幼い頃、人生で初めて味わわされた敗北。それはまさに屈辱だった。

格闘家 鬼塚シュウ 20歳―。 彼はあの日の屈辱を払拭するためだけに格闘技を学び、ストリートファイトに明け暮れ、強さを追い求めた。 そして機は熟し、ついに復讐のときがやってきた。 ターゲットは 古武術家 火浦鏡子、23歳―。

今は亡き父親にかわり、町で小さな古武術の道場を営んでいる。 あの日の屈辱をあの女にも味わわせてやる……。シュウは暗い笑みを浮かべ、拳を握りしめた。
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火浦道場――。 郊外の街中で、古武術を専門に教えている道場である。 古武術・火浦流の免許皆伝者が代々道場を営み、広く門下生を受けいれてきた。 護身術と心の鍛錬を旨と掲げているため、地域住民にも愛され今まで存続することができた。 先代の早逝によって一時は危ぶまれたが、幸いにしてその一人娘の火浦鏡子は武術にも勉学にも通じる才女であり、遺志を継いで道場を再開する。 一見したところ怜悧な外見の鏡子だが、細やかな配慮で意外なほど子ども受けが良く、火浦道場の新たな人気と評判を築きつつあった。 そうして代がわりの波乱を乗り越え、門出を迎えることができた火浦道場だったが……。 |

「えいっ!」 「やあ!」 子どもたちのはつらつとした声で、こじんまりとした道場が活気に包まれている。 「ほら、もっとちゃんと腰を入れて、踏ん張って!」 若い女性の張りのある声が、その活気に締まりを与えた。 「はい、鏡子先生!」 子どもが先生――火浦鏡子――の言う通り、及び腰だった姿勢をぐっと前に入れた。 「うん。よくなったよ!」 鏡子が微笑むと子どももはにかんで笑った。 今日の午後の授業は、小学校低学年程度の子どもたちのお稽古だった。 六人ほどの小さなクラスだが、子どもは皆、鏡子によくなついている。 道場の掃除も行き届いていて、柱や天井は古びてはいるが清潔で明るい。 そんな和気あいあいとした雰囲気の道場に、突如冷風が吹き込んだ。 |
「……邪魔するぜ」 道場の戸を勢い良く開け放ち、屈強の男達が数人、道場のなかに乱入してきた。

「何ですか!? あなたたちは!」 鏡子が何事かと眉をしかめ、男達に剣呑な声を放つ。 だが男達はまったくとりあわず、ずかずかと子どもたちへと歩み寄った。 「ちょっと 待ちなさい!」

子どもが危ない――男達の発している雰囲気の異常さに気付き、鏡子は止めに入ろうとする。 「おっと」 だが、男達のなかでもひときわ腕の立ちそうな一人が、鏡子の動きを阻止した。 「……!」
男は鏡子との間に絶妙な間合いをとって動きを封じる。 うかつに動こうものなら男から手痛い牽制が飛んでくることは明白だった。 (この人……できる……!) 腕の立つ男への対応に手間取っている間に、他の数人の男達が子どもを拘束した。 子どもたちも異常な雰囲気を察し、おびえたように男達を見上げている。 子どもを人質にとられたようなものだった。

「フフフ……」 「何……ッ? 何が目的なの……!」 怒気を含んだ鏡子の声。 子どもの安否がかかっているだけに、普段の冷静さを欠いてしまっている。 「火浦鏡子……久しぶりだな」 そんな鏡子の様子を楽しげに見た後、相対している腕の立つ男が口を開いた。 「……誰? 知らないわ…あなたなんて……!」 「……フフフ…そうか…覚えてないか…。オレのほうは お前のこと一日も忘れたことないんだけどな」 「………」 「今からオレと1対1で対戦しろ 火浦鏡子。そうしたら子供たちは開放してやる。」 (何なの?……道場破り?全然 見覚えがないけど…) 無益な争いは避けたい。 だがこの状況ではそんなのんきなことは言ってられなさそうだった。 「分かったわ 相手してあげる。そのかわり子どもたちには一切手を出さないで!」 鏡子には男の意図も今の状況もいまひとつ飲み込めなかった。 けれど、男の目が放つ執念深そうな鈍い光は気にかかる。
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男が目で合図すると、他の男達は脇へ下がった。 子どもたちも連れられて、大人しく座らされる。 「じゃあ始めるぜ。いいな?」 「……わかったわ」

有無を言わせぬ男の調子。 はっきり言って相手の望む展開になっているのは気に入らないが仕方ない。 鏡子は構えをとって男を視る。 「フ……」 男は笑い、無造作に拳を繰り出す。 (速い……!) 構えも無しにこれほどのスピードの打撃が放てるものか。 鏡子は内心驚愕する。 かわせることはかわせるが、反撃の糸口は見つけられなかった。 「……ッ」 いやな汗が浮かんでくる。 だが、これほどまでの使い手が何故こんな小さな道場に来るのか。そんな疑問符も胸に浮かぶ。 (ダメ……今は集中しないと) 鏡子は男との間合いを測りなおし、じりじりと距離を詰めた。 危険だが、リーチは男のほうが長い。 そして男が打撃系の武術の使い手ならば、スピードと体重が打撃に乗り切る前の段階で受け流したほうが安全なはずだった。 「ふぅ……」

呼吸を整えつつ男の隙や癖を探る。 「……ッ!」 男がわずかに身体をひねる。するとまた構えもなしに豪速の拳。

――パシッ!

