日本体操界の星が「田中3きょうだい」なら、故障者続出で苦しむ名古屋グランパスを救うのも“田中3兄弟”だ。DF田中マルクス闘莉王(31)、DF田中隼磨(30)、MF田中輝希(19)が31日、実戦形式の練習でそろって主力組に入った。3人がそろって先発出場するとなれば、Jリーグでは初めて。28日に最下位・札幌にまさかの黒星を喫したチームを、立て直す。
31日の練習では札幌戦で臀部(でんぶ)を打撲したMF金崎に代わって田中輝が前線の左サイドに入り、闘莉王、田中隼とのトリオが誕生。4日の神戸戦(瑞穂陸)で初めてそろい踏みする可能性が浮上した。
グランパスの“3兄弟”の個性は強烈だ。“長男”闘莉王はこの日の練習でも若手を大声で叱責(しっせき)。札幌戦敗北の罰とも受け取れる異例の1時間半ぶっ通しのランニングメニューが課されると、「オレたちは負け犬なんだ」と闘志を表に出した。
“次男”の田中隼は31日に30歳の誕生日を迎えた。「20代までの経験を生かし、状況に応じてベストチョイスができるプレーヤーになる。身体能力だって衰えてはいない」と気持ちを新たにした。“三男”の田中輝にとっては故障のケネディ、玉田、金崎と五輪で離脱中の永井が不在の今が大チャンス。「左サイドは得意なポジション。結果を出したい」と意気込んだ。
五輪の体操男子団体では田中和仁、佑典が銀メダル獲得に貢献した。理恵は女子のエースだ。グランパスの“田中3兄弟”も負けてはいられない。田中輝は「3兄弟? そう言ってもらえるように頑張ります」と笑顔。似ても似つかない3人のコンビネーションが、チームを再浮上へと導く。 (木村尚公)
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