永田町に“山口ショック”!橋下ブレーンに無党派票が大量流入

2012.07.30


初当選を喜ぶ山本繁太郎氏(中央)だが、「脱原発」の勢いは既成政党を脅かしている【拡大】

 “山口ショック”が、永田町を震撼させている。29日投開票の山口県知事選は、保守王国を支える自民・公明両党が推薦した山本繁太郎氏(63)が、3新人を破って初当選したが、大阪市の橋下徹市長のブレーンで、「脱原発」を訴えた飯田哲也氏(53)に無党派層が大量に流れ、終盤で追い上げられたのだ。既成政党にとっては、次期衆院選での第3極躍進を予想させる結果となり、今後の政局にも影響しそうだ。

 山本氏は4期務めた二井関成知事の県政継承を訴え、自民、公明の両党組織票をまとめた。これに対し、飯田氏は中国電力が進める上関原発建設計画の白紙撤回を主張した。スローガンを「エネルギー維新」として、橋下氏率いる「大阪維新の会」との関係の近さをアピールし、名古屋市の河村たかし市長らを応援弁士に招き、「既成政党vs第3極」の構図を作り、7万票弱の差まで迫った。

 政党や報道機関が行った情勢調査では、山本、飯田両氏の差は「おおむね1カ月前の20ポイントから、告示日(12日)には10ポイント」(県政関係者)まで縮まった。投票率は45・32%で、過去最低だった前回を8・11ポイント上回り、選挙への関心も高まっていた。

 また、朝日新聞の出口調査では、無党派層に至っては、飯田氏53%、山本氏27%とダブルスコアだった。また、同じ調査で、70歳以上を除く女性票で山本氏と飯田氏が拮抗しており、女性の中で、既成政党不信、原発不信が広がっていることが浮き彫りになった。

 山口県は政権交代の嵐が吹いた前回衆院選でも、4つある選挙区のうち3つを自民党が勝利した保守王国だ。それだけに、今回の結果に既成政党は危機感を強めている。

 自民党の田瀬良太郎幹事長代行は、自主投票となった民主党に関して「不戦敗だ」と厳しく批判。一方で、「反原発、反消費税増税、反既成政党という逆風の中の選挙だったが(両党への)信頼感が表れた結果だ」と安堵しつつ、維新など「第3極」勢力への警戒感もにじませた。

 これに対し、みんなの党の渡辺喜美代表は29日、「新しい政治体制の始まりを意味している。次の衆院選の予兆が表れている」と述べ、第3極勢力への期待が高まっているとの認識を示した。

 来月半ばには「社会保障と税の一体改革」関連法案は成立する見込みだが、野田佳彦首相の解散・総選挙の時期をめぐる判断にも影響しそうだ。