(2012年7月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国中部に位置するほこりだらけの工業都市、長沙が、1300億ドルの投資計画を発表した。中国経済の成長が鈍化する中で、この計画は、他の地方政府が景気刺激策を打ち出す先鞭となる可能性がある。
中央政府は、債務の急増とインフレを招いた2009~10年の巨額の景気刺激策は繰り返さないと明言している。だが同時に、景気を支えるために投資を増やすよう求め始めており、成長に飢えた地方政府は野心的な支出目標を公表するようになっている。
中央政府のゴーサイン受け、湖南省・長沙が1300億ドルの包括計画
湖南省の省都である長沙は、包括的な計画を打ち出した最初の都市だ。今回の動きにより、中国の現在の最優先課題が、第2四半期の成長率が7.6%と3年ぶりの低水準となった経済のてこ入れであることがはっきりしたとアナリストたちは言う。
「温家宝首相は最近、投資促進と雇用拡大にゴーサインを出しており、長沙の投資計画は中国の地方政府の財政刺激策の新たな波の始まりだ」とみずほ証券のエコノミスト、沈建光氏は言う。
だが、長沙が投資計画の資金を賄えるのかという疑問や、支出ブームの再来が無駄な投資につながり、中国の長期的な経済見通しに害を与えるのではないかという懸念がある。
「政府がどれくらい景気を刺激すべきかについて意見の相違があるし、金融と財政の両面で制約がある。さもなければ、今頃はもっと多くこうした投資計画が出ていたはずだ」とバークレイズのエコノミスト、チアン・チャン氏は話す。
2008年に世界金融危機が勃発した時、中国は債務に依存した景気刺激策を実施し、これが中国の力強い回復の原動力となったが、中国の銀行に不良債権を背負わせ、不動産バブルを増幅させた。
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