「く……」 「ほう……。さすがだな、火浦鏡子。それでこそ今日この日までお前を思い続けた甲斐があるというものだ」 「……」 男の拳を受け流した手のひらが痛む。 火浦流古武術は合気道に近く、相手の動きにあわせ、相手の力を利用して投げや反動の打撃を繰り出す技が多い。 しかし、まだ男の動きを見極めきることができていない。 (もう少し……もう少し様子を見れば……この人の呼吸がつかめるはず……) 「が……がんばれ、鏡子先生!」 ぴりぴりと緊張感の張り詰めた雰囲気のなか、子どもの声が響く。 (ありがとう…!) 礼を言う余裕はないが、子どもたちのためにも負けられないと集中し直す。 「ずいぶんなつかれてるじゃないか」

「……ッ!」 言葉と共に、今度はローキックが繰り出される。 とっさに引いて避けるが、それが裏目に出た。 若干体勢がくずれたところで男が一気に距離を詰めて拳を繰り出す――! 「くっ!」 日頃の鍛錬のたまものか、とっさに動いた右手が男の左手を外に払っていた。 けれどギリギリの反応であったことはかわりない。 とても男の動きを読んで反撃するどころではなかった。 「はぁ、はぁ……」

(おかしい……こんなに息が……) まだ男と相対して五分も経っていないはずだし、動き自体もほとんどない。 なのに呼吸が乱れ始めている。 「先生、がんばって!」 「まけるなー!」 子どもたちが声援を送るが、その声色にはどこか不安が混じっていた。彼らでも鏡子の劣勢がわかるのだろう。 「どうした、そんなものか? ククク……」 男が暗い笑みを浮かべ、また打撃を繰り出す。

(く……読めない……この、蛇みたいな動き!) 「はっ!」 またなんとか拳を受け流し、今度は鏡子のほうから距離を詰めた。 (打撃では太刀打ちできない……だけど、組み技でなら……!) 鏡子が火浦流独特の足運びで一気に相手の懐に入り、入り身投げのような形をとる。

「やぁ!」 相手の打撃の勢いを利用したこの技なら、今の男の姿勢では容易には避けられないはずだった。 「おっと……」 「!?」 だが、男はするりと体幹を移動させ、綺麗に鏡子の背後へとまわりこむ――。

側面にまわりこもうとしたのを逆手にとられたのだ。 |

「な、なにを……!?」 後ろにまわりこんだ男はいきなり鏡子の胸元に手を差し込んだ。 「や、ぅ……!」 身をよじって逃げようとする鏡子の動きを巧みに封じつつ、股間にまで手を伸ばす。 「!?」 袴の裾から侵入した男の指が鏡子の下着に触れた。

「やめ……なさ、くぅ!」 鏡子の視界の端に子どもたちの姿が映る。 皆、ぽかんと口をあけて鏡子を見ている。何が起こっているのか、まだあまりわからないのだろう。 「ぅ……く、こんな、どういうつもり!?」 「フフ……喋ってる場合じゃないだろ? ほら、ガキが見てるぞ」 「……ッ」 子どもたちの視線を意識すると一気に頬が紅潮する。 男があえて自分のこんな姿を子どもたちの前で見せようとしていることもわかり、なおさら腹が立った。 (ダメ……冷静にならないと……) なんとか高ぶる心をおさえ、隙を見て男の手をつかむ。 「はっ!」 古武術の技で手首をひねって逃れようとするが――。 「……っと」 「!?」 男は巧みに身体の重心を移動させ、ぬらりと四肢を這わせるようにして鏡子の技に応じる。 (そんな……!) 普段なら確実に手首の関節をとれていたはずだった。 男は打撃だけではなく、組み手でも想像以上の使い手だった。 「ククク……その程度か?」 「あ、ぅ……!」 男の手がさらしの上から鏡子の胸に触れ、ゆっくり持ち上げる。

「く……ッ」 その手の動きは鏡子に肉体的なダメージを与えるものではなかった。自らが楽しみ、そして子どもたちに鏡子の恥ずかしい姿を見せつけるために、胸を強調するように持ち上げる。 「はぁ、んん……!」 指先が胸の先端に当たり、思わずおかしな声をあげてしまう。 (しっかり、しないと……っ) また子どもたちが視界に映る。不安げな表情。守らなくてはいけない――。 すっと息を吸って力を丹田にためてから、一気に発勁する。 「や、はぁっ!」 肩を思い切り入れ、男の身体をくぐるようにして背で投げた――つもりだった。 「見切ったぞ」 「!?」 だが男は鏡子の動きに合わせ、側面に重心を預けて動きを封じる。 「ど、どうして……」 「フン。火浦流古武術もこの程度か」 男は笑い、背後から鏡子をがっしりとホールドした。そして胸元を押し開き、素肌を露出させる。
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「ぅ……っ!」 両の手でもって鏡子の双丘をわしづかみにする。 「やめ……はぁ、くぅ……!」 なおも古武術の技をくりだして逃れようとする鏡子だったが、男がそれを許さない。 いやみたらしいほど余裕のある動きで鏡子を翻弄し、その形の良い胸に辱めを与える。 「せ、先生……?」 「負けてるの!?」

子どもたちの悲痛な視線。 だが、男子の目にはどこか熱もこもり始めている。その熱は鏡子の見たことのない、本能に近い色を帯びていた。 (こんな……純粋な子どもたちの前で……!) 怒りにかっと身体が熱くなる。 落ち着いて冷静になろうと思っても頬が紅に染まるくらいに血がのぼり、鏡子の手は震えてしまっていた。 「はぁ、はぁ……う、く……はぁ……っ」 「どうした? アンタの流派は呼吸が大事なんだろ? そんなことじゃオレに技は決まらないぜ?」 「く……ぅ、はぁ、ぅ……」 確かに男の言う通りだった。 古武術では呼吸を重視している。相手の呼吸に合わせることで、その力を利用することができる。火浦流もまた例外ではない。 「は……ん、ぅ……はぁん!」 だが、男の手が動くたび、子どもたちの視線を意識するたび、どくどくと胸は早鐘をうち、呼吸は乱れる。 「ぅ、く、はぁ、あ……」 いくら呼吸を整えようとしても、集中を男の手の動きが乱す。

