使い勝手はダントツの 「AQUOS PHONE ZETA」、なぜ生産終了?
nikkei TRENDYnet 8月2日(木)11時2分配信
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NTTドコモの「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」(シャープ製)は、「3ラインホーム」と呼ばれる独自のホーム画面を搭載して、使い勝手を高めたAndroidスマートフォンだ。4.7型の大画面液晶、Xi(クロッシィ)、防水、ワンセ... |
NTTドコモの「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」(シャープ製)は、「3ラインホーム」と呼ばれる独自のホーム画面を搭載して、使い勝手を高めたAndroidスマートフォンだ。4.7型の大画面液晶、Xi(クロッシィ)、防水、ワンセグ、おくだけ充電に対応するなど機能面も非常に充実している。
【詳細画像または表】
2012年6月29日の発売直後から各種販売ランキングで上位に入るなど高い人気を誇る。発売開始から約1カ月ですでに生産終了となってしまったほどだ。残るは流通在庫だけなので、どうしても入手したい人は取り扱い販売店を回って探すしかない。
大人気スマホの独自ホーム画面の使い勝手をチェックしてみよう。
独自のユーザーインターフェースを搭載
AQUOS PHONE ZETA SH-09Dの一番の特徴は、独自のユーザーインターフェースである3ラインホームだ。ホーム画面としてアプリ一覧画面が表示され、横にスライドすると貼り付けたウィジェットの一覧、さらに横にスライドするとショートカットの一覧に切り替えられる。通常のAndroid 4.0では、ホーム画面でアプリケーションボタンを押すとアプリ一覧が表示される。3ラインホームは、アプリ一覧画面が一番最初に表示される感じだ。フューチャーフォンにも近い印象で、スマホが初めてで操作に不慣れな人でもなじめそうだ。
便利な半面、ホーム画面で背景を変えたり、ホーム画面にアプリのショートカットとウィジェットを並べて使うことはできない。ホーム画面をカスタマイズする楽しみには欠けるが、アプリの起動やウィジェットを参照するまでの手間がかからず、素早く操作できる。NTTドコモのスマートフォンに共通の、「docomo Palette UI」に切り替えることもできるので、オーソドックスなAndroidのホーム画面を使いたい人は切り替えればよい。
操作して感じるのは、タッチ操作の反応がよいこと。独自のチューニングが効いているのか、スクロール時の追従性など、操作に対する反応が小気味よい。プロセッサーの処理性能も高く、あれこれと操作してみて動作速度に不満を覚えるところはなかった。
Androidの使い勝手を向上させる親切機能
3ラインホームにより、ただAndroidの見た目を変えただけではない。使いやすいように色々なカスタマイズやアプリの追加がされている。例えば日本語入力に使うソフトウエアキーボードは、上下左右の端から端までスライドさせることで、テンキー、QWERTYキーボード、手書き入力などの入力モードを切り替えられる。ブラウザーでは、画面の端から内側に向かって指を滑らせると「クイックツールボックス」が表示され、ブックマークやタブ一覧などの操作が素早くできる。手に持ったまま端にあるメニューボタンを押そうとすると、どうしても不安定になってしまうが、こうした機能によって安定した状態で持ったままキーボードの切り替えやブラウザーの各種操作ができる。
シンプルで上品なデザインと高画質なディスプレイ
夏商戦向けスマホとしては大型の4.7型ディスプレイを搭載してはいるが、本体の幅は64? とスリムだ。重さも約142gと画面が大きい割には軽い。液晶の左右のフレーム部分(枠)がスリムで、背面に丸みが付けられていることもあり、手になじんで片手でも持ちやすい。
装飾を抑えたシンプルなデザインで、ごちゃごちゃと装飾してあるデザインが苦手な人にはピッタリだろう。ディスプレイ面には物理キーがなく、戻るボタンやホームボタンなどはすべてディスプレイに表示れる。背面や側面もシンプルで、ワンセグアンテナも内蔵式で外には飛び出さない。ディスプレイの下には、アーチ型のランプがあり、着信時などに光る。これがデザインのアクセントになっている。
ディスプレイの解像度は720×1280ドット。液晶の透過率を改善し、従来の2倍明るく鮮明な表示と省電力化を両立した新開発の「S-CG Silicon液晶システム」を搭載する。画質は、明るさ、コントラスト、発色いずれも良好で視野角も広く感じられた。環境に応じて最適なコントラストに自動調整する機能などを備えており、実際に外でも見やすかった。非常に優秀な液晶だ。
デュアルコアプロセッサーと大容量バッテリーを搭載
プロセッサーには、デュアルコアの「MSM8960」(1.5GHz)を搭載する。試していて、処理性能に不満を感じる場面はなかった。ユーザーメモリーは16GB。最大64GBのmicroSDXCカードにも対応する。通信機能は受信時最大75MbpsのXiをサポート。無線機能はIEEE802.11b/g/b対応無線LAN、Bluetooth3.0+EDRに対応する。
バッテリー容量は1900mAh。最近は1800mAhクラスのバッテリーを搭載した製品が多いが、それより若干容量が大きい。同こんの充電器の上に置くだけでワイヤレスで充電できるおくだけ充電に対応している。無接点充電の規格「Qi」に準拠した機能なので、Qi対応充電器なら他社製品でも充電できる。
充実した省電力機能
スマートフォンで気になるのはバッテリー駆動時間だ。バッテリー消費を抑えるために、バッテリーに関する様々な項目をまとめて設定してワンタッチで切り替えできる「エコ技」を搭載している。設定できる項目がかなり細かく、これまでAndroidの設定画面をいちいちたどって設定していた項目を、まとめて設定できる。バッテリー残量や時刻によって自動的にモードを切り替えることもでき、使いこなせばバッテリーをかなり長持ちしそうだ。
機能豊富なだけでなく、使いやすさが魅力のフルスペックスマホ
IPX5/7対応の防水性能と、IP5X対応の防じん性能を備える。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信などの“ガラケー機能”も完備。DLNA対応で、液晶テレビ「AQUOS」や「AQUOSブルーレイ」と無線LAN経由で接続して録画番組の試聴などができる。NTTドコモの夏商戦向けスマホの中でもフルスペックの1台と言える
AQUOS PHONE ZETA SH-09Dは、使いやすい独自のホーム画面と使い切れないほどの多くの機能を盛り込んだ1台だ。3ラインホームは使いやすいだけでなく、使用時の操作感の良さも魅力だ。Androidならではのカスタマイズ性など失われる点はあるものの、使い勝手という点では競合他社の商品より優れている。スマホ利用者の悩みであるバッテリー駆動時間についても、細かい所まで設定できる「エコ技」によって、簡単に電池を節約できる。
多機能でありながら使いやすい、総合力の高さが人気の理由と言えそうだ。発売直後から価格比較サイト「価格.com」の掲示板では、品薄で入手困難な状況が話題となっていた。世界的なスマホの急激な普及により、プロセッサーなどの部品調達が間に合わないのではないかという声も聞かれる。一方、「GALAXYやXperiaなどに人気が集中すると予想し、AQUOS PHONEなどほかの機種の生産数を絞ったところ、想定以上に売れすぎたのではないか」(販売店店員)との声も。発売から約1カ月での生産終了は、人気機種だっただけに残念だ。
(文/湯浅英夫)
最終更新:8月2日(木)11時2分
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