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東電に1兆円の公的資金 実質国有化
7月31日 12時28分

東電に1兆円の公的資金 実質国有化
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政府は、31日、東京電力に1兆円の公的資金を投入して実質的に国有化し、東京電力は今後、政府の管理下で福島第一原子力発電所の事故による、賠償や廃炉などの着実な実施に向けた抜本的な経営の立て直しを進めていくことになります。

東京電力は、原発の事故によって廃炉や賠償に必要になる巨額の費用に加え、火力発電用の燃料費の大幅な増加などで深刻な経営状況に陥っているとして、ことし5月、政府などが設立した原子力損害賠償支援機構と策定した「総合特別事業計画」で、財務基盤を強化するため公的資本の投入を求めていました。
これを受けて、政府は31日、東京電力が発行する「優先株」と呼ばれる株式を引き受ける形で1兆円の公的資金を投入しました。
これによって政府は、東京電力の議決権のうち最大75%余りを保有して実質的に国有化し、東京電力は今後、政府の管理下で抜本的な経営の立て直しが進められることになります。
ただ、経営改善策に盛り込まれていた主要な項目のうち、家庭向けなどの電気料金値上げは申請段階よりも値上げ幅が圧縮されるなど、東京電力は公的資本が投入されても厳しい経営が続く見通しです。
実質的に国有化された東京電力は今後、政府と共に原発事故の賠償と廃炉の着実な実施や電力の安定供給を続けるために、こうした厳しい経営状況をいかに立て直すかが課題となります。
政府から1兆円の公的資金が投入されたことについて、東京電力の廣瀬直己社長は「被害者の方々に支払う賠償金の交付に加えて、公的資金による優先株式の引き受けにより、国民の皆様にさらなる負担をお願いすることになり、申し訳なく、また大変重く受け止めている。被害者の方々への賠償や着実な廃炉、電力の安定供給の確保という3つの課題を同時に達成していくために、『新生東電』として生まれ変わるべく、最大限の努力をしていく」というコメントを発表しました。

経産相“公的管理は長期間に”

東京電力が実質的に国有化されたことについて、枝野経済産業大臣は閣議のあとの記者会見で、「東京電力への資本投入は賠償、廃炉、電力の安定供給という3つの課題を国民負担を最小化して実現するためのものであり、今後、新しい経営陣の下、東京電力が再生することに期待している」と述べました。
一方、枝野大臣は「いずれは純粋な民間企業に戻ってもらう必要があるが、廃炉や賠償の総額の見通しが立てられないなかで、公的管理下は相当、長期間にわたる。過去に公的資金を投入した企業と同じようなタイムスパンで考えることは不可能だ」と述べ、実質国有化された東京電力が公的に管理される状況は長期間続くという見通しを示しました。

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