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【サッカー】

驚速Vループ永井が決めた決勝T モロッコに1−0 金へ加速だ

2012年7月31日 紙面から

日本−モロッコ 後半、決勝ゴールを決め、腕を突き上げ喜ぶ永井。左下は斎藤=セントジェームズパーク(共同)

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◇ロンドン五輪男子サッカー1次リーグD組 日本1−0モロッコ

 【ニューカッスル(英国)松岡祐司】永井弾! 日本8強!! 29日(日本時間30日未明)に行われたロンドン五輪サッカー男子1次リーグ(L)D組で、日本はモロッコを1−0で破り、2000年シドニー大会以来、3大会ぶりの決勝トーナメント(T)進出を決めた。後半39分、FW永井謙佑(23)=名古屋=が快足で抜け出し、右足でフワリと浮かせた技ありゴールで難敵を沈めた。日本は前評判を覆す快進撃で、一気に「メダルロード」へ突入した。日本は8月1日(日本時間2日未明)、1次リーグ第3戦のホンジュラスに勝つか引き分ければ、男女を通じて初めて同1位突破が決まる。

 セントジェームズパークの大観衆は総立ち。ピッチ脇のスコアボードに乗って、永井が堂々の仁王立ちだ。両腕を高々と突き上げ、「どうだっ! やったぞ!!」−。驚速を飛ばしてVループ弾。野性味に満ちた会心の雄たけびの先では、赴任先のブラジルから駆けつけた父・俊治さんと母・千鶴子さん、兄・俊彦さん、妻・綾香さんが涙を浮かべ感極まっていた。

 「やっと(得点が)入りました。やっとです。ワンチャンスが入って本当に良かったです」(永井)

 スコアレスで迎えた後半39分。清武が敵陣左サイドへ送った浮き球に永井が爆発的な加速で即応した。GKアムシフも前へ出たが「先に触る自信はあった」。アクセルを踏み込むと、グイっと右足を伸ばして頭越しにシュートを打った。「入ってくれ」−。日本中の祈りを乗せた球はまるでスローモーションの映像でも見るようにゆっくりと転がり、ネットに収まった。速さ、決定力。永井らしさが凝縮した五輪初得点、決勝弾だった。

 進化の始点は5年前、福岡大1年のとき。世代別代表候補に初選出され、意気揚々と合宿へ向かった。宿舎の同部屋は香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)だった。技術ではまるで歯が立たない。スタッフからは「球が収まらない」「周囲を使えない」と短所ばかりを突かれて自信を喪失した。

 「真司はめちゃめちゃうまい。それに比べて超ヘタクソの俺なんか…」

 下降線の一途をたどり、大学2年の夏には「才能」まで枯渇。「ああ、つぶしたな」。そう思った同大の乾真寛監督は初めて永井を強く諭した。

 「自分を磨く努力をしたのか? 本気で悔しいと思わないのか?」

 直後、永井は千鶴子さんに電話して、こう頼み込んだという。

 「プロテインを飲みたいから、お金を送ってください」

 自分自身と向き合い、初めて体を鍛えた。3カ月後のU−19アジア選手権のイラン戦でハットトリック。「自分の速さが何なのか、そこで初めて知った」(乾監督)永井は、そこから階段を駆け上がってきた。

 スペインを下したホンジュラスとの1次L最終戦に向け、永井は「上を目指すなら1位通過しかない」と言った。歓喜は一瞬。スピードスターの視線の先には、「金メダル」しかない。

 

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