ロンドン五輪:シン・アラム判定疑惑検証=フェンシング女子

(1)終盤の攻撃時間合計すると1.56秒…それでも電光掲示板は1秒

(2)最後の攻撃前に残り0.37秒だったが…審判が突然1秒に戻す

(3)相手選手「1秒が1.99秒のことも」…標準科学研「0.01-1秒という意味」

(4)国際フェンシング連盟ミス認める…訂正案めぐり協議中

■3回の攻撃にかかった時間は1.56秒?

 この試合を生中継したKBSは、終了1秒前に行われた3回の攻撃についてビデオで分析した。KBSは「1秒を30フレーム(コマ)で録画した画面を分析した結果、最初の攻撃では6コマ(0.20秒)、2回目は13コマ(0.43秒)、ハイデマンの得点が認められた最後の攻撃は28コマ(約0.93秒)かかった」と主張した。KBSの分析通りなら合計約1.56秒かかったことになる。しかし、電光掲示板の時計は依然として「1」と表示されていた。ハイデマンは試合後のインタビューで「1秒(という表示)が1.99秒のこともあるではないか」と語った。だが、韓国標準科学研究院のクォン・テクヨン博士は「タイマーに1秒と表示されている場合は、0.01秒から1秒まで残っているという意味」と話す。

■なぜ電光掲示板の時間が1秒に戻った?

 コマ数の合計から推定した時間には落とし穴が潜んでいる。オーストリアの審判はあと1秒というところで行われた3回の攻撃のうち、2回目の攻撃が終わると、試合時間終了を意味する「0」になった表示を再び「1」に戻した。KBSの分析によると、その前の攻撃2回は19コマかかった。つまり、すでに0.63秒が経過しているということだ。多く見ても0.37秒しかない状況だったが、審判が1秒に戻したことで0.63秒間が突然追加された。ハイデマンの最後の攻撃が終了直前に可能になったということだ。

 審判がなぜ時間を1秒に戻したかはまだ確認できていない。キム・チャンゴン氏は「2回目の攻撃では、タイムキーパーが審判の開始合図より早くボタンを押したと判断し、再び時間を1秒に戻した可能性がある」とみている。

■韓国選手団が強く抗議

 韓国選手団は判定に強く抗議したが、受け入れられなかったため、正式な書面で異議申し立てを行った。しかし、1時間の協議の末、国際フェンシング連盟は「試合時間は会場に表示される時間を見て審判が決定するという規定があるため、どうすることもできない」との回答を繰り返した。大韓体育会は31日、朴容晟(パク・ヨンソン)会長が国際フェンシング連盟のアリシェル・ウスマノフ会長に直接会い、タイムキーパーとタイマー操作ミスを認め再発防止策を発表することや、当時の主審とタイムキーパーに対し適切な措置を取ることを求めるなど強く抗議、国際フェンシング連盟から謝罪を引き出した。

■海外メディアも誤審に注目

 AFP通信は、今回の女子エペ個人準決勝での判定を、五輪で起こった5大疑惑判定のうち最も最近のケースとして取り上げ「適切な判定がされていればシン・アラムは決勝に進出できただろう」と報じた。米国メディアのESPNはシン・アラムを「観客のチャンピオン」と表現した。

 ESPNの表現のように、この日フェンシングの試合を見た観客は、シン・アラムを応援した。 3位決定戦でシン・アラムが得点したときは自国選手を応援するかのように歓声を送った。そしてシン・アラムがメダルを逃し、試合会場を去るときは多くの観客が立ち上がり、拍手した。

 シン・アラムは2000年、錦山女子中学校(忠清南道)2年生のときにフェンシングを始め、06年に韓国代表に選ばれた。10年の広州アジア大会では団体で銅メダル、今年のアジア選手権では個人で金メダル、団体戦では銀メダルを手にした女子エペのエースだ。

ロンドン= 姜鎬哲(カン・ホチョル)記者
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