『繋がる二重螺旋』
シャークドレイクが雄々しく咆哮する!!!!!
ツァン「行くよ...遊斗...これが...」
ボクは一枚の魔法カードを手にする。
ツァン「魔法発動!!!
『ハイドロ・キャノン』!!!
相手モンスター一体の攻撃力とモンスター効果を無効にする!!!」
遊斗「しまった!!!」
(デオキシオン・ヒトラーAK3300→0)
ツァン「さらに、暴鮫龍シャークドレイクは手札を一枚捨てることで攻撃力を300ポイントアップし、相手に1000ポイントのダメージを与える!!!
《激流弾》!!!」
遊斗「な...ぐああああっ!!!!!
(LP3500→2500)」
ツァン「これがボクの...妻として...そして愛する一人の女としての喝!!!!
『ブレイバーズ6暴鮫龍シャークドレイク』で『ブレイバーズ8遺伝子公爵デオキシオン・ヒトラー』を攻撃!!!!
《ハイドロストリーム》!!!!」
遊斗「...っ...俺が負けた.....ぐあああああああああああああっ!!!!!
(LP2500→0)」
デオキシオンヒトラーから次々と遺伝子が放出されていく...そしてそれが数百コマのムービーを作り出した...。
*********
ここはとある病院跡。
その地下で俺は生まれた...。
俺に親はいない。
生まれた時、俺はカプセルの中にいた。
俺はすぐに俺がどうやって生まれたかを知った。
かつて無敵...最強と言われた偉人の遺伝子を組み立て欠点を捨て、いい所だけを取り込んで造られた...ただの異物。
研究者によって引っ張り出された俺は同じ境遇の仲間たちとともに過酷極まりないトレーニングを積んでいた...。
トレーニングの中で仲間たちはまた一人、また一人と力尽きていった。
俺は研究所から脱走する計画を練った。
ちょうどその頃、俺は初恋というものを体験した。
それは憎む相手のはずの研究員の一人だった。
偶然、彼女も俺が好きだったために俺たちは両想いになった。
彼女といる日々はとても楽しかった。
彼女「こんなにボロボロになるまで戦って...無理しないで」
彼女は知らなかった。
俺と同じく研究員に恨みのある仲間たちが研究員と付き合っている俺を裏切り者と呼び、いつも迫害をしていることを...。
でも俺は彼女に心配かけたくなかった。
遊斗「大丈夫、ちょっとヘマしただけだから!!!気にすんな!!!」
こうなることは十分覚悟はしていた。
でも俺は無意識に仲間よりも愛を取っていた。
その愛のためには友は邪魔物だった。
罠に嵌めては殺したり、手足をもいでやったり、発狂するまで心の闇を植え付けたりした。
長いその経験の末、俺の右に立つ戦士は誰ひとりいなくなった。
俺は彼女のおかげと信じ、一生彼女の剣となる決意をした。
彼女はある日、俺と研究所を抜け出す計画を持ち掛けた。
彼女「もしこの研究所を脱出したら...私の側にいてくれる?」
遊斗「ああ」
その夜、俺は彼女の寝室に隠れ、彼女を抱いた。
生まれて初めての感覚にまだ馴れてなかった俺は彼女の体を貪った。
彼女はただ...目を閉じて俺を受け入れた...。
次の日の朝、彼女は俺に不思議な焼き菓子をくれた。
遊斗「これは?」
彼女「焼きドーナツ。
外の世界で流行ってるスイーツなんだって!」
遊斗「手作りか?」
彼女「そうよ。もし抜け出したら...その...」
恥じらいながら俯くと...
