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ベッカム、ドログバも登場! 聖火リレーで英国が盛り上がる!

nikkei TRENDYnet 6月4日(月)11時3分配信

ベッカム、ドログバも登場! 聖火リレーで英国が盛り上がる!
ロンドンオリンピック(以下、ロンドン五輪)まであと60日をきった。イギリスでは聖火リレーが始まり、盛り上がりが高まってきているという。

 ロンドンオリンピック(以下、ロンドン五輪)まであと60日をきった。

 このところのイギリスは、夏のような好天が連日続き、6月初旬のダイヤモンドジュビリーを直前に控えて、国全体にうきうきするような楽しいムードが広がっている。

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 そんななか、ロンドン五輪の聖火リレーがスタート、オリンピックに向けての盛り上がりもいよいよ高まっている。

 まずは、聖火リレーのこれまでの経緯を振り返ってみよう。

ギリシャで採火……アン王女からデービッド・ベッカム選手へ

 2012年5月10日、古代オリンピックが行われていたギリシャのオリンピアで、古来からの方法によりロンドン五輪の聖火が採火された。

 ギリシャ国内で約3000キロの聖火リレーが行われた後、5月17日にアテネのパナシナイコ競技場で聖火引渡しのための式典が行われ、ロンドン五輪組織委員会のコー会長、ボリス・ジョンソン・ロンドン市長、大会親善大使でサッカー・イングランド元代表のデービッド・ベッカム選手らの出席のもと、ギリシャ・オリンピック委員会のカプラロス会長から国際オリンピック委員会(IOC)委員でもあるアン王女に聖火が引き渡された。

 翌5月18日、ゴールドに輝くブリティッシュ・エアウェイズの2012便「The Firefly(ホタル)」でギリシャからイギリスに空輸。

 同日19時30分過ぎ、待ち構えた観衆が見守るなか、英南西部コーンウォールのカルドローズ海軍航空基地に同機が到着。

 基地内で歓迎式典が行われ、アン王女から聖火トーチを受け取ったベッカム選手が、特設の聖火台に点火した。

聖火リレーは英国各地を70日間かけてまわる

 5月19日は、いよいよ聖火リレーの1日目。

 聖火は基地からヘリコプターで英国の最西端であるコーンウォールのランズエンドに運ばれ、午前7時15分から聖火リレーがスタート。1番目の走者は、地元出身のセーリング英代表で、2008年北京五輪まで4大会で4つのメダルを獲得しているベン・エインズリー選手だった。

 こうして5月19日にコーンウォールからスタートした聖火リレーは、英国各地を70日間かけてまわり、7月27日の開会式にロンドンのオリンピックスタジアムに到着することになる。

BMWのエネルギー環境センターでの耐候試験もクリアした聖火トーチ

 聖火トーチは、ロンドン東部を基盤にするデザイナーデュオ「バーバー・オズガービー(エドワード・バーバーとジェイ・オズガービー)」によるデザイン。今年4月にはデザイン・ミュージアムで行われた授賞式で「デザイン・オブ・ジ・イヤー(2012年最優秀デザイン賞)」を受賞した。

 トーチは高さ80センチ、重量800グラムのアルミニウム製。三角形のデザインは、今回がロンドンで開催される3回目のオリンピックであること、そしてオリンピックの3つの価値「尊敬、卓越、友情」や3つのモットー「より速く、より高く、より強く」、ロンドン五輪の3つのビジョン「スポーツ、教育、文化」を表すためだという。また、8000人の聖火ランナーを象徴して8000個の丸い穴が開いているが、聖火ランナーには12歳の子供もいるので、穴があることでトーチの重量が軽くなっていいそうだ。さらに、この穴により、聖火の熱がランナーに伝わらないなどの利点もある。

 また、ドイツのミュンヘンにあるBMWのエネルギー環境センターであらゆる天候に耐えうるかどうかを試す耐候試験も受け、イギリスの変わりやすい天候への対策も万全だ。ちなみに、BMWはロンドン五輪聖火リレーの公式スポンサーでもある。

イングランド、ウェールズ、アイルランド、スコットランド……全土をほぼ網羅

 さて、ここで聖火リレーのルートを簡単に紹介しよう。聖火リレーのルートの詳細は、以下のサイトのマップがわかりやすいので、参照しながら以下の説明をお読みいただきたい。

■ロンドンオリンピック公式サイト:聖火リレールート地図より■英国営放送「BBC」局公式サイト:聖火リレールート地図より■ガーディアン紙公式サイト:聖火リレールート地図より 聖火リレーのルートは英国各地の1000以上の主要都市や観光名所をまわるものになっている。

 ルートはほぼイギリス全土を網羅し、本土であるグレートブリテン島と周辺の英国領の島々(マン島、ガーンジー諸島、ジャージー諸島など)に住む人々の95%は、1時間以内で行ける場所に聖火リレーのルートがあることになっている。

