『時をかける少女』(2006年)や『サマーウォーズ』(09年)で、高校生を主人公にした爽やかなSF青春ストーリーを描いた細田守監督。両作品ともロングヒットし、数えきれないほどの映画賞を受賞。現在、巷で最も支持されているアニメ作家と言っても過言ではない。
が、その監督の最新作『おおかみこどもの雨と雪』の主人公は、“おおかみおとこ”の子供を産み、ひとりで育てる女性、花。そんな意外なヒロイン像には、“青春映画の名手”という細田監督のイメージを覆す裏テーマが隠されていた……!?
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―アニメ=少年少女が主人公、という作品が多いなかで「母」を主人公にした本作は新鮮でした!
細田 ありがとうございます。お母さんって、今までのアニメでは子供を見守るサブキャラとして扱われてきましたよね。実写でも、こういう子育てをテーマにした作品は少ない気がする。ただ……「人妻モノ」っていうと、また別のジャンルで大量にあるんですが。
―わはは! 確かに「人妻モノ」と言えますね。しかも、“おおかみおとこ”に先立たれた花は「未亡人」でもある。
細田 未亡人! さらにイイですね~! あ、映画の宣伝さんが不安そうな顔をしているので、マジメな話をしましょう(笑)。映画においていつも脇に置かれがちな母親ですが、実際はそこにこそ描くべき「成長の物語」があるはず。だって、子育てっていうのは子供が成長するだけじゃなく、母親も成長するものだから。その成長を描こうとすれば、必然的に……エロスが必要になってきますよね。
―またエロ話を!(笑)
細田 いやいや。マジメな話、人の成長や人生って、エロス抜きでは語れませんよ。実際、主人公の花が子供を授かったのは、“そういうコト”があったからでしょう。
―それです! まさか細田監督の映画で、開始10分後にベッドシーンが見られるなんて驚きでした。
細田 だって、子育てをテーマにするにあたって、その根拠となるシーンを“ほわんほわん”って感じでボカすなんてウソになっちゃうじゃないですか。だから、この映画ではやっぱりエロスにこだわりましたねぇ、うん。