(どうして……こんなことを……) 男が今していること。 男の目が放っていた執念。 男が少しだけ語った因縁……。その全てが鏡子には解せない。 理不尽さと疑問、そして混乱が鏡子を襲う。 「はぁ、あぅ……ん、あ……くぅ……」 ただでさえ事態を飲み込めずにいるのに、こうして子どもたちの前で男に身体をもてあそばれている――。 素肌に触れられた経験すらほとんどない鏡子は男の手をどうしても意識してしまい、ますます混乱する。 「ん……あぁ、はぁ……っ」 指が巧みに動き、さらしの上から胸の先端を刺激してくる。 すると身体全体から力が抜け、膝が笑ってしまう自分の感覚を鏡子は信じられなかった。 |
「はぁ、あ、く……ふぁ、ぅ……!」 もう呼吸を整えるどころではなかった。 立っていることすらできず、その場に崩れ座り込んでしまう。

「鏡子先生!」 子どもの声が耳に入ると我に返る。 「あ……ぅ……」 しかし身体を起こすことすらできない。 (どう、して……こんなの、おかしい……!) 今まで味わったことのない感覚に鏡子は翻弄されるばかりだった。 「ほらほらもっとしっかりしないと… 鏡子センセイは強いんだろ? こんなふうに玩ばれてたら子供たちの夢を壊すことになるぞ?」 「く……!」 崩れ落ちる際に姿勢が変わったせいで、子どもたちのほうには背を向ける形になった。 そのせいで醜態をさらさずには済んでいるが、鏡子の敗北はもう明らかだった。 「ククク……さあ、ここからが本番だ」 言葉と共に男は再び鏡子の股間へと手を伸ばす。

「な……そこ、ぁ……」 男の指はあくまで優しく、下着のうえから鏡子のそこに触れた。 「く……ぅ……っ」 いったいどうなっているのか、男によって巧みに身体を固められてしまって抵抗することができない。 「やめ、ぁ……ん、ぅあ……!」 ゆっくりと上下に指先が動く。

自分でもほとんどさわったことのない場所を見知らぬ男に触られている――それだけで皮膚があわだつ。 「はぁ、ぁ、はぁ……」

けれどそれだけではない。 イヤでイヤで仕方ないはずなのに、頬が上気して息も荒くなってしまう。 下腹の奥に熱い塊のような妙な感覚が生まれ、それがぞくぞくと背筋を震わせる。 「フフフ…ついに感じてきたか?」 「ば…バカな! 何を言って…!」 「分かるぞ お前の呼吸を見ればな。この8年間…いろいろ研究も修行してきた…だから分かる」 「すべてはお前に恥をかかせるため…あのときのオレが味わった以上の屈辱をな…!」 「8年……?」 23歳の鏡子にとって、それは途方もなく長い年月。 鏡子と同年代程度の男にとってもそれは同様だろう。 男の目の執念深そうな光を思い出す。いったいこれからどうされてしまうのか……鏡子の胸のなかにいやな予感が広がる。 「もっと子どもたちにも分かるような恥辱を与えてやろう」 「……!?」 男の指が鏡子の上着にかかる。 彼のやろうとしていることは鏡子にもわかった。 (でも……これはチャンス……!)
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「く……っ」

「ほう。さすがだな。少しでも隙を見せるとこうなるわけか」 男の手には鏡子の上着が握られているが、鏡子自身は男から逃げ出すことに成功していた。 拘束はなくなり、一応自由に動くことはできる。 ……胸を隠すことをやめれば、だが。 「鏡子先生!?」 「う……」 さらしを巻いていて、腕で隠していても鏡子の素肌の白さとその豊満な胸は目立った。 「せんせい……裸だ」 「うわぁ……」 子どもたちが感嘆の声をあげる。 男の子なら、そろそろ雑誌の表紙のグラビア写真に興奮を覚え始める年代だ。 写真のような、いやそれ以上に美しい鏡子の半裸に顔を赤くして見入っている。 「……ッ」 子どもたちの目には幼いながらも“男”の気配があった。 鏡子は武道に秀でていたためにずっと異性からは距離を置かれてきたし、鏡子自身もそれでいいと思っていた。 だから今のような視線で見られることには全く慣れていない。子ども相手に怒ることもできず、ただ自分の胸を隠して立ちすくむ。 「フッ……せっかく身体の自由を取り戻したのに、そんな姿勢じゃ構えも呼吸もあったものじゃないな。どうした? もう降参か?」 「卑怯な……! 子どもたちの前で、こんな……っ」 「いい格好だ。だが、オレの味わった恥辱はこんなことでは済まされない。まだまだだ……もっと恥ずかしい目にあわせてやろう」 (誰なの?私が恥を… いったい何のことなの?) 「まだ思い出さないか? 火浦鏡子…。8年前…後牟田公園でのあの出来事を…」 (8年前…? 後牟田公園…?)

鏡子の記憶の隅に何かひっかかるものがあった。 (そのとき私は15歳……いったい何が……) 後牟田公園、という場所には何か思い当たるふしがある。この道場からもほど近く、中高生時代には通学路にも使っていた。 「まあゆっくり思い出すといい。時間はたっぷりあるからな」 言って、男が近づいてくる。 「く……」 すり足で一歩後ずさる鏡子だが、それは戦うために間合いをあけたのではなかった。 男に気圧され、また子どもたちに見られているという羞恥心によってとにかく距離をあけておきたかっただけだった。 そんな鏡子の心理の隙をつき、男は一瞬で背後にまわりこむ。 |
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「きゃ!?」 男は後ろから手をまわし、鏡子の両手をとった。 そして背から体重をかけて鏡子を床へ倒しこむ。

「あ……ぐ、ぅ……っ」 男は的確に関節をおさえ、それ以上鏡子が動けないようにする。 「本当に覚えていないのか? 確かに、“やられたほうは覚えていてもやったほうはすぐ忘れる”などというが。ククク……」 「……ッ」 男は暗い喜びに満ちた笑みを浮かべつつ鏡子を完全に押さえつけた。 素肌に床の冷たさがしみる。 「8年前のオレも、こうしてあんたにおさえつけられたな」

