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当コーナーでは、皆様によりNGOの活動内容を知っていただくため、順次NGOの紹介をしてまいります。
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アフリカ・サハラ砂漠の南縁部はサヘル地帯と呼ばれ、いま砂漠化に瀕し、かつ飢餓ベルトともいわれる慢性的食料不足地帯です。砂漠化は地球的規模での気候変動、海水温度の変化などの自然的要因が大きく関係しています。また近年人口増加とそれに伴う家畜の過剰放牧、過剰耕作、薪炭用の木の伐採などにより、緑の生育を上回るスピードで人間や動物が緑を消費してしまうことにも起因しています。

「緑のサヘル」は、今こそこうした事態を深刻に受け止め、かけがえのない地球の限りある資源と豊かな環境を次の世代に引き継いでいかなくてはならないと考え、サヘル地域に住む人々と共に食糧自給の達成を目指し、砂漠化を防止し、緑を減らさない方策を講じていこうとしています。そしてより積極的に緑を殖やす努力を推進し、地球規模の保全、自然生態系の復元に寄与したいと考えています。

(資料提供・協力:緑のサヘル、編集:NGOアリーナ寄付サイト事務局)


タカバングー村で起こった砂嵐

北部はサハラ砂漠、南部にはサバンナが広がる、アフリカ大陸の中央北部。「サヘル地帯」と呼ばれているこの地域の大部分は乾燥地帯です。

かつて森林地帯だった地域も、植民地時代の綿花栽培や気候変動、さらに近年のスーダンからの難民流入に伴う薪炭材の伐採や家畜の過剰放牧によって、砂漠化の進む不毛の土地となってしまいました。

1991年設立の「緑のサヘル」は、この土地の砂漠化を防止し、緑を減らさない方策を講じていくと同時に、慢性的な食糧不足に悩むサヘル地域の人々と共に、食糧自給を達成していくことを目指しています。

活動内容は伝統農法・野菜栽培から穀物備蓄や作物種子の貸し出し、井戸掘削、養殖、植林まで、非常に多岐にわたっています。

 


植林風景
チャド東部スーダン難民キャンプ周辺

  サヘル地域に位置する世界最貧国の一つ、チャド共和国。「緑のサヘル」は1992年からチャドでの支援活動を始めています。

現在、チャドにはスーダンからの難民が流入し、その数は2004年からの1年間で20万人にも上っています。チャドの人々は決して豊かでないにもかかわらず、難民を温かく迎え入れ、貴重な食糧なども分け与えました。しかし、その結果、地元の人々にも栄養失調が広がってしまいました。

また、地元民も難民も、日々の食事をつくるための燃料として薪を必要とします。連れて来た家畜にも餌として草木を与えなければなりません。大量に増えた人口は、大量の薪を必要とします。

人々は周辺の木々を伐採し、そこに木がなくなれば、より遠くの地域へと薪を集めに行きます。その伐採のスピードは、植物の成長のスピードをしのぎ、キャンプ周辺の環境から緑は失われてしまいました。
「環境問題は、すなわち燃料問題なのだ」と、スタッフはつくづく思ったそうです。

日々の薪や水を確保するのは女性の仕事ですが、周辺に緑が失われた結果、女性たちは1日に数十キロも歩かなくてはならないなど、負担は日々過重になっていきました。それどころか、女性が一人で人気のない荒野に向かうため、ある地域では暴行事件が相次ぐなど、生活環境は悪化の一途を辿っていったのです。
 
 


植林風景
チャド東部スーダン難民キャンプ周辺

「緑のサヘル」ではこのように破壊された土地に対して、積極的に緑を殖やす努力を推進し、地球規模の保全、自然生態系の復元に寄与したいと考えています。そのため、チャドでの活動の大きな柱にあるのが植林活動です。

乾燥の激しい破壊された環境の地域には、単一樹種の植林よりも複数の樹種、しかもできるだけ現地に存在する樹種による複合林、いわゆる雑木林をつくるのが有効です。そこで、在来の耐乾性の強い樹種を中心に、最大73種の植林を行いました。

特に現地の人々に受け入れられやすいよう、新たな現金収入に結びつくような樹種も選択しました。グァバやマンゴー、カシューナッツといった果樹、アラビアゴムの収穫が期待できるアカシア・セネガルなどです。これらについては、難民キャンプで地元の普及員が直播のデモンストレーションや管理指導を行った後、難民の家族に種子を配布し、自分たちが自主的に生活環境の改善に取り組むよう促しています。

半年後にも約84.9%の樹木が順調に育っていることが確認されていますが、環境が改善されるともに、地元の人々や難民自身が、自分たちの住環境の問題に気がつくようになったことは大きな成果でした。

植林の目的も明確に理解され、現在では個々の樹木の特性に応じた植栽計画が積極的に立てられるようになるなど、当初とは意識がまったく変わってきました。このような現地の人々自身の変化こそが、植生・生態系の保全と回復に大いに役立つことなのです。
 
 
粘土製改良カマドに代わって新たに開発された
金属製改良カマド
薪の消費量が減り、森林保全につながっています。

難民キャンプへの人口増大に伴い、調理燃料としての薪の必要量は膨大な量になり、これが周辺環境や人々の生活を劣化させる一因になっています。「緑のサヘル」では、薪の使用量を減らすことで環境を保全する方策を検討し、他のNGOと共同で、薪の消費量を減らせる燃費のよい改良カマドの普及活動を行っています。

これまで現地の人々が使っていたカマドは、三ツ石カマドという伝統的なもので、周囲が囲まれていなくて火が露出しているために燃焼率が悪く、薪を大量に消費するものでした。これに対して、住民の身近にある材料で簡単に作れる粘土製の改良カマドを開発。周囲を覆って、熱効率を上げました。しかし壊れやすい、移動ができないなどの不便もあったため、新たに金属製の改良カマドを開発し、現在はこれが普及の中心となっています。

この改良カマドによって、薪の消費量は35〜55%も減少。現存する森林の保全と、女性の労働負担の軽減、燃料の節約が実現できるものとして、女性たちの支持を集めることができました。さらに、生活感覚の鋭い女性の組合活動への積極的な参加にもつながり、住民生活の全体的な環境改善を進めるうえでも効果があるものと期待されています。

   

 今後も「緑のサヘル」は、今ある緑を減らさず、失われた緑を取り戻す活動と同時に、食糧確保や現金収入の道をつくるなど、住民の立場に立ち、住民の自主的な参加を促せるような活動を続けていきます。
皆様のご支援をお待ちしております。

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