじゃないの?」そう思われるだろう。国に富があった数年前まではそれができた。当時は、国民はオーストラリアの医師に見てもらい、医療費は全額国が負担していた。
あれから数年で、国はリン鉱石の恩恵にあづかっていた予算を使い果たした。政府は医師への支払いが滞り、ついには払えなくなった。その結果、ナウルは健康診断が受けられなくなった。

理由6 医療事情

同時に医療機関も十分ではない。実際たった二つしか病院がない。米国大使館によると、これらの病院は、日々の診療には事欠かないが、重大な疾患にかかったときにはどこかに飛んで行かないといけない。重大な疾患には、糖尿病によくある腎不全、肥満によくある心不全も含まれる。

理由7 そして現実・・・
WHOによると、ナウル人の平均寿命は男性で58才、女性で64才だ。しかしナウルでは、死んでもナウルの問題からは逃れられない。まず、航空事情が不十分だ。そして、ナウルは燃料を輸入に頼っている。その結果、電力もまた十分ではない。これは、ナウルにおいて、死体の安置も困難になっている。国内には、10年ほど前に数台冷蔵庫があるだけで、十分機能していない。ナウルは南太平洋にある年中暑い国であるにもかかわらず。悲惨な光景である。

いかがだろうか。ナウルの大統領はMarcus Stevens氏は、元ウェイトリフティングのチャンピオンだが、彼の方に掛かっているものは比べものにならないぐらい重い。世の中、もう少しナウルに注目してほしいものだ。

日本が国会で迷走している間にも借金は増え続け、問題は増えていく。富は目に見えにくく、借りるという手段ができるが、ナウルのリン鉱石が日本の富とダブって見える。なくなるとわかっていながら何も打ててなかった20世紀のナウルの政治家は、今の日本の政治家と同じだ。国が破綻したときに参考にできるのは、ギリシャよりナウルだろう。

政権なんてどっちだっていい。ちゃんと将来を見据えて仕事をして欲しい。



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