(8年前……おさえつけた……?) ひっかかっていた刺がすっと抜けるように、鏡子の記憶のつっかえがとれる。 そう、近くの公園で。 あれは鏡子が中学三年生のとき。確かに8年前――。
「まさかあなたはあの時の…!」 「…思い出したようだな。オレの名前は鬼塚シュウ…。8年前、アンタにボコボコにされた小学生だ」
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8年前――そのときが来るまでは、鬼塚シュウは小さな王様だった。
恵まれた体格と天与の格闘の才能で、ケンカで負けたことはなかった。 むろん、しょせんは小学生の話だから、大人の男が本気で来ればかなわなかっただろう。だがシュウは狡猾で、かなわない相手の前ではおとなしく振舞った。 裏ではいじめの首謀者、暴君として君臨しながら、大人たちの前では目立たずやり過ごしていたのだ。 だが、後牟田公園で“そのとき”がやってくる。 公園で同級生の女子をいじめていたところに、15歳の火浦鏡子があらわれたのだった。

鏡子はシュウの行為を咎めた。 男なら弱い物いじめをするなと。 シュウは鏡子の容姿を見て値踏みをして、“勝てる相手”だと踏んだ。 自分より背は高いが、大人ではないし、腕や脚は細いし、何よりも“女”だったからだ。 シュウは反抗し、鏡子に拳をむけた。 鏡子の腹に自分の拳が食い込んで良い音を立て、さっきまでいじめていた女子のように鏡子が泣き出すはずだった。 その怜悧な美貌が崩れるさまを見て勝利と力に酔えるはずだった。 だが現実は違っていて――気がつくとシュウの視界の天地はひっくりかえっていて、地面に背をつけてしまっていた。 火浦流の古武術の技によって投げられてしまったのだ。

シュウは怒りと悔しさに燃えた。 “女に負けるはずがない” それから体力が尽きるまで、何度も何度も鏡子に殴りかかった。 しかし一度として鏡子に一撃を加えることはできず、投げられ、足をかけられ、腕をとられ、簡単にあしらわれ続けた。 ついにシュウはボロボロになり、地面に倒れ伏して膝をつく。 最後に見たのは、哀れみを含んだ視線を自分に送る鏡子の横顔だった。

それが鬼塚シュウにとって人生最初の敗北の瞬間、屈辱のとき。 以来、シュウの脳裏にはその記憶がずっとこびりついている。
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今日でおそらく、シュウの人生最初の敗北は、同時に人生最後の敗北にもなるだろう。 シュウは勝利を確信しながらもけして油断はしない。 鏡子を周到におさえつけたまま、胸のさらしを一列はずした。

「……! やっ!」 シュウの手の下で鏡子の体温が少し上がる。 「この8年間、どうやってアンタを陵辱するか……」 言いながらまたさらしを一列はぎとる。

「どうすれば一番恥をかかせることができるか…」 また一列。

「毎日そればかり考えてきた」 「く……」 さらしをはぎとるごとに鏡子の体温が上がり、羞恥を感じているのがわかった。 それはシュウにとって喜び以外の何ものでもない。 「やめ……く、ぁ、はぁ……!」

鏡子が少しでも抵抗の気配を見せれば力でもっておさえつける。 サディストのシュウに一切の躊躇はなかった。 さらしはもうほとんど剥がれている。 子どもたちのほうからも、鏡子の胸の先端までもが見える頃だろう。 「せ、せんせい……?」 「すげえ……」 子どもたちの反応、表情が変化している。 男たちに囲まれる恐怖も、鏡子を応援しようとする純粋さももうそこにはなかった。 驚きと――鏡子の“女”の裸を見ることへの興奮が見て取れる。 頬を赤くし、興味津々の目で食い入るように鏡子の肢体を見つめている。 シュウは子どもたちのほうへと目配せしてから、さらしを全てはがしにかかった。 ペリペリと小気味いい音と共に白いさらしよりも白い柔肌と、その先端の桜色が露になる――。 「……ッ!」

鏡子は自分から床に伏せ、へばりつくことで胸を隠した。
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「ククク……どうした? そんな格好じゃ反撃なんてできやしないぞ」 「……子どもたちの前で……こんなことをするなんて……!」 鏡子にまだ反抗の意志は残っている。 けれど、その体勢では戦っているとはとても言えない。男に一方的にいじめられている女のそれだった。 シュウは鏡子が動けないのをいいことに、余裕でその身体を撫で回す。 むき出しになった肩と背中を指が這った。 「ん……く、ぅう……!」 「ほう。なかなかいい感度じゃないか」 「ッ……!!」 ソフトタッチでつつつと背中をなぞると、鏡子がぐっと全身に力を入れて身を縮める。 こんな弱い刺激にも敏感に反応してしまう感度の持ち主なのだ。 鏡子の身体が左右にぴくぴくと動く。すると、子どもたちの視線に更に熱がこもった。 「み、見ちゃ、ダメ……!」 「何を言ってるんだ。お前が見せてるんじゃないか」 「ち、ちが……はぁ、あ……」 シュウはさらに図に乗り、鏡子の尻をなでまわす。 「はぅ、く……うぅ……」 柔らかなそこの感触をたっぷりと楽しんだ後、手はさらに前へと移動し――。 「!?」 鏡子の秘所に触れた。 服の上からとはいえ、誰にも触られたことのない場所を触られる屈辱に鏡子は身震いする。 しかも子どもたちが見ている前で――。 「はぁ、ぁ、はぁ……」 鏡子の背がじっとりと湧き出した汗で光る。 「見ろよ 鏡子先生? あの子供たちの表情… はじめは鏡子先生が勝つことを期待していた子供たちが 今ではどうかな? 強い強い鏡子先生がもっと恥ずかしい目にあうことを期待しているんじゃないか?」 「な……何をバカな……!」 シュウが耳許でささやくと、鏡子の頭にじんじんとその低音が響く。 オスの圧倒的な気配が自分の上に乗っていることを認めざるを得ない。 「く……ふぁ、ぅ……」 子どもたちもまた、そのオスとよく似た気配を発し始めていることにも気付かざるを得なかった。 (そんな……どうして、あんなに可愛い子どもたちが……) 「ククク……男っていうのはどんなに幼くても、いつでも支配できる女を探してるんだ。もう、あいつらの前で先生ヅラすることは一生できなくなったな」 子どもたちはもう、全く遠慮のない視線で鏡子を見つめていた。
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「それじゃあ子供たちの期待通り… もっと恥ずかしいところをさらけ出すんだな」 「い、いやぁ!」 シュウは袴に手をかけ、それを一気に引きずりおろした。