彼女「一緒に喫茶店やろうよ。
お店のメニューに入れよ♪
うわぁ...待ちきれな~い♪」
彼女はうっとりとした目で微笑んだ。
遊斗「君のためなら満身創痍になっても構わない。」
そして、俺は彼女を連れて走った。
襲い来る兵士を素手で倒し、銃弾をかわし、時に彼女の盾になった...。
しかし結果はあまりにも残酷だった...。
遊斗「しっかりしろ!!!」
彼女「けほっ...けほっ...」
彼女は血を吐いた。
なんとか研究所を抜け出したのに...彼女はたった一発だけ...被弾していた。
遊斗「目を覚ましてくれ...」
病院にかかれば居場所を突き止められてしまう。
俺にできることは...消えゆく命をただ見守ることだけだった...。
彼女「私はもう...死んじゃうんだ...」
遊斗「死んじゃダメだ。
俺との約束を忘れたのか!!!」
彼女「....最期の約束...聞いてくれる?」
遊斗「....」
彼女「もし生まれ変わったら...」
目から光が消えていく...。
彼女は最期の笑顔を見せた。
彼女「その娘を一生愛して。」
遊斗「.....約束する...。」
彼女は安心したように目を閉じると永遠の夢に身を預けた...。
彼女の名前は『桜城ツァン』。
*********
ボクは呆然と立ち尽くした。
遊斗の記憶のムービーはそこで終わっていた...。
ボクにやることは一つ...遊斗の想いにけじめをつけさせてあげること!!
だから......
ボクはデオキシオンヒトラーの腕を掴んだ。
ツァン「遊斗の心の闇は...」
その腕をボクの頭に突き刺した。
ツァン「ボクも共有する!!!
ああああああああ!!!!!!!!!」
激痛が全身を走る。
デオキシオンヒトラーから遊斗の記憶のデータが直接脳に送られる。
ツァン「遊斗の闇よ....!!!
ボクの深海と言う名の心の器に消えろ!!!!!」
逆に遺伝子を吸収されたデオキシオンヒトラーは断末魔をあげ...消滅した。
ツァン「はぁ...はぁ...」
脳内に多量の情報が渦巻き、脳が焼き切れそうになっていた。
ツァン「遊斗...」
*********
遊斗「ん....」
俺が目を覚ますとそこは一軒のボロ家だった。
???「起きた?」
ボロボロのキッチンではツァンが機械で何かを焼いている。
遊斗「すまない...俺らしくないことばかり...正直に話すよ。
俺は....」
ツァン「はい、美味しく焼けたわよ。」
遊斗「!!!」
遊斗に手渡されたのはあの時の思い出。
遊斗「お前なのか....ツァン!!」
ツァン「うん.....実は、私。この時代のツァンさんの体に記憶を投影させて存在してるの。だから遊斗とは10分しかいられない。」
だから...この心で遊斗と向かい合う。
ツァン「新しい女の子とは上手くやってる?」
遊斗「それは...」
ツァン「ダメじゃない!!!
約束破ったな~?」
遊斗「!!!!」
遊斗は目を見開いた。
ツァン「....遊斗は前を向いて。
彼女はきっといつもの楽しい遊斗を望んでいるわ。」
遊斗「....」
ツァン「私はそれだけ言いに蘇ったの。」
ツァンは目を閉じた。
ツァン「遊斗...絶対に失った時間を取り戻してね...。」
そういうとツァンは倒れた...。
*********
俺は倒れたツァンに膝枕してデッキを見ていた。
遊斗「俺は...やっぱりあいつしか愛してなかったんだな...。
約束破るなんて最低な男だ...。」
俺はデオキシオンヒトラーやその他のカードたちを取り出すと一枚一枚破り捨てた。
遊斗「今ならまだやり直せる。」
スヤスヤと寝息を立てるツァンの頭を撫で、俺は微笑みかけた。
遊斗「俺はブレイバーズ所持者をやめる。
俺は...君を守る剣になるから...。
止まった時を一緒に動かそう......桜城ツァン。」
...犬猿のジャッカルと雪乃は大喧嘩の末バラバラにいなくなってしまった。
ただ一人...迷子になってしまったゆまはとある喫茶店に流れ着く...
そしてゆまはジャッカルと雪乃を仲直りさせるために無謀にも二人に挑んでいく...。
次回...『ゆまVSジャッカル&雪乃』!
仲間割れはだいっ嫌いですぅ!!!
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