つなぐ 希望の木
災難を乗り越えてきた木々を、都内に訪ねた。
【社会】年収800万 カリスマ運転手 タクシー業界本出版2012年8月1日 11時13分
法人タクシー運転手として抜群の成績を挙げている下田大気(ひろき)さん(35)=東京都武蔵野市=が、ノウハウやエピソードをつづった本を出版した。派手な衣装で知られる直木賞作家、志茂田景樹さん(72)の次男で、自らも金髪。紆余(うよ)曲折を経て就いた仕事だが、「高齢化しているタクシー運転手の仕事の魅力を伝え、若い仲間を増やしたい」と願いを込めた。 (井上幸一) 「タクシーほど気楽な商売はない!」(光文社、千三百六十五円)は、運転手になって知ったタクシー業界の仕組みや客とのやりとりなどが満載だ。ハンドルを握って二年半、日々ノートに書き留めたメモをまとめた。 下田さんは高校卒業後、役者や宝石販売、芸能事務所経営などの仕事をしてきたが、「みな中途半端だった」。日当の支給を受けながら、二種免許を取得できると知り、二〇〇九年十月にタクシー運転手になった。杉並交通に所属する。 遊び歩いて東京の裏道まで熟知した二十代の経験が生き、すぐに一日の営業収入が七万五千円超のトップ級運転手に。歩合制のため、一カ月最大十三日の労働で、年収八百万円を稼ぐ。 「空車時間を限りなく減らす」のが下田さんの鉄則だ。「ヒット(短距離乗車)を積み重ねれば、本塁打(長距離乗車)も自然に生まれる」。著書で▽苦手な曜日はつくらない▽平日深夜は確実に人のいる新宿、渋谷へ−など、蓄積するノウハウの具体例を示す。 「『松戸まで』とお客に言われたと思ったら『マクド(マクドナルド)』だった」という同僚の失敗談も。犯人尾行中の刑事や、血まみれの外国人が乗り込んできた体験も掲載した。 「客と結婚した例は?」「なぜLPガス?」「芸能人を乗せることは?」といった質問コーナーも巻末に設けた。「タクシー運転手は孤独なハンター。楽しまなくては」と強調する。下田さんのたどり着いた哲学ともいえる姿勢が全編ににじむ。 父から「読みやすい」と評価されたという。「父には遠く及ばないが、作家という父の世界に入ってみたかった。次はタクシー運転手が主人公の小説を書きたい」。新たな目的地が見えてきた。 (東京新聞) PR情報
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