「やめ……て、あ、やぁ……!」 大した抵抗もできないまま鏡子は下半身をも露出させてしまう。 「ずいぶんと古風な下着だな」 シュウは興味深そうに笑い、鏡子のふんどしに触れた。 「残念だったな、お前たちの鏡子先生の下着に色気がなくて」 急に話しかけられて子どもたちはぎくりと後ずさる。 けれど、シュウがそれ以上何もしないつもりだとわかると、また食い入るように半裸の鏡子に視線を写した。 すらりとのびた脚、そしてその付け根の布地に視線が集中している。
「だ、ダメ……!見ないで!」 「ハハハハ! 子どもの目は正直だな!」 言いながら、シュウは鏡子のふんどしに手をかけた。 「ふざけないで!」 一瞬の隙を見つけて鏡子はシュウを跳ね飛ばす。 そのまま反動をつけて何とか立ち上がった。 |
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「はぁ、はぁ、はぁ……」 立ち上がった鏡子だが、シュウに睨まれるとその場から一歩も動けなくなる。 「う……く……」 おまけに子どもたちの視線が突き刺さり、半裸の身体を隠さざるを得ない。 両手を封じられたも同然だった。 床に伏せていたときよりも強く視線と羞恥を感じてしまい、脚がかくかくと震えてくる。 「ククク……」 鏡子が立ち上がってもこうなることはわかっていたのだろう、シュウは余裕の笑みを浮かべ、ぽつぽつと語り出す。 「そうそう、いいことを教えてやろう」 「あのとき公園でお前が助けた小学生の女… あいつは実はオレのことが好きだったらしくてな… 高校のときはつきあったりもしたんだ。 SMプレイでさんざんたのしませてもらったよ」 「………」 「分かるか?オレの言いたいことが…」 「……あなたの性癖なんて、興味ないわ」 「じゃあ火浦鏡子、おまえ自身の性癖はどうなんだ?」 「そんなこと、あなたに関係な――」 強がる鏡子にシュウは一歩近づく。 すると鏡子の口は止まり、シュウから逃げるように一歩後ずさった。 「どうした?」

「……ッ」 「ククク……あのときのお前は、実はオレにいじめをやめさせたかったんじゃないだろう?」 「え……?」 「オレがいじめてたあの女子に、嫉妬してたんじゃないか?」

「は……?」 意味がわからない――。 けれど、鏡子の頭のなかで、そこで何かと何かがぱちんとはまり、つながる。 |
シュウはまた素早く鏡子の背後へとまわり、袴の帯でその手をとった。

「い……や、ああ……!」 胸部を隠すものがなくなる。 「やめ……あ、だめぇ! みないで!」 シュウは鏡子を羽交い絞めにして、その美巨乳を子どもたちのほうへと見せつけた。 「ひ……く、ぅう……ッ!」 更に鏡子の身体を左右に動かし、胸を奮わせる。

「や、いやあ! ひ……ぅう、はぁ、あ……ああっ!」 柔らかく豊かなそこは自在に形を変えながら左右にぷるぷると動いた。 (す、スゲー!) (鏡子先生のおっぱい……おっぱいが……) (やわらかそう……)

子どもたちが鏡子の裸体に反応を示す。 「こんな……はぁ、あ……恥ずかし、すぎる……!」 子どもたちは鏡子の胸と表情を交互に見る。 あるいは胸以上に、鏡子の表情は興奮を誘うものだった。 「世の中には攻める人間と 攻められる人間がいる オレは誰でもいじめてるわけじゃない 攻められて悦びを感じる人間… オレはそういう獲物を選んで遊んでいる」 「か、勝手なことを……!」 鏡子は羞恥に耐えながらなんとか逃げだそうと身体をひねる。 しかしその動きは子どもたちを喜ばせるだけだった。 シュウが手首を巧妙にコントロールし、上半身を揺する以上の自由は与えない。
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「オレが見る限り アンタは攻められる側の人間だ。 その人間がオレを地面に這いつくばらせた… その事実が許せなかった。 だからオレは何としてもアンタに復讐しなくてはならなかった」 シュウは子どもたちの見ている目の前で、鏡子の股間に指を這わせる。

柔らかなそこは男の指を受け入れ、下着の布ごとゆっくりと沈み込む。 子どもたちから見ても、鏡子先生の――女の、自分たちとは違うしているそこを指が蹂躙するのがはっきりとわかった。