 また、単にランナーが走るだけでなく、ルートのなかには、汽車やボート、気球を使って聖火トーチを運ぶなど、楽しい趣向もこらされている。

 聖火リレーは、イングランド南西部コーンウォールからスタートして、南の海岸沿いにエクセターまでいくと、今度は西海岸沿いにコースを変え北上、途中イングランド中部バーミンガムを経由して、ウェールズに入る。

 そのままウェールズ西海岸を北上し、イングランド北西部に到達すると、リバプールから海を渡ってマン島系由で、16日目の6月3日に北アイルランドのベルファストに入る。

 18日目には、隣国アイルランド共和国のダブリンにも寄り、続いてスコットランドへ。

 スコットランド第2の都市、グラスゴーからスコットランド北部のハイランドをさらに北上、23日目には北の果てのオークニー諸島やシェットランド諸島にも立ち寄る。

 24日目の6月11日は、インバネスからスコットランド東部を走っていく。

 そしてスコットランドの首都、エジンバラからイングランド北東部を南下、ヨークまで下りたところで、34日目の6月21日にはイングランド北西部の観光名所である湖水地方へ。マンチェスター、リーズ、シェフィールドなどイングランド北部の主要都市をまわり、48日目の7月5日はイングランド東部のノーフォークから東海岸周辺を走り、中部を横切って再びイングランド南部の海岸沿いをめぐった後、じわじわとロンドンに近づいていく。

 聖火がロンドンに入るのは、64日目の7月21日になる。

 その後、ロンドン各地を1週間かけてめぐり、70日目の7月26日にロンドン南部のハンプトンコート宮殿からロンドン東部を目指してテムズ川をのぼっていく。

 そして、7月27日、開会式が行われるオリンピックスタジアムで最終聖火ランナーが到着することになる。

 その間の走行距離は8000マイル(約1万2800km)、総勢8000人がそれぞれ300mほどの距離を走って、リレーすることになっている。

一般公募7200人に加え、ミュージシャンやサッカー選手など有名人がリレー

 聖火リレーのランナーには、地域活動や慈善活動で貢献した人、スポーツで活躍した人、推薦された人など、12歳から100歳までのさまざまな市民が参加。ランナー8000人のうち一般公募は7200人だが、一般人にまじって有名人が聖火リレーのランナーとして登場するのも話題だ。

 2日目の5月20日には、イングランド南西部デヴォンのテインマスで地元出身の人気ロックバンド、ミューズのメンバー3人がリレーに参加、ファンなど数千人が集まる騒ぎになった。

 5月21日には同南西部トーントンで、アメリカのヒップホップグループ、ブラック・アイド・ピーズのメンバー、ウィル・アイ・アムが登場。

 また、5月23日には同南西部スウィンドンで、サッカープレミアリーグ「チェルシー・フットボール・クラブ(チェルシーFC)」のFW、ドログバ選手が走った。

 5月19日に行われた欧州チャンピオンズリーグの決勝で同点ゴールを決めるなど大活躍を果たしたばかりのドログバ選手とあって、沿道にはチェルシーのユニフォームを着た多くの人々が駆けつけた。

聖火が通過する自治体にとっては経済効果が期待されるものに

 同じく5月23日には、エリザベス女王の孫で馬術選手でもあるザラ・フィリップスが、チェルトナム競馬場で馬に乗ったまま聖火リレーを行った。

 さらに、5月26日には英人気SFドラマ「ドクター・フー」でドクター役を演じる英俳優マット・スミスが、同ドラマの撮影スタジオがあるウェールズのカーディフでリレーに参加。

 このほか、英現代美術家のトレイシー・エミンが、出身地であるイングランド東部マーゲートで7月19日に聖火リレーを走ることも発表された。おそらく今後もセレブや著名人など、さまざまなゲストが聖火リレーに登場することが予想されている。一体どんなサプライズがあるか、そちらも楽しみだ。

 聖火リレーの模様は、BBCのウェブサイトやロンドン五輪の公式サイトのストリーミングで中継されている。

 英国各地の美しい風景とともに、聖火リレーで盛り上がる地元民の様子をリアルタイムで見ることができるのはうれしい限り。聖火が通過する町や村には数千人が集まり、大変な盛り上がりを見せているという。

 さらにテレビや新聞、インターネットの報道を通して、地元コミュニティーを世界中の人々にアピールできることからも、地元自治体が力を入れるのも当然だ。地元の観光産業や経済に与える影響は多大なものだろう。

 7月27日の開会式までの間、聖火リレーが開催される英国各地からのさまざまな話題に注目したい。

(文/名取 由恵=ロンドン在住ライター)

最終更新:6月4日(月)11時3分

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