代表的な老人性疾患、認知症の患者が韓国で急増している。急速に進む高齢化の影響で、65歳以上の認知症患者数は今年の53万4000人から13年後の2025年には100万人以上に急増すると見込まれている。
韓国政府によると、今年の65歳以上の認知症患者数は、認知症有病率の全国調査を開始した08年(42万1000人)に比べ、わずか4年間で26.8%増加した。これは、同期間の高齢者人口増加率17.4%(501万6000人から589万人に増)をはるかに上回る。認知症患者数は、20年に80万人、25年には103万人に増加し、50年には237万9000人と、高齢者8人に1人の割合に達すると見込まれる。
認知症患者が急激に増加している中、近い将来に認知症を完治できる画期的な薬が開発される見込みもない。そのため手遅れになる前に、認知症に対する人々の予防意識を高める必要がある。
認知症は、老化により脳組織を破壊する異常なタンパク質(ベータアミロイド)が脳内に蓄積し、脳組織が萎縮することによって発症する。記憶を司る海馬が萎縮すると物忘れなどの症状が出るようになり、大脳が萎縮すると認知機能や言語機能が失われる。こうしたアルツハイマー型認知症は患者全体の50-70%を占める。
ソウル峨山病院神経科のイ・ジェホン教授は「脳細胞が破壊された状態では、薬物による再生が不可能だ。認知症の薬は早くから服用すれば効果が高く、症状の悪化を多少遅らせることができる」と話す。神経医学界は、こうした認知症の早期発見、早期治療で症状の悪化を2年遅らせることができれば、20年後の認知症患者数を20%減らせると見込んでいる。