「感じてきたようだな」 「な、何を……!」 強がってはいても鏡子の肢体はうっすらと汗ばみ、独特の色気と女の香気を発し始めている。 脚は細かく震え、シュウの指が股間に食い込むためにひくひくと全身がひきつった。 「あ……はぁ、ぅ……くう、ぅん……!」 秘所をまさぐる指がじっとりとした湿り気を感じた。 それはまだ「汗」という言い訳のきくほどのものだ。微量で、指先にべっとりとつくようなことはない。 だがその粘り気と熱が、けして汗ではないことを伝えてくる。 鏡子の性感は確実に高まっていた。 シュウは確信する。 火浦鏡子は自分が思っていたとおりの女だったと――。
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「オレが上でアンタが下…。 これでようやく本来の立ち位置に戻ったな」 シュウは鏡子の手を封じ込めつつ、上半身を体重で押さえこむ。いわゆるマウントポジションだった。 「く……う……」 息苦しいが、鏡子にはもはや何もできない。 男の体重を跳ね飛ばすほどの筋力は元々ない。動きのなかで相手の力を利用する古武術の技は、こうして完全に押さえ込まれると効果は半減してしまう。 (息が……ぅ……) おまけに肺を圧迫されているせいで呼吸を整えることもできない。 「はぁ、あ、はぁ……う、ふぅ、く、は……」 「諦めろ。オレの勝ちだ」 シュウは言い放ち、鏡子の胸を下から持ち上げるようにもむ。

「あ……や、ぁ……」 何度か丁寧に揉み込んでから、胸の先端を指でつまんだ。 「ひぅ!?」 「さらしなんて巻いてるわりには形は崩れていない……ここも綺麗な色じゃないか」 「ぅ……く、はぁ、あ……!」 こりこりと指で乳首を擦る。 既に固くなりかけていたそこは、シュウの愛撫に敏感な反応を返した。 「は、や……ぅ、あ、うう……!」 指のなかで徐々に乳首が固く大きくなっていく。 「身体は正直だな」 「ち、ちが……ぅ、はぁ、ぃ……んぅ!」 (胸をいじられるだけで……こんなに……っ) 鏡子の脳裏でちかちかと白い光が散り、身体の奥に熱がこもる。 「あ……い、や……!」 首を振り、全身を動かしてその未知の感覚を外に逃そうとする鏡子。だが、シュウが完全に押さえこんでいるためにどうにもならない。 「はぅ……ん、はぁ、ああ!」 身体の奥から高揚していくようなその感覚を全身で受け入れるほかなかった。 「さあ 子供たちにも見せてやろうじゃないか 強い者がより強い者にをもてあそばれる陵辱ショーを」 |
鏡子の豊満な胸をつかみ、その先端に顔を近づける。

「な、なにを……ぁ、は、くぅん!」 シュウは何の躊躇もなく鏡子の乳首を口に含んだ。 「ん、や、あ……はぁ……!」 舌で転がしつつ強く吸い上げていく。 「あ、はあ、やあ……あ、あああっ!」 子どもたちが見ているのを意識しながら鏡子はあられもない声をあげてしまっていた。 「はぅ……ん、やあ、はぁ、あく……んぅ、ぅううう!」 強く吸われると自然と声が上がってしまい、全く我慢することができない。 吸っているのは赤子でもなんでもない、大の男。 子どもが見ている前で成人した男に乳を吸われている――その意識が鏡子に倒錯した快感をもたらす。 「や……あ、だめ……みちゃ、だ、めぇ……っ」 「違うだろう? 本当は見て欲しいんだろう?」 「え――」 「あいつらに見られてるから、声を我慢できないほど感じてるんだろう?」 「ち、ちが……うぅ、あ、はぁ……やあ、いやあ!」 否定しつつも鏡子にはシュウを拒否する気配はなかった。 胸を吸うなどという無防備な姿で後頭部をさらしているというのに、反撃することはもう全く考えることができずにいる。 「はぁ……ぅ、や、ああ……!」 快感を得てしまっていることは事実で、それをどう しのいで処理するかしか考えられない。 与えられる快感自体はもう無視することができなくなっていた。 |
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「次はここだ」

鏡子が抵抗できないのを見越してシュウは今度は下半身に顔を近づけた。 「な、なにを……」 「そろそろ胸だけじゃ物足りなくなってきた頃だろう」 「いや……わ、わたしは……! そんな場所、あ……やぁ!」 吐息がかかるほどにシュウの鼻先が近づく。 (いや……そんなところまで、子どもたちの前で……!) シュウの指がそこをくにくにといじる。

ひとしきりふんどしの布地とあそこをなじませてから、舌を伸ばした。
「ひぁ……!」 生地越しではあるが、ぞわりとしたあたたかさが股間を這う。 じっとりと濡れた舌の感触が伝わってきた。 「いや……はぁ、ああ……だ、めぇ!」 子どもたちは初めて見るその行為を食い入るように見つめていた。 汚いはずの場所に顔を近づけ、舌で触れる。しかも――鏡子がその行為に喘いでいる。 皆、顔を真っ赤にしながら異常な興奮を覚え、徐々に鏡子のほうへと近づいてきていた。 シュウもその仲間もあえてそれを止めることはせず、近くからたっぷりと見せつける。 「や……はぁ、あ、ぅ……くぅ……!」 脳裏でちかちかとまたたく白い光が鏡子の意識を徐々に塗りつぶしていく。 白い太股に朱がさす。 「はぁ……あ、く……あ、はぁ、はぁ……っ」 鏡子の息は荒くなり、次第にシュウが与えてくる刺激を待ち望むようになっていた。 |
「ほらガキども?鏡子先生の一番恥ずかしいところ 見たいか?」

