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ファイナルファンタジー25周年に寄せて

僕にとってFFは、敵わない恋敵とか、優秀すぎる兄貴とか、そういうイメージです。

FF1とFF2の時はまだ高校生で単なるファンでしたが、ゲーム業界で働くようになってからは勝手にライバル視して張り合っていました。
FFの新情報が出るたびに、自分の作っている画面と比べて、イケてない部分があると最初からドットを打ちなおし、プログラマに泣きついて画面レイアウトを修正してもらっていました。
他にも好きなゲームはたくさんありましたが、絵作りの方向が似ているせいかFFは特別に気になって仕方なかったのです。ですから、FF3~6までのFFは「敵」でした。

FF以外にも、たくさんの心揺さぶるゲームを作るスクウェアという会社そのものに興味が湧き、大容量時代の到来にビビってしまった僕は、悩んだ末にスクウェアに入社しました。
ただの廊下が前の会社の開発フロアよりも広いと戦慄し、休憩室の自販機でビールを売っているフリーダムさに歓喜し、連日朝までゲームの話をする馬鹿野郎が満載で、最高の?開発環境でした。

スクウェアに入社してしばらくは FF ナンバーズではないタイトル開発に携わっていたので、 今度はより間近で7,8,9,10という「新しいFF」を横目にゲームを作る事になります。
「敵」ではなくなりましたが、近くに最大のライバルがいるので、気が抜けません。

そんな自分も入社後5年目にしてついに、 FINAL FANTASY XII のスタッフとしてFFに携わることになりました。外から想像する以上にFFを作る事は大変でしたが、その分たくさんの方に遊んでいただき、多くの声をいただきました。 開発が終わって、打ち上げパーティの帰り道で泣いてしまったのですが、プロジェクトの終わりに泣いた経験がなかったので、そんな自分に驚きましたが、ヒゲのオッサンが泣きながら歩いていているのを見ちゃった方が驚きますよね。

と、僕はこんな風に25年もの間、FFから影響を受けて今に至ります。
FFにはこれからもずっと、感情を揺さぶる "気になる存在" であり続けて欲しいです。

ドット絵師・UIデザイナー 皆川裕史

FFT アートディレクション
FF12 キャラクターモデル統括・ディレクター
FF14 リードUI・WEBアーティスト




クリエイターズボイスは、今後も続々と更新していきます。
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