政府の原子力損害賠償支援機構は31日、東京電力の第三者割当増資を公的資金1兆円で引き受け、資本注入した。これで政府は、東電の経営にどこまで関わるかを示す議決権比率の過半数を持つことになり、東電は実質国有化された。国は資本注入により、福島第1原発事故で巨額の賠償や廃炉の費用を抱える東電の財務基盤を強化する。
支援機構は東電が発行する新しい株式をすべて引き受けた。議決権比率は、東電の経営改革が進まなかった場合、過半数から最大75%超まで引き上げ、政府がより主導的に経営再建を進めることができるようにした。
また、東電は主要取引金融機関から総額1兆700億円の追加融資を受けることで合意しており、8月1日にも第一弾となる3700億円が融資される。
東電の広瀬直己社長は「賠償資金の交付に加え、公的資金による優先株式の引き受けにより、国民の皆さまにさらなる負担をお願いすることになり、申し訳なく、大変重く受け止めている」とのコメントを出した。
(中日新聞)