体操の男子日本代表が25日、会場のノース・グリニッジ・アリーナで審判員を入れて公式練習を行った。世界選手権個人総合3連覇中で、日本のエース内村航平(23)=コナミ=が、鉄棒の「アドラーひねり~リューキン」などで珍しく落下。床運動で田中和仁(27)=徳洲会=がスリップして転倒するなど、硬い器具への順応に不安を残した。体操は28日の予選で競技が始まる。
内村が本番の“予行演習”で、珍しいミスを連発した。審判員も入れた本番会場での公式練習。スタートの鉄棒では最高G難度の離れ技「カッシーナ」を成功させ周囲からどよめきが起こったが、その直後、同じ離れ技の「コールマン」で鉄棒をつかめずに後ろ向きに落下。再度、挑戦した際には、内村しかできない連続技の「アドラーひねり~リューキン」でもバーを触れずに、腹ばいで落下。さすがに苦笑いしながらバーを見つめていた。
一度乱れた感触はすぐには戻らないのか。床運動でも、種目別用で追加練習で行った「リジョンソン(後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり)」を回りきれずに、前のめりに転倒。田中和仁主将や加藤凌平も、着地の際に足を滑らせて尻餅をつく失敗があった。
本番会場で使用する器具はフランス製の「ジムノバ」。ほぼ全て日本製のものより反動が少なく、パワーのある欧米選手向き。日本選手にはあまりなじみがなく慣れるため器具をそろえたのは、5月から。09年に同じ会場で行われていた世界選手権で個人総合金メダルを獲得している内村は、器具について「硬いですね」と気にする一方で「一度使って勝っていますからそんなに問題はないと思う」と話し、24日の練習でも「状態は80%。本番になれば勝手に調子は上がっていくし、器具も心配ない」と強気な発言をしていた。
つり輪と跳馬は、難なく成功させた内村。予選(28日)まで、あと2日。「団体の金メダルしか考えていない」という王者は、わずかな時間で修正し、アテネ五輪の「栄光の架け橋」以来となる歓喜をもたらすことができるか。
◆アドラーひねり~リューキン アドラーひねりは前方浮腰回転ひねり倒立。両足を手と鉄棒の間に入れて回転し、体が鉄棒の真上まで上がったところで体をひねる。その次に離れ技のリューキン(後方回転で体が伸びた状態で鉄棒を飛び越し、体を1回ひねって鉄棒をつかむ)を行う。アドラーがD難度(0.4点)でリューキンはF難度(0.6点)だが、連続技により0.2点加わり、1.2点の加点となる。
◆カッシーナ 2001年にイタリアのカッシーナが披露。鉄棒を越えながら体を伸ばした状態で2回宙返り1回ひねり懸垂を行う。伸身コールマンとも呼ばれ、最高難度のG(0.7点加点)の大技。
[2012/7/26-06:03 スポーツ報知]