森本には、転職希望者と面談をするとき、大切にすることがある。それは、その人の「本当にやりたいこと」を探ること。一般に転職で重視されるのは、その人がどんな経験を持ち、どんな仕事ができるか、いわゆる仕事のキャリアだ。次の職場で仕事をこなせるかどうか、それまでのキャリアから判断を下していく。森本ももちろん、キャリアは重視する。だがそれ以上に大切にするのが、心の底では本当はどんな仕事をやりたいと思っているのか、だ。なぜか?森本は、「人は、本当にやりたいことをやるとき、最もモチベーションが上がり、潜在能力を最高に発揮できる」と言う。数々の体験を通して学んできた現場での確信だ。本人さえも気付いていない、本当にやりたいこと。その真実を知るために、森本は徹底的に心を砕く。ただし、心の奥底を探るのは簡単なことではない。そのため面談では、独特の質問をぶつけていく。「人生で楽しいと感じた瞬間は何か」「あなたはなぜ生まれたと思うか」など根源的な質問をさまざまな角度から浴びせて、本当にやりたい仕事を探っていく。