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2012年7月20日12時7分

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「おおかみこどもの雨と雪」細田守監督、ノベライズも

写真:細田守さん:細田守(ほそだ・まもる)さん。1967年富山県生まれ。2006年に発表した劇場版「時をかける少女」で日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、ヌアシー国際アニメーション映画祭長編部門特別賞などを受賞。09年の「サマーウォーズ」ではデジタルコンテンツグランプリ経済産業大臣賞、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門対象などを受賞した拡大細田守(ほそだ・まもる)さん。1967年富山県生まれ。2006年に発表した劇場版「時をかける少女」で日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、ヌアシー国際アニメーション映画祭長編部門特別賞などを受賞。09年の「サマーウォーズ」ではデジタルコンテンツグランプリ経済産業大臣賞、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門対象などを受賞した『おおかみこどもの雨と雪』(角川文庫)の詳細はこちら

写真:細田守さん:「ゆっこ」という名前のミニチュアダックスフントを飼っている。「ペットボトルも本も、なんでも噛み砕いてバラバラにする」といい、「おおかみこども」の家の中での描写の参考になったそう拡大「ゆっこ」という名前のミニチュアダックスフントを飼っている。「ペットボトルも本も、なんでも噛み砕いてバラバラにする」といい、「おおかみこども」の家の中での描写の参考になったそう

 アニメ映画「時をかける少女」や「サマーウォーズ」を手がけた細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」が21日から公開される。「おおかみおとこ」と恋をして2人の「おおかみこども」をもうけた女性が、2人を育てながら共に成長していく姿を描いた作品だ。今回は初の試みとして、映画の製作と並行してノベライズも手がけ、同名の文庫本を出版した細田監督に話を聞いた。(朝日新聞デジタル 梅本響子)

 ニホンオオカミの子孫である「おおかみおとこ」と恋に落ちた大学生・花はやがて子どもをさずかるが、生まれてきたのは半分人間で半分おおかみの「おおかみこども」だった。周囲に「おおかみこども」であることを知られないよう、苦労しながら2人の子どもを育てる花。成長した2人はやがて、それぞれの生きる道を選ぶことになる――。

 前作「サマーウォーズ」では大家族の絆を描いた細田監督だったが、今回のテーマは「お母さん」。細田監督自身に子どもはいないが、「友達に子どもが生まれて、親ってすてきだな、かっこいいなと思えた。その憧れをそのまま作品にしようと思った」という。

 「子どもを育てているいとこの話を聞いていると、3歳ぐらいの子どもは一番凶暴でコントロールがきかない、半分動物で半分人間のような存在。もし本当にそういう存在がいたら面白いんじゃないかと思っておおかみこどもを考えついたら、なんだかとてもかわいらしかった」

 社交的な姉の雪と、内省的な弟の雨。小学生となった2人に、人間とおおかみのどちらとして生きていきたいか、選択する時期がやってくる。「子育ての行きつく先にあるのは、子どもの自立。自分で自分が生きていく道を選ぶときが、子どもが大人になる瞬間だと思う」。同時にそれは花にとって、葛藤しながらも子どもの選択を受け入れ、親としての役目を終える瞬間でもある。「自分が親になるとしたら、別人格として子どもを尊重する、そういう態度を持った親でありたい」

 映画では姉の雪が語り手だが、企画段階のプロット(筋書き)は、三人称で書かれていた。「プロットの文体を使って物語を書いてみるとどうなるか、興味があった」ことが、今回の出版につながった。もともとプロットでは「物語をシンプルに書くタイプ」。出来上がった本も簡潔で力強い文体が目をひく。映画の現場を終え深夜に帰宅してから、明け方まで書くという執筆生活を3カ月送ったという。

 「つとめて映画の印象と同じにしよう」と書き始めたが、「同じ物語を文章で表現しようとするには文章なりの工夫が必要で、映画と同じわけにはいかないと痛感した」と振り返る。「映画には映画でしかできない表現があるように、小説にも小説にしかできない表現がある。例えば一人称の物語は映画にできない。文体とか表現の面白さはなくなって、筋だけが残ってしまう」

 子どもの頃から本が好きで、筒井康隆の本をよく読んでいた。「筒井先生の本領である『残像に口紅を』や『バブリング創世記』は絶対に映画にできない。『時をかける少女』のようなジュブナイル(少年少女向け小説)ならなんとか映画にできるけど」

 今後また本を書くことはあるのか。「小説や実写映画からは多大な影響を受けているけれど、アニメーションの表現が好きだし、自分のやるべきことはアニメ映画を作ること。その流れの中でまた何か書けるといいなと思う」

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