目次
巻頭言
巻頭言「日本を主語とした思想潮流を」 水島 総
巻頭グラビア
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韓国、反日の虚像
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コラム
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インフレ脳からデフレ脳への転換を 三橋貴明
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「亡国」を予期できぬ国民は阿呆で馬鹿である 藤井聡
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日本を土建化せんといかん! 中野剛志
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平気でウソをつく日銀総裁 上念司
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今、日本で起きていること 葛城奈海
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変革を求められるマスメディア 渡邉哲也
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大日本帝国復活への道 倉山満
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強い日本を再建しよう 小堀桂一郎
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文化的小児病に冒される日本列島 西部邁
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政治はなぜ混乱するのか 山村明義
page 21
世界経済危機を超えて 柴山桂太
page 23
怠け者を肯定する日本社会とポップカルチャー 古谷経衡
page 25
イスラエル・パレスチナ 紛争地のカフェからレポート 大高未貴
page 27
中華の脳回路を熟知せよ 坂東忠信
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節電に協力するのをやめよう 渡部昇一
page 31
書きたい放題 クライン孝子
page 33
戦後から戦後を批判するレベルに止まるな 西尾幹二
page 35
情報戦争に勝利せよ 田母神俊雄
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読者諸氏へ 水島総
討論
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思想・論壇に新しい潮流は生まれたか? 1/3
思想・論壇に新しい潮流は生まれたか? 2/3
思想・論壇に新しい潮流は生まれたか? 3/3
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アジアに自由と平和を! 桜大東亜会議 1/2
アジアに自由と平和を! 桜大東亜会議 2/2
国会議員ビデオレター
ポピュリスト達の醜態、郵政民営化見直しの真実 平沼赳夫
政府拉致追加認定と外務省のあり得ない無気力さ 山谷えり子
絶対に許さない! 第2の慰安婦碑設置 新藤義孝
多様な農業の共存こそが国益であり世界益である 山田俊男
消費増税、三党合意の中身と自民党の覚醒 古屋圭司
野田首相と後援会長の水増し疑惑 西田昌司
日本の脅威、中国の戦略と民主党の防衛政策 佐藤正久
いじめは無くならないが、犯罪は見逃さない 長尾たかし
急がれる尖閣への「上陸」 向山好一
刑法の一部改正、日本国旗の損壊に罰則を 高市早苗
オスプレイ配備、日本の怠慢と沖縄の領土問題 宇都隆史
消費増税、日韓関係、皇室典範、尖閣購入について 衛藤晟一
キャスター・コラム
天皇皇后両陛下と皇太子殿下の明治神宮御参拝 高清水有子
尖閣防衛は、日本が世界に負った責任 小山和伸
皇室・王室外交、日本とベルギーの関係を考える 鈴木邦子
産業政策に名を借りた計画経済の罠 上念司
学校で行われている憲法の教育について 佐波優子
国富のまとめ、将来世代への責任 三橋貴明
オスプレイの試乗要望書・尖閣諸島津々浦々 大高未貴
Sportsから見た政治、政治から見たSports 西村幸祐
民主主義の危機、左翼政権下の警察権行使 三輪和雄
近代文学の巨人、森敦の死生観 富岡幸一郎
丹羽大使問題、戦後財界人の国益感覚喪失 井尻千男
直言極言 水島総
奥付
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巻頭言「日本を主語とした思想潮流を」 水島 総

 
 「しっ、静かに。
 君のそばを葬列が通り過ぎてゆく」
 ロートレアモン「マルドロールの歌」より


 もう、皆が気づき始めている。
 全てが変わり始め、
 全てが終わり始めていることを。

 終わろうとしているのは、戦後日本。

 今、断末魔の悲鳴やうめき声をあげて、戦後日本がのたうちまわっている。
 しかし、その姿を直視し出来ない人たちがいる。
 引き受けられない人たちがいる。
 本当のことを言おう。
 彼等は、戦後日本が、大好きだったのだ。
 あれこれ、文句を言いながら、
 本当は、ぬくぬくと温かく、腐臭にまみれた戦後日本を愛していたのだ。
 なぜなら、
 彼らこそ、戦後日本だったからだ。
 自分を愛さない人はいない。
 自分を否定する人もいない。
 しかし、彼等も本当は気づいている。
 まるで、自分たちは阿片患者のようだと。
 いつか、阿片に頼らず、
 独りで生きられると、本気で思い、
 毎日、明日こそはと呟きながら、阿片を吸い続けて来た。
 そして、67年が過ぎた。
 日々の慰安と快楽が、阿片患者の決意を腐敗させた。
 彼等は、阿片患者の哀しみや恥かしさすらも忘れ、
 人が人である為、何が必要かも忘れた。
 破滅へ向っていることすら忘れた。
 彼等は、もはや、阿片患者であることすら、忘れて果てた。

 毎日、同じ決意と希望の表明が、
 阿片患者の口から繰り返された。
 語られた決意は、黒い唾液となり、
 語られるみみっちい希望は、腐敗臭の口臭となり、
 日本中にばら撒かれた。
 彼等は、今日も、腐臭ぷんぷんの希望と決意の寝言を吐きながら、
 温室の夢を見続けている。
 そして、67年が過ぎた。

 しかし、阿片のまどろみの中にいる彼等は気づかない。
 ときどき、彼らの罪の意識が、深層から表面に浮かびあがり、
 彼等の夢を不安と恐怖の悪夢に変える。
 死にそこないのバンパイアのように、
 彼等は、弱々しい悲鳴と金切り声を上げ、
 黒色の冷や汗を全身から噴出させ、
 助けてくれと叫び続ける。
 昔、仲間だった阿片中毒者たちよ、
 温かで甘い腐敗が進み、君たちの身体を静かに溶解させていく。
 もう、眠っていいのだよ。
 君たちは眠るべきだ、永遠に眠りへ。

 昨日、私たちは戦後日本を安らかに眠らせたいと思った。
 戦後日本に美しい死を与えようと思った。
 断末魔の戦後日本に、せめて美しいとどめを刺したいと願った。
 私たちの目から、温かな液体が溢れ、頬を流れ落ちた。
 鏡を見た時、
 黒色の涙だとわかった。
 それは白いシャツの胸に、黒い滲みとなって拡がっていた。

 黒死病告知のように、私たちは彼らに、または私に、
 これが夢か幻なのかを問い続ける。

 葬列は彼らなのか、私たちなのか。

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