EMグループの活動事例

2011年07月12日(火)

ケニア>
EM栽培で高品質な農作物をヨーロッパ市場へ輸出

カテゴリ : 海外

ナイロビから北へ約200kmにあるニャフルル県は比較的高地にあり、温暖な気候と適度な降雨に恵まれ、ケニアでも有数のお茶の産地になっています。
  • 学校からでる生ごみより作られた堆肥を土嚢袋につめて、野菜や花を植えます。移動可能なことから現地では「モバイルガーデン」と呼ばれています。
  • 実習では堆肥づくりや、モデル農場の整備、畜産についても学習しています。
  • 2年間のカリキュラムを終えて卒業する生徒達。

EM栽培で農産品の品質向上
 ケニアはアフリカ大陸の東、赤道直下に位置し、豊富な日照量と適度な降雨量がある地域が広がり、観光業と並んで農業が盛んな国です。また、ヨーロッパへの航空ルートが近年整備され、ヨーロッパ市場への農作物の輸出も増加し続けています。

 こうした条件から紅茶の生産量は世界第3位、また花きも農作物では紅茶に次ぐ輸出作物で、その他、コーヒーなども輸出されています。これらの輸出作物は品質管理を厳しくしているだけでなく、ヨーロッパの資本で運営される加工場では環境面への配慮を目指していることから、農産品の品質向上や加工場での環境改善のためにEM技術の活用が拡がっています。

ニーズの拡大に合わせ規格認証にも対応

 一方、ケニアやウガンダなどの東アフリカ諸国では、今でも商取引の不正が非常に多いため、近年、商品の許認可の取得がとても厳しくなっており、EMを利用する側も許認可が取れている商品かどうかについて敏感になっています。こうした背景からEMテクノロジー社では一昨年、EM1号の製造に関する工業規格KEBS(※1)の認証や、環境浄化用資材として、NEMA(※2)の認証も受け、市場のニーズに合わせて対応しています。


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※1 KEBS(Kenya Bureau of Standards):ケニア標準機構
※2 NEMA(National Environment Management Authority):ケニア環境管理局

様々な分野で進められるEM普及活動

ケニアで生産される切り花は欧州などへ輸出されるため、品質は非常に厳しく管理されています。花の品質改良、病害虫の減少、切り花の日持ちが良くなるなどEMの効果が報告されています。

 ケニアでのEM普及活動は、農業分野、環境分野、ケニア政府との共同プロジェクトなど多様な分野で進められており、それらの活動はNPO法人アフリカ児童基金の会(ACEF)の現地に根づいた活動を土台に、EM研究機構の協力により進められています。

 EM1号の現地普及は2002年ACEFがEM事業に特化したNPO法人EMケニアを設立し、EM研究機構との合意書締結により始まりました。2004年には広くケニア市場へのEMの普及を進めるため、EMケニアの業務は会社法人EMテクノロジー社に引き継がれ、現在に至ります。

EMとEM堆肥を用いた有機栽培トマトは味もよく、通常のトマトより高値で取引されるため、EMを導入する農家が序々に増えています。

 ケニアでの主なEMの活動は、農業や環境分野へのEMの供給、キベラスラム環境改善プロジェクト、ケニア有機農業学校(KOATEC)(※3)の活動などが進められています。


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※3 KOATEC(Kenya Organic Agriculture Technical School):ケニア有機農業学校

農業学校や大学でのカリキュラムにも採用

ケニア有機農業学校ではEMを活用して、有機農業や持続可能な農業の講義が行われています。

 ケニア有機農業学校は、ケニアの首都ナイロビから約150キロメートル離れたエナの町にあり、2006年に日本政府の無償資金援助により設立されました。生徒はケニア国内の高校卒業者や実際に農業に従事されている方など様々で、年間に約30~40名がこの学校を卒業し、卒業生は自ら農業を始めたり、農業法人に就職したりしています。

日本政府の無償資金協力により建てられたケニア有機農業学校。

 同校では2年間のEM技術を取り入れた農業者の養成やモデル農場での実習、農業者による有機農業セミナーが行われており、近年持続可能な農業や有機農業が見直されてきており、序々に修学希望者も増えています。また、こうしたカリキュラムの有用性は他校にも認知され始めており、2010年3月からはケニアメソディスト大学と提携し、農業実習や講義などの交流を始めました。これにより、カリキュラムの内容がさらに充実するとともに、同校を卒業した生徒はケニアメソディスト大学に編入できるなど、進路の選択肢も幅が広がることになりました。

ケニアでの成果をアフリカ全体に推進

 ケニアは政治や経済、また地理的にも東アフリカ諸国(タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジなど)の中心的な国であり、ケニアでのEM活動は近隣諸国での普及の後押しにもなっています。日本政府もアフリカ各国へのODA支援額を2012年までに倍増するなどの方針を打ち出しており、今後もアフリカの世界的な役割は高まっていくものと考えられています。経済の発展にともなう環境分野への対策、安全で十分な食料を供給していくための農業など、アフリカにおいて、EMの活用は今後も拡がるものと考えられます。


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「キベラスラム環境改善プロジェクト」

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