特集ワイド:国会事故調・菅氏の証言、どう聞いたか 井戸川克隆・福島県双葉町長/小出裕章・京都大学原子炉実験所助教
毎日新聞 2012年05月30日 東京夕刊
菅氏が「(原子力ムラを)解体することが原子力行政の抜本改革の第一歩」と述べたことについては「首相経験者が切り込んだのを霞が関も受け流すことはできないのでは」と期待する。「原発事故は国に責任があると言っているのだから、国が前面に出て生活面でも賠償問題でも住民の苦労の解決を図るべきだ。前首相自身の役目も終わっていない。初動の対策を決定した責任はずっとあり、住民の支援に尽くしてほしい」と力を込めた。
◇混乱恐れ、過小に公表−−京都大学原子炉実験所助教・小出裕章さん
京都大学原子炉実験所(大阪府熊取町)の小出助教は研究室のパソコン画面で、事故調の聴取に見入った。
専門は原子力安全で研究者の立場から一貫して原発の危険性を訴え続けてきた。研究室の蛍光灯は消されている。「不必要な電気は使いません。エアコンも10年は使っていないから、動かないでしょうね。暑ければ風を入れればいいですから」
「原子力災害発生への認識は」「原子力緊急事態宣言の発令は党首会談の前にできなかったのか」などの質問が続く。小出さんは時々、ふうっとため息をついた。「菅さんの判断や行動のどこに問題があったかをあげつらっても、意味はないのに」