8月の朝雲ニュース

8/25日付

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各部隊、災派終え訓練再開

 東日本大震災の災派活動が終息に向かう中、全国の各部隊は各種訓練を本格的に再開させた。陸自42普連(北熊本)は離島防衛を課目に師団訓練検閲を受閲、教育支援施設隊(滝ヶ原)は大震災の災派活動を踏まえた即時救援活動訓練を行った。また、海自111空(岩国)は、硫黄島周辺で年に1度行われている実機雷処分訓練に参加した。

42普連 8師団訓練検閲を受閲 演習場を離島に想定

 8飛行隊UH1ヘリの支援を受けて空中機動、偵察に向かう42戦闘団情報小隊の隊員(日出生台演習場で)

 【42普連=北熊本】連隊は7月3〜12日、大分県・日出生台演習場で行われた8師団第1次訓練検閲を受閲した。
 検閲は「離島防衛任務を有する部隊の行動(防御)」を課目とし、演習場を離島に想定して実施。8師団の事前配置部隊となった増強42戦闘団は空中・海上機動で展開し敵の侵攻を阻止、師団の上陸掩護態勢を確立した。
 今回は従来の編組部隊に加え、8戦大、8高特大の配属も受け、緊密な相互連携の下で行われた。
 出陣式で山本戦闘団長が「緊密な連携」など3点を、また編成完結式で統裁官の堀口8師団長が「総合戦闘力の最大限の発揮」など3点をそれぞれ要望。
 検閲は40キロ徒歩行進、100キロ車両行進から開始され、その後、陣地予定地域の索敵や敵の仕掛けた障害の発見、除去を実施した上で「撃てる、見えない、生き残れる陣地」を構築。敵のミサイル攻撃、陣地襲撃に対し、早期に兆候を発見して人的、物的被害を最小限に抑えた。
 続いて戦闘団は、敵先遣連隊の上陸に伴い防御戦闘に突入。4中隊の配属を受けた8戦大が敵部隊に対処、8高特大は敵の航空攻撃に対し、対空戦闘を行った。
 主戦闘地域での戦闘に移行した戦闘団は1、2、3中隊が8高特大の砲迫火力、8戦大の対機甲火力などと緊密に連携しつつ激しい戦闘を継続、敵の侵攻を阻止した。
 奇襲上陸、ヘリボン攻撃に対しては、4中隊を基幹とする各予備部隊が迅速に対処、任務を完遂し、状況を終了した。
 山本戦闘団長は「現在の部隊の練度が分かったことが成果。教訓事項を生かし、さらに練成、躍進しよう」と述べた。

硫黄島近海で処分訓練 111空からヘリ2機参加 実機雷爆発させる

 掃海具を曳航し機雷を爆発させる111航空隊のMH53Eヘリ(硫黄島周辺海域で)

 【111空=岩国】111航空隊はこのほど、硫黄島での実機雷処分訓練にMH53E掃海・輸送ヘリ2機で参加した。
 訓練は海自が年に一度、実際の機雷を用いて行っている世界でも例のないもの。航空隊は硫黄島航空基地隊の支援、掃海母艦「ぶんご」等からの整備・補給支援を受けて臨んだ。
 訓練では海中に敷設された実機雷の処分時の爆発、水柱の状況などが確認された。航空隊のMH53Eヘリは、磁気等の発生を模擬した掃海具を曳航して海面上空を飛び、実機雷を爆発させた。
 一方、訓練期間中、父島基地分遣隊の支援を受け同島の中学生21人を含む約50人が体験搭乗した。

ヘリから機関銃射撃 悪天候で照準合わせも一苦労 32普連

 UH1ヘリの機内から、海上に向け射撃を行う32普連隊員(佐多射撃場周辺海域で)

 【32普連=大宮】連隊はこのほど、鹿児島県・佐多射撃場周辺海域でUH1多用途ヘリからの機関銃射撃(ドアガン射撃)訓練を行った。
 師団のドアガン射撃要員を育成、併せて他方面区で行うことで長距離機動能力の向上も図った。石野1中隊長を訓練担任部隊長とし、約110人が参加した。
 連隊は駐屯地を出発後、東富士演習場、日吉原演習場へと南進。さらに大阪南港からフェリーで鹿児島県・志布志港に向かった。同港到着後、佐多射撃場に向けて前進。到着後、翌日からの訓練に備えミーティングを行った。
 訓練では射場で1飛行隊(立川)から、安全教育と射撃時の手信号の要領等の教育を受け、その後、空包による非実射訓練を実施。
 実射訓練は危険区域への船舶の立ち入りもあり一時中断することも。また天候に恵まれず、強い風と豪雨に悩まされた。隊員らは強い風の影響で機体が揺れ、照準を合わせるのに苦労したが、ホバリング射撃、移動間射撃などを集中して行った。
 射撃禁止日には、南九州市の「知覧特攻平和会館」を研修した。

施設科の技能を練成 本栖湖周辺で集中訓練 教支施

 渡河ボート上に軽門橋をかけ車両を輸送する教支施隊員(本栖湖周辺で)

 【教支施=滝ヶ原】教育支援施設隊はこのほど、山梨県・本栖湖周辺で第1次集中訓練を行った。
 例年行っている漕渡作業、門橋構築・運行、漕舟など施設科の技能を練成。また今回は、東日本大震災を受けた陸自の派遣活動内容を踏まえた即時救援活動訓練も併せて実施した。
 訓練最終日には漕舟競技会を実施。3人舟から9人舟へつなぐリレー方式(約2・5キロ)で行い、5個小隊が一斉にスタート。レースの結果、3小隊(森田小隊長)が3連覇した。

「旅団防御の完成」 テーマに連携確認 北海道大演習場で第1次演習

 旅団演習で敵侵攻阻止を目的に、榴弾砲の実射を行う11特科隊(北海道大演習場で)

 【11旅団=真駒内】11旅団は7月1日から同14日まで、北海道大演習場で第1次旅団演習を行った。演習は昨年8、9月の北方総合戦闘力演習で練成した旅団の防御の完成を図る目的で実施した。
 吉田旅団長の指揮の下、旅団全部隊が参加。演習は前段と後段に分けて行われ、前段は作戦準備として小銃射撃訓練、防御構想や偵察命令下達、作戦会議など旅団の連携要領を演練、後段が11特科隊(真駒内)の実射訓練をはじめ、28普連(函館)による3夜4日の連続状況下での防御戦闘を実施。
 連隊は当初、集結地点まで車両行進し、直ちに索敵、安全化を図るとともに陣地を構築。その後、防御戦闘に移行した。
 敵は1個機械化連隊で、砲迫などによる攻撃を行ったが、防御陣地を崩せず、連隊の反撃に移ったところで状況を終了した。
 28普連と11特科隊の訓練検閲も併せて行われ、28普連は「旅団予備隊としての行動」、11特科隊は「防御における旅団の特科の行動」についてそれぞれ受閲した。