「え――」 シュウの声で鏡子がはっと我に帰る。 「そんな場所からじゃよく見えないだろ。ほら、もっと近づいてよく見てみろ」 「う……」 子どもたちは股間を抑えつつ、鏡子とシュウを交互に見る。 「だ…ダメッ!みんな!見ちゃダメ!」 「ククク……心配するな。鏡子センセイは本当はお前らに見られたがってるんだ」 「な……ち、ちが、やめ……はなし、て……!」 子どもを使って挑発され、さすがに鏡子も抵抗を再開する。 だがシュウはもがく脚をがっちりと決めておさえつけた。 「い……やぁ、はぁ、ぅ……くうぅ!」 「お前らも見たいんだろう? 遠慮するなよ」 「……ッ」 子どもたちはごくりと生唾を飲み込む。 シュウに鏡子の股間を見せつけられ、もうそこから視線を外せなくなっていた。 「そう。子どもはそうやって素直にしてればいいんだ」 「いや……だめ、! みんな! だ、ぁ……め、うぅ、く、はぁ、はぁ……っ」 鏡子が制止の声をあげてももう子どもたちは聞かなかった。 無言で股間を凝視している。 「ではご開帳といくか」 シュウはふんどしに手をかけた。 「あ……や、はぁ、だめ……」 ゆっくりともったいぶって子どもたちを煽りつつ、白いそれを解いていく。 「だめぇ……みちゃ……や……あぁ……」 鏡子はシュウに脚をおさえられ、ただ無力につぶやくほかなかった。

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「う……はぁ、あ……ああ……」 子どもたちの目の前でついに鏡子の秘所があらわになる。 「さあ、よく見てやれ」 シュウは容赦なく鏡子のそこを指で押し広げた。

「いや……やぁ……!」 「どうだ? 濡れてるのがわかるだろう」 子どもたちが誰ともなくうなずく。 確かに鏡子のそこはてらてらと濡れ光っていた。 「感じている……気持ちよくなってる証拠がこれだ。覚えておけ」 「あ……ああ……」 無力感にうちひしがれる鏡子。 だが、そうして屈辱を感じれば感じるほど分泌される愛液も多くなる。 「どうした? 子どもたちに見られて、どんどんあふれてきてるぞ」 「や……いや、ぅう……」 鏡子自身にもわかっていた。 こうして恥ずかしい姿をさらし、嫌で嫌で仕方がないはずなのに、下腹の奥のうずきが止まらない。 熱いものがどんどんあふれ、太股を伝って下の床まで濡らしていく。 「ガキども、ここに穴があるのがわかるか?」 「……」 シュウが指で押し広げ、鏡子の秘裂を見せつけた。 「ここにチ○コを突っ込むのがセックスだ」 「この子たちにそんなこと、教えないでッ!」 シュウは無視して続ける。 「ただ……この穴にすぐ突っ込むのは無粋だ。指や舌で十分ほぐしてから入れると、男も女も気持ちよくなれる」 「く……ッ」 「今からそれを見せてやろう」 鏡子の秘所に指を伸ばした。 |
子どもたちは我を忘れ、完全に夢中になって鏡子の股間を見つめている。

シュウは彼らに一度指を見せつけてから鏡子の秘所をいじり始める。 くちゅ、くにゅ――。

既に十分に濡れていたそこは、指が軽く往復するだけで卑猥な音を立てた。 「あ……ぅ、くぅ……ぃ……」 上下に指先をゆっくり動かし、媚肉の柔らかさを堪能する。 陰唇が愛液と共に指にまとわりつく光景は鏡子自身の目から見ても卑猥だった。 子どもたちに見せつけられ、また自分自身も見ることを強要され、こんなにも濡れてしまっている――。 (イヤ……イヤなのに……!) 鏡子の胸の奥で戸惑いと興奮がうずまく。 この異常な状況を意識すると、胸が切なく絞めつけられてしまうのだった。 「はぁ、あ……はぁ、ぅう……! や、ああああぁっ!」 シュウは指をゆっくりと秘裂の淵に這わせた。 「あ、ひ、やああ!」 時折親指でクリトリスを刺激しつつ、人差し指と中指でゆっくりと膣口を押し広げる。 「いや……あ、はぁ、んふぁああ!」 ちかちかと眼の奥で光が散る。 「思ったよりずいぶんとほぐれてるじゃないか」 「ひ――あ、はぁ、あああぁぁぁ!」 シュウが手にわずかに力をこめると、鏡子のそこは二本の指を簡単にくわえこんでしまった。

「ん、ふぁ、あ、だめ……くる、何か……ク、る、ぅ……あ、はぁ、ああああぁぁぁぁっ!!」 鏡子の膣口がきゅっと締まって指を締め付ける。 それと同時に全身ががくがくと震え、どくどくと大量の愛液があふれだした。 「あ……ああ……ひ、ぅ……く……はぁ、はぁ、はぁ……」 (何……何なの、この感覚……) 鏡子は目を潤ませてシュウを見上げる。 彼女が初めて感じた絶頂だった。 |
絶頂の快感に鏡子が蕩けているうちに、シュウは自らも股間を露出させた。 「あ……え……?」 鏡子をうつぶせにさせ、後ろから肉杭を押し付ける。 「や……え、あ、ああ……! や、だめ……ま、待って……ぅ、あ、はぁ、あああっ!」

犬のような屈辱的な姿勢から、一気に挿入した。 「あく……ぅう、はぁ、や……う、うぁ、くうううう!!」 軽い抵抗感を越えるとずぶずぶとシュウのものが鏡子の胎内へと埋まっていく。 十分に濡れそぼってこなれていたうえに、元々古武術をたしなんでいたからだろう。初めての痛みはほとんどない。 そのかわりに――。 (だめ……入って、きて……。おかしく、なる……!) 敏感すぎる身体がシュウのものを貪欲に受け入れ、急速に快楽が湧き上がってくる。 「はぁ、ああ、はぁ、う……くぅ、うぁ……大き、い……ぅ、はぁ、あぅう……っ!」 床に這いつくばらされ、息もうまくつげず苦しいはずなのに、じんじんと下腹の奥が疼く。 同時に胸は切なく絞めつけられて声を我慢できない。 「ああ、はぅ、んんぅ! く、はぁ、ああ……!」 男が動き始めると、それに合わせてあられもない声をあげてしまっていた。 「やあ、いやあ……! はげし……はぁ、ぅう、んぅ!」 子どもたちもその光景に魅入り、二人の結合部を穴があくほどに見つめた。 「どうだ? 入ってるのがわかるだろう」 シュウが言うとかくかくと頷く。 自分たちも持っているそれが女の、鏡子先生の股間に埋まっている――その淫猥な光景に魅せられている。 「はぁ、あ……いやあ、だめ……く、ぅう……!」 鏡子が身体をゆすって力なく抵抗する。 だがその動きはシュウと自分の快感を増してしまうだけだった。 それでもなお、子どもたちの前で完全にシュウに屈するわけにはいかない――そんな想いで抵抗を続ける。 |
「ほう……まだ頑張るのか。いい加減大人しくしたらどうだ?」
「う……誰が、あなたなんか、に……はぁ、ああ、や、っぅうん!」 完全に負けたことも、無理矢理されて快楽を感じてしまっていることは自分でもわかっている。 けれど、それでもシュウの行為そのものを子どもたちの前で認めることはできない。 「往生際の悪いやつだ」 「く……ん、んん!?」

