北朝鮮の人権問題に取り組む運動家、金永煥(キム・ヨンファン)さん以外にも、これまで多くの韓国国民が中国公安当局から過酷な扱いを受けたという証言が相次いでいる。このような実態が発覚したことを受け、中国による拷問を根絶するため、韓国政府が強硬な対応を取るべきだとの指摘が相次いでいる。
こうした声の背景には、今回も韓国政府が中国の顔色をうかがう余り、消極的な対応に終始すれば、第2、第3の金永煥さんを生みかねず、現在中国に拘禁されている韓国国民619人に対する過酷な扱いが続くとの懸念が存在する。
■外交に絶望感
北朝鮮の人権問題に取り組む活動家は、韓国の外交通商部(省に相当)に対する強い不信感を隠そうとしない。脱北者の韓国行きを支援して逮捕され、中国で1年半にわたり拘禁生活を余儀なくされた「北韓正義連帯」のチョン・ペトロ牧師は「中国の人権侵害について、いつも『確認する』とオウム返しに応えるばかりの韓国外交通商部を信じていない」と語った。
脱北者出身の運動家、ユ・サンジュンさんは今年5月、中国公安に逮捕され、殴打などの暴行を受け釈放された。ユさんは「拘禁当時、やっとのことで公安の目を盗み、韓国大使館に電話をかけたところ、しばらくして瀋陽総領事館の担当者から『政治的問題では中国と妥協がうまくいかないため、自力で脱出してほしい』という回答を受けた」と証言した。ユさんは「苦痛に耐えかねて助けを求めた自国民に『どうしようもない』と言い放つ外交通商部には絶望感を感じた」と話した。