一言つぶやいてシュウは鏡子の口をふさいだ。 「んんぅ!?」 ゆるゆると腰を動かし、挿入を続けながら唇と唇をねっとりとあわせる。 「ん、ふ……ぁ、ぁむ、ん、んむぅ……!」

鏡子が首を振って離そうとするのを腕でおさえ、キスを続けた。 「ふぁ……ん、はむ、ん……」 シュウは何も特別なことはしていない。 ただ唇を合わせ、時折舌を鏡子の唇や口内に這わせていただけだ。 だが――徐々に鏡子の反応がおとなしくなってくる。 「はぁ、ん……ん、ふぅ……ん、む……ちゅ……」 やがて顔を背けるようなことはなくなり、無防備に唇をさらし、合わせ、男に応える。 「ん……ちゅ、ふぁ……んむ、はぅ……ちゅ……」 (ダメ……頭のなか、ぼーっとして……) 最初は口を塞がれたことによる酸欠状態も影響していただろう。 けれど、やがては鏡子のほうから口内の男の舌に舌を絡めていた。 シュウは薄く笑い、鏡子の口内を舌で蹂躙しながら腰を激しく振り始める。 「ん、ふぅう! ん、ふぁ、ちゅぷ……ん、んん!」 口内の粘膜がとけ合う感触と、秘部の粘膜がこすれ合う感触が混ざる――。 「ん!? ん、ふぁ、はぁ、あむ……んちゅ、んぅ、くぅうん!」 シュウは全く唇を離すことなく、肉杭で鏡子の最奥をリズミカルに突き続けた。 「はぁ、あ、んむ……ふぁ、はぁ、ちゅ……んむ……!」 男の舌をペニスをねじこまれ、唾液を無理矢理飲まされる。 (イヤなはずなのに……どうしてこんなに……キスがきもちいいの!?) 口内と膣内を同時に責められる感触に鏡子の理性は完全に蕩けた。 子どもたちに夢中で見られていることを感じながら、キスと挿入の両方の快感に意識が飲み込まれていく。 「ん……ぅ、はぁ、ああ、んく……ん、ふぁあ、ああ、はむ……ん、ちゅ、ん、んぅううううう!!」 絶頂の瞬間――。 鏡子は自分からシュウの唇を求めて押し付けていた。 |
「あ……はぁ、あ、ぅ、うう……っ」 鏡子は男に身を任せ、自らその広い背中をゆるく抱いている。

「はぁ、ぅ、ん、や……あ、はぁ、はぁ……」 もうその両手は縛られていない。そして、鏡子に抵抗の意志も残っていなかった。 このままじゃいけない、男のされるがままになってしまってはいけない。そんな想いもちらちらと脳裏に浮かぶ。 けれど、快楽と支配される喜び、強いものに組み敷かれる快感が全てを押し流してしまう。 「だいぶ素直になったじゃないか」 「う……はぁ、はぅ、ん……ぅ、くぅ……っ」 この男、シュウのことはぜったいに好きになれない。 だけどそれなのに――どうして自分はこんなにも感じてしまうのか。 (やっぱり、私はこんな風にされることを望んで……?) 違う、と否定する自分もいる。 でもその声はいつしか弱く小さくなってしまっていた。 「ぅ……く、はぁ、あ……はぁ、う……」 シュウが腰を揺すると鏡子は切ない声をあげた。 「そろそろ女の喜びを叩き込んでやるか」 おもむろに言い、ぐいぐいとペニスを最奥に押し付ける。 「ひ!? はぁ、あ……く、ぅ、あ……」 二度の絶頂をへて鏡子の膣内は優しく柔らかくシュウのものを受けいれる。 膣襞は雁首と裏筋にねっとりとまとわりつく。ピストンするたびにあふれる愛液と媚肉のあたたかさは最高の美酒だった。 シュウは勝利に酔いながらぐりぐりと鏡子の身体を突き回す。 「あ、はぁ、や……それ、だめ……ぅう、くぅ、んぅ!」 「そろそろイクぞ……」 鏡子の身体をきつく抱きしめて固定し、コツコツと奥を細かく突いた。 「んぅ、はぁ、あ……や、めぇ! ん、ふぁ、はぁ、あぅ……んん、くぅ、あああっ!」 そして最後の瞬間――。 一瞬だけ唇と唇をあわせる。

「ちゅ、んんぅううむ!?」 どく、どぶ、びゅく――! きゅっと締まった膣内に、シュウは大量の白濁を吐き出した。 鏡子の子宮口にペニスの鈴口を押し付け、余すところなく奥に注ぎこむ。

「ふぁ……ああ、あ、は――ん、あつ、い……っ」 断続的な絶頂。 唇を合わせた快感を反芻しながら、鏡子は膣内射精で静かに三度目の絶頂に達した。 「あ……はぁ、あぅ、ん……はぁ、はぁ……」 ぐったりと力の抜けた身体をシュウに預ける鏡子。 (確かに私は……こうなることを……) 挿入されたままの秘部から白濁がこぼれ